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レビューとレポート第54号

レビュー


[1]方法主義のシンギュラリティ、あるいは世界創造のレシピ ―「IAMAS ARTIST FILE #09 〈方法主義芸術〉―規則・解釈・(反)身体」展 レビュー
山本和弘
https://note.com/misonikomi_oden/n/n7888e5de1df9



レポート


[2]「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?―国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ」記者発表会速報
東間 嶺 
https://note.com/misonikomi_oden/n/n554aa7823c2b



[3]梅津庸⼀・神崎倍充 ⼆⼈展「ひげさん」 レポート
https://note.com/misonikomi_oden/n/ne2af66247ea2




お知らせ

これから


『シュルレアリスム宣言』100 年 シュルレアリスムと日本

東郷青児《超現実派の散歩》1929年、SOMPO美術館 ©Sompo Museum of Art, 22024
山下菊二《新ニッポン物語》1954年、日本画廊

本展は『シュルレアリスム宣言』の発表から100年を記念して、日本各地でシュルレアリスムがどのように紹介、解釈され、展開していったのかを絵画やデッサンをはじめとする作品や美術雑誌、書籍などの資料から読み解きます。それにより20世紀最大の美術運動が日本の美術史に大きな影響を及ぼしたことが見えてくるでしょう。

日本のシュルレアリスムを概観する約30年ぶりの展覧会1990年に名古屋市美術館で行われた「日本のシュールレアリズム 1925-1945」以降、靉光、瑛九、山下菊二など、画家の個別研究やテーマ展により、日本のシュルレアリスムに関する研究が進んできました。本展では最新の研究成果も交えて日本のシュルレアリスムの核心に迫ります。

PRより

会場:板橋区立美術館
会期:2024年3月2日 ~ 4月14日
※3月26日(火)から後期展示

■講演会「シュルレアリスムと日本という場所」
日時:2024年3月9日(土)14:00 ~ 15:30
講師:速水豊(三重県立美術館長)

■ワークショップ「制作のお話とコラージュのワークショップ」
日時:2024年3月16日(土)14:00 ~ 15:30
講師:ユアサ エボシ(画家)

■対談「シュルレアリスムと東京・京都」
日時:2024年3月23日(土)14:00 ~ 15:30
講師:伊藤佳之(福沢一郎記念館)、清水智世(京都文化博物館学芸員)

■講演会「シュルレアリスムと池袋モンパルナス」
日時:2024年3月30日(土)14:00 ~ 15:30
講師:弘中智子(板橋区立美術館学芸員)

■講演会「越境するシュルレアリスムーヨーロッパと日本」
日時:2024年4月13日(土)14:00 ~ 15:30
講師:河本真理(日本女子大学国際文化学部教授)

全て要申込。定員になり次第、受付終了。詳細はWEBにて。

ttps://www.city.itabashi.tokyo.jp/artmuseum/4000016/4001737/4001747.html

画像提供:板橋区立美術館



ARTISTS' FAIR KYOTO 2024

会期:2024年3月1日(金) ~ 3月3日(日)
アドバイザリーボード展覧会会場は3月10日(日)まで

メイン会場
京都国立博物館 明治古都館(京都市東山区茶屋町527)
9:30 ~ 17:00(最終入場16:30)
京都新聞ビル 地下1階(京都市中京区烏丸通夷川上ル少将井町239) 
10:00 ~ 17:00(最終入場16:30)

アドバイザリーボード展覧会 会場
音羽山 清水寺(京都市東山区清水1丁目294) 
10:00 ~ 17:00(最終入場16:30)

会期中はシンポジウムやトークセッションが行われ、SATELLITEや参加アーティストのオープンスタジオも開催されます。

トークセッション
「美術批評から再考するフェミニズム、クィア理論、インターセクショナリティ」
日時
:2024年3月2日(土)14:00 ~ 15:20
登壇者:山本浩貴(文化研究者、アーティスト、金沢美術工芸大学講師)、寺田健人(写真作家、美術家)、 鈴木涼子(美術家)、千葉由美子(Yumiko Chiba Associates 代表取締役)(モデレーター)
主催:D/C/F/A
要予約。詳細はWEB。
http://ptix.at/Fy3IZf

https://artists-fair.kyoto/

画像提供:ARTISTS’ FAIR KYOTO実行委員会



ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?
―国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ

