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#060 陣痛、出産レポ

いよいよ来た、陣痛→出産レポです!

0時頃
この頃よくあった前駆陣痛がこの日もあり、いつもより強いな…と思いながらも「まだ38週入ったところだし」と眠る。

3時
めちゃくちゃお腹が痛くて目が覚める。
夫は私の妊娠期間にお酒をたくさん飲むことはなかったが、この日に限ってめちゃくちゃお酒を飲んでいて酔っ払って爆睡中。
ただの腹痛かもしれないし陣痛だったら陣痛だったで分娩台でウンコはしたくないと思い、夫には言わずひとまずトイレへ駆け込む。
案の定、ウンコではなさそう。差し込むような痛みが襲ってきては引いていく。
陣痛カウントアプリを起動して測ってみると、もう5分間隔を切っている。(ていうか痛くて陣痛の開始と引きの記録がうまく取れなかったけど、みんなちゃんと記録取れたの?すごない?)
病院からは「5分間隔になったら病院にきてね」と言われていたのでいよいよ夫を起こす。かなり辛そう(二日酔い)。
病院に行く準備を陣痛の合間に進める。夫から「歩ける?(病院は普通の人があるけば自宅から徒歩7分くらい)」と言われたが歩けるわけないだろうよ。
夫に病院に電話してもらい、行って良い状況か確認。来てくださいと言われたので夫ママに連絡して車で迎えに来てもらう。この時、6月だったが寒くてガタガタ震えていた。

4時
病院に到着する。到着してすぐに車椅子に乗せてもらい夫に押してもらう。
コロナ禍なので付き添いはパートナーのみということで夫ママとは入口でお別れ。頑張ってねと送り出してもらう。
この時の痛みは「めちゃくちゃきつい生理痛」という感じ。まぁ我慢できるなと気持ちの余裕もあった。

陣痛室や分娩室という分け方をしていなかったので、普通に最初から分娩室的な部屋に通される。
日本の「手術室」っぽい分娩室のイメージとは違ってリラックスしやすい部屋だった。
陣痛の間隔は3分くらいだが、診察をしてもらうもまだ子宮口の開きは2センチ。10センチまで開かないと分娩にならないので全然ダメ。
「帰っても良いし、ここで歩いたりして待ってても良いし、ここのお風呂に浸かっても良いよ(子宮口を開く&痛みを散らすため)」と言われたのでとりあえず帰りたくはないしお風呂に入らせてもらう。
このお風呂も分娩室的なところにあるので移動は苦ではない。

とりあえず身体を温めるのだ


看護師さんにお風呂を溜めてもらい、浸かる。
確かに陣痛の痛さは和らぐ気がする。それでも痛いけど。
夫も同室で二日酔いと戦いながら待機する。

6時頃
子宮口、未だ開かず3センチ。7時まで待っても動きがなければ一旦帰るように言われる。怖い&痛くて歩きたくないので絶対帰りたくない。

麻酔については打つと陣痛が弱まって子宮口がより開きにくくなるのでもう少し待った方が良いと言われて、とりあえず従うも、15分後には痛過ぎて今すぐ打ってくれと半泣きで訴える。

7時頃
この時陣痛の強さを測る装置を見ていたが、100未満ならば酷い生理痛程度(我慢できる)、110くらいまでも何とか頑張れば耐えられる程度だったが127(これ以上強い数字は出ない)になると痛過ぎて身体が震えてきた。呻き声ひとつあげられない痛さ。
よく「鼻からスイカ」とか「腰をダンプに轢かれる」とか表現されてたけど、私の感覚で言えば「子宮が1mmくらいまで縮こまろうとしてる」感じ。いや、陣痛がそもそも子宮の収縮だから感覚としては正しいんだけど、とにかく1mmとかボールペンのペン先くらいに小さくなろうