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トラウマ、PTSDと人間脳、動物脳の関係。

トラウマや、PTSDとは何かを考えるにあたって、脳で、心で何が起きているのかをキャッチしておくことはとても大事です。ここでは、脳を、下のように、人間脳と、動物脳の二つに分けて考えてみます。

人間脳:人間でとくに発達している脳の部位(前頭前野を含む、皮質)

動物脳:進化の過程で、人間の手前で発達してきた脳の部位(脳幹から辺縁系あたり)

そして、トラウマとは心の傷をいいますが、トラウマにはその原因となるトラウマ体験があります。

トラウマ体験として、交通事故を例にとって考えてみますと、車がぶつかりそうになって、ぶつかってこられたとしましょう。状況にもよりますが、事故をうけた当時は、ドキドキしたり、手に汗が出たり、物音に過敏になったり、その状況が数日続き、眠れなくなったりします。

これは、動物脳が働いているからです。

動物脳の働きは、闘争(たたかう)ー逃避(にげる)ともいわれ、生物として生き残っていくために、危機的な状況や生存が厳しい状況で、心拍をあげたり、発汗させたりして、戦いにそなえる、もしくは、素早く逃げるための働きをします。

その他、動物脳は、消化、吸収、性衝動など生物として生存に不可欠な働きを、無意識でも行ってくれています。

ちなみに、すごく緊張する場面などで、おなかの調子が悪くなったり、吐き気がする方がいます。これは、おなかの中に食べ物があると、戦うときや逃げるときに不利になるので、つまり、できるだけ体を軽くしておいた方が生存しやすくなるので、動物脳の働きとして、体から食べ物を出そうとするということなのです。

交通事故など、危機的な状況があれば、誰でも、動物脳が働きます。

トラウマ、PTSDとの関係でいうと、危機的な状況はとりあえず去っているけど、動物脳のスイッチが入り続けているということが、心の傷が残っているということなのです。

この動物脳のスイッチを調整するために、上手に人間脳を使おうということが、トラウマからの回復の第一歩となるのです。

人間脳をはたらかせるポイントはいくつもあるのですが、例えば、カウンセリングの現場でいうと、何か困ったがあって、カウンセリングの現場に問い合わせ、予約をし、初回面談が実施されます。

そこでは、今何お困りなのか、どうなっていきたいのかを確認しつつ、今困っていることが解決するための、ヒントを探すために「無理のない範囲で」生活歴を確認していきます。

このような初回の面談を「インテーク」とも呼びます。このような確認を通して、どういう方向性で面談を進めることが役に立つのかについて、一緒に考えていく流れを作ります。

実は、過去から現在にかけて人生を振り返り、これまでの経験がどのように、今の自分に影響しているかを考える作業そのものが、人間脳が働く第一歩なのです。

どのようにしたら、人間脳が働いて、過剰に働きすぎている動物脳がおさまるのか、これは、どうしても、オーダーメイドのところがありますが、ポイントは、理解(そうか、そういうことが自分に起きていたんだ)、言葉(ゆっくとですが、自分で自分を応援する言葉を探す。)、今の視点を意識する(マインドフルネスですね)、自分の意志で選択する・行動する(自分に合った対処を少しずつ見つける。)等々です。

そして、このブログを最後まで読んだ、ということも、自分の意志で行動した、ということですよね。


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