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カウンセラーになったのは、高校三年の時に3か月間、家出をしたからです。②

進路のことで、親とも先生ともすれ違った、高3の私は、このままでは大人の言いなりになって決まったレールしか歩けない、ロボットのような人になってしまいそうだという、思春期特有の硬直した、でも、愚直な思いがつのっていくのでした。そして、この孤独な思い込みは、3か月にもわたる家出計画へとつながっていきます。(昨日の続きなので、まだの方は下のリンクからどぞ。)

カウンセラーになったのは、高校三年の時に3か月間、家出をしたからです。①

高校生だった私は、旅行が好きでした。もちろん、お金はないので、青春18きっぷ(休み時期に発売される、JR普通列車の乗り放題切符)+安い宿、の組み合わせで、長期休みのたびにあちこち旅行をしました。

四国、奈良のあたり、北海道等々です。

私の長期の家出計画というのは、安い宿で働く、ということでした。

家出前に、GWの時期など、4,5日間の短期ですが、宿でのバイト経験がありました。働けば、ご飯も頂けるし、寝るところも提供してくれるのです。

休日に家に人がいない時を見計らって、若者向けの安い宿を中心に、住み込みで働けないかとあちこち電話をしました。そして、数十か所電話をして、一か所、人手が足りないからすぐに来て、というところが見つかりました。

これが、12月の初旬くらいでした。

ところで、高校三年の12月初旬ですから、まだ学校への登校は、ちょっと必要だったわけです。ただし、進学校だったからなのでしょうか。1月からは学校は自由登校?のような感じで別に行かなくてもいい、それぞれ受験に専念するようにというような形だったと思います。

なので、家出の決行は、冬休みに入る、クリスマス前後でした。受け入れの宿のご主人には、冬休みスタートの翌日あたりに向かいますと伝えたと思います。

今思うと、3か月も家出をする計画をしていて、本当にいろんな方にご迷惑おかけしたのですが、それで、11月とか12月、何食わぬ顔をしてよく学校へ行っていたものだと思います。学校に行かないという選択肢がなかったんですね。

今なら、学校に行かないという選択をすることで意思表示をしたかもしれませんね。

さて、家出計画ですが、秘密裏に計画を進めなければ、親なり先生なりから横やりが入ってしまいます。家出の決行日まであと、2週間ほどあります。母親にばれないように、下着や洋服をちょっとずつタンスから抜いて、家出用のカバンに入れていきました。お小遣いから、青春18きっぷも買いました。(そんなに高くないんです。5回分で1万円くらいです。)

コソコソ、コソコソ。

そして、結構日の前日に、A4一枚で、家出の「趣意書」を書き(もう忘れましたが、進路について、誰もわかってくれんやないか!というようなことを書いたと思います。)、夜も明けきらないうちに、こそっと家を出て、4月頃まで、3か月という家出を実行したのでした。

1月中旬、センター試験。

私は、高校が始まって以来、初のセンター試験をすっぽかした男になったようです。

別に、国公立を受けるわけではないので、センターを受ける必要もないのに、勝手に自動的に申し込まれているわけです。志望校のICUはセンター受験は関係なかったのです。(当日は、松本がいないぞ、と同期の皆さんが大変心配したようです。ごめんなさい。)

この後も、紆余曲折あるのですが、私は、一浪して「奇跡的」にICUに合格するのでした。

ここまで、当時を振り返りながら書き進めてきました。

そして、私が、困った方がいらしたら、相談をお引き受けするという仕事を選んだ理由の一つに、高校三年の時の当時の自分の選択や考えについて、「味方になって一緒に考えてくれる人」を見つけることができなかったことにあると思うのです。

私は、おすすめはしませんが、家出をしたことは後悔していません。たくさんの幸運に恵まれて、家出先の宿で、本当に、本当にたくさん学びました。自分の甘えが原因なのですが、仕事の途中で一人泣いたこともありました。宿の仲間とたくさん笑いました。たくさん、遊びました。

でも、自分の進路を決める、あの時に、「味方になって一緒に考えてくれる」、そんな人がいたらいいなあ、とも思ったのです。

周りに人がいても、心が「孤独」ということはあるのです。

今の私は、これも紆余曲折あり、試行錯誤ありでしたが、EMDRという、PTSDやトラウマのケアに定評のある技法を中心として、トラウマというエリアが専門の一つである臨床心理士です。

もちろん、専門のエリアを追求していき、技術を高めるのは大切なことであるし、それが、ご来談いただいた方の満足につながることにもなります。

ただ、私の根っこにある、いらした方の「味方になって一緒に考える」という姿勢は、いつまでも大切にしたい、そんな風にブログを書きながら思いを新たにしました。

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