中世から二十世紀前半までの西洋美術のみを収蔵/保存/展示している国立西洋美術館には、いわゆる「現代美術」は存在しません。そこは基本的に、すでに死者となって久しい遠き異邦の芸術家らが残した産物が集っている空間です。この展覧会ではしかし、そんな国立西洋美術館へと、こんにちの日本に生きる実験的なアーティストたちの作品群 ― 故人のものも含みますが ― をはじめて大々的に招き入れます。

プレスリリース

2024年3月12日(火) ~ 5月12日(日)
国立西洋美術館

参加アーティスト
飯山由貴|梅津庸一|遠藤麻衣|小沢剛|小田原のどか|坂本夏子|杉戸洋|鷹野隆大|竹村京|田中功起|辰野登恵子|エレナ・トゥタッチコワ|内藤礼|中林忠良|長島有里枝|パープルーム(梅津庸一+安藤裕美+續橋仁子+星川あさこ+わきもとさき)|布施琳太郎|松浦寿夫|ミヤギフトシ|ユアサエボシ|弓指寛治

画像提供:国立西洋美術館 広報事務局



開催中


文谷有佳里:なにもない風景を眺める

文谷有佳里《なにもない風景を眺める2015.1.24-C》

即興による手の動きが生み出す、緻密で緊張感や躍動感溢れる線の表現で注目されている岡山ゆかりのアーティスト「文谷有佳里氏」による県内初の個展が開催されます。大学で作曲を学んだ異色のアーティストで、その制作スタイルは当初から現在まで一貫してコンセプトや具体的に描くモチーフになるものは存在せず、黒い線が不規則に延びては広がり、縮まっては延び、そして集合体となって構築された不思議な画面が特徴。 無意識から生まれる自由な線の動きが集積されたユニークな作品です。美術館のガラス面にも描かれた生命体のような線の作品から生み出されるアグレッシブなスピード感は、観る人を未知なる作品世界に誘ってくれるでしょう。

奈義町現代美術館(岡山県)
2024年2月3日(土) ~ 3月10日(日)

■ワークショップ 「みえないドローイング」
3月10日 (日)13:30~14:30
アーティスト・トーク
3月10日 (日)15:00~
登壇者:筒井宏樹 (鳥取大学准教授)×文谷有佳里 (アーティスト)

※会期中、希望者には学芸員による作品説明もあり。

詳細は美術館のWEBにて
https://www.town.nagi.okayama.jp/moca/

画像提供:奈義町現代美術館


コレクションズ・ラリー 愛知県美術館・愛知県陶磁美術館 共同企画

前本彰子《Silent Explosion──夜走る異国の径》1988年

愛知県美術館と愛知県陶磁美術館のコレクションを合わせると、その数は17,000件以上にのぼります。本展は、そのなかから両館の4人の学芸員がそれぞれ独自の視点でテーマを立ててご紹介する、オムニバス形式の展覧会です。同じ愛知県立の美術館同士ですが、意外にもこのように大きな規模での共同企画を行うのは初めてのこと。愛知県陶磁美術館が休館中(2025年4月に再開予定)だからこそ実現したこの企画、2館のコレクションが出会うことで生まれる作品同士の共鳴を是非ともお楽しみください。

愛知県美術館WEB

愛知県美術館
2024年1月16日(火)~ 4月14日(日)
https://www-art.aac.pref.aichi.jp/exhibition/000431.html

■トークラリー(学芸員による展示説明会)
1月21日(日)、2月10日(土)、4月6日(土)各回11:00-12:00
3月8日(金)18:30-19:30

画像:プレス向け内覧会で撮影



豊嶋康子 発生法──天地左右の裏表

豊嶋康子(1967-)は、1990年より30年以上にわたって、私たちを取り巻くさまざまな制度や価値観、約束事に対して「私」の視点から独自の仕方で対峙し続けてきた作家です。物や道具の仕組み、学校教育、経済活動から日常の様々な行為まで、私たちに避けがたく内面化、自動化されてきた思考や行為の枠組みやルールを、自身の感じる違和感や関心を梃として独自の仕方で読み替え、捉え返すことで、人の思考の型の形成、社会と自己の成り立ちの在り様を問うてきました。
……本展は、こうした豊嶋の制作の全貌を、初期作品から新作まで400点近くを一堂に集め検証する初めての試みです。あまたある世の決まりごとに「私」を交差させる豊嶋の作品は、システムと不可分の存在であり続ける私たちに、多くの示唆を与えてくれます。「天地」や「左右」はどのようにして決まるのでしょうか?あるいは裏と表をひっくり返すことは?
自身の思考を素材とする一種の潔さとユーモアをもって、私たちをめぐる事物に対する「私」の応じ方をかたちにし、さまざまなシステムと「私」双方の「発生法」を捉えようとする豊嶋の制作は、私たちの思考や行為、そして自由の領域について、あらためて捉え返す契機を与えてくれるに違いありません。

プレスリリース

東京都現代美術館 企画展示室 1F
2023年12月9日 ~ 2024年3月10日
休館日:月曜日(1月8日、2月12日は開館)、12月28日-1月1日、1月9日、2月13 日
開館時間 10:00 ~ 18:00
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/toyoshima_yasuko/


展示風景:プレス向け内覧会で撮影



白井美穂 森の空き地


メディアを自在に横断し旺盛に制作を続ける、白井美穂の美術館初個展です。
1990年代前半に発表された貴重な立体作品を約30年ぶりに展示。
2000年代に入って華麗に展開する絵画を中心に、映像やオブジェを交えて構成し、知られざる巨人の全貌を明らかにします。
白井美穂の作品にある洗練された造形と、意味を複雑に重ねて提示する深い思考は、35年以上のあいだ驚異的な質を維持しています。
バブル経済が終焉に向かう1980年代末から90年代に白井は、社会的慣習や風俗を巧みに引用、流用し、家具や結界など既製品を用いて華麗で大胆なインスタレーションを展開しました。艶やかな黒色や反射する硬質な物質の使用が特徴で、また写真も印象的に使われています。
平成のただなかにあった2000年代半ば以降は、ピンクや水色といった明るい色が登場し、布や糸など柔らかい素材が用いられ、また絵画が中心的役割を果たすようになります。錬金術書の挿絵や物語からとったイメージに、宇宙や生命の循環への思索が織り込まれます。
「白井美穂 森の空地」展では、貴重な初期作品を再構成し、最新作とあわせて展示します。
もの、空間、イメージがからまり生まれる迷宮の、その先に開かれる「空き地」へ、どうぞお越しください。

府中市美術館WEB

府中市美術館
2023年12月16日(土)~ 2024年2月25日(日)
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/tenrankai/kikakuten/Mio_shirai.html


展示風景:プレス向け内覧会で撮影



決定版! 女性画家たちの大阪

島成園 《無題》 大正7年(1918) 大阪市立美術館蔵【通期展示】

約百年前の大阪では多くの女性日本画家が活躍しました。大正元年(1912)に島成園(しま・せいえん)が20歳で文展に入選すると、その成功に触発された木谷千種(きたに・ちぐさ)や生田花朝(いくた・かちょう)なども官展に入選を重ねます。また、美人画や歴史風俗画に加えて、江戸時代から大阪に興隆した南画(文人画)の分野においても、河邊青蘭(かわべ・せいらん)や融紅鸞(とおる・こうらん)などが実力を発揮しました。成功を収めた女性画家は、自らの画業を追求するにとどまらず、後進の女性を育成するため画塾を開きます。門下生たちも師に続いて公募展や塾展に挑み、大阪の女性画家の裾野はさらに広がりました。当時の美術界は、東京と京都がその中枢を担い、制作者は男性が大多数を占めていましたが、女性日本画家の活躍において大阪は他都市と肩を並べており、その存在は近代大阪の文化における大きな特色のひとつとなりました。

本展では、「島成園と浪華の女性画家」展(2006年)の開催を端緒とする調査研究に、近年の新たな成果を加えて、全国的にも注目を集めた50名を超える近代大阪の女性日本画家の活動を約150点の作品と関連資料でご紹介します。お稽古事や趣味にとどまらず、画家として社会的な成功を夢見た女性たちを育んだ、大阪という都市の文化的な土壌についても考える機会とします。

大阪中之島美術館
2023年12月23日(土) ~ 2024年2月25日(日)
https://nakka-art.jp/exhibition-post/women-painters-2023/
https://www.ktv.jp/event/wosaka/


画像:「決定版! 女性画家たちの大阪」広報事務局より提供




弊誌へレポートを寄稿してもらっている東間嶺さんが運営するオルタナティブスペースナミイタ、それが付属するアトリエトリゴヤ並びに隣接するアトリエ306へ、隣接する造園業者の敷地の火災が延焼しほぼ全焼しました。当該敷地を間借りしていた人物による失火が原因とのことです。これによりナミイタが活動できなくなっただけでなく、アーティストの数十年にわたる活動の記録と作品が破損、消失する事態となりました。
連日、罹災後の状況報告がnoteへアップされています。義捐金の募集もしているのでそちらをご覧ください。


画像提供:東間嶺




表紙について

1月タイトル
眠り続ける姫を起こすにはーーー?
現代に生きる くの一 と 陰陽師 の2人が、力を合わせて(?)がんばります!!

解説
1月はお正月ということで、和のモチーフを使ってバトルものの物語を作り、和紙を貼りこんだり赤色の衣装や牡丹を描いて華やかな表紙を作りました。
戦う女の子のモチーフは2000年代前後の少女マンガでもよく登場し、今回は当時「りぼん」で連載されていた松本夏実先生の『聖♡ドラゴンガール』(りぼん、1999~2003年)からヒントを得て、物語や絵(髪の毛や牡丹など)の描き方などを参考にさせていただいています。また、この当時は少女だけではなく少年も共に戦う物語が多くみられ、男子と対等かそれ以上の力を得る少女たちがカッコよく描かれていました(例:『神風怪盗ジャンヌ』(種村有菜、りぼん、1998-00年)、『カードキャプターさくら』(CLAMP、なかよし、1996~2000年)など)。
また、「姫」を助ける設定は少年誌等で定番の物語ですが、少女マンガでは少女が少女を助ける構図となり、助けた後に少し複雑な展開をすることがあります(例:『魔法騎士レイアース』CLAMP、なかよし、1993~1995年)。勇者と姫の関係性において、恋愛という結び付きがない場合の連帯の難しさやすれ違いが発生する様子はとても興味深いです。

宮野かおり




あとがき

原稿募集中です。掲載希望される方は下記連絡先まで。

弊誌お知らせへの掲載、あるいは取材を希望される方はプレスリリースを下記連絡先まで送ってください。
展示や内覧会についても招待いただければ取材へうかがいます。
美術館、ギャラリー、オルタナティブスペースどこでもokです。また美術に限定しませんのでお気軽に。

レポートを執筆してもらえる記者、展示レビューの執筆者を募集中です。

画像は全て許可を得たうえで掲載しています。無断転載はできません。

企画・編集:みそにこみおでん
スタッフ(校正担当):シロクマ

表紙絵:宮野かおり

連絡は下記へみそにこみおでん宛にお願いします。
E-mail: aspma260[あっと]gmail.com
X(旧 twitter):@misonikomioden
facebook: https://www.facebook.com/misomuoden


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バックナンバー
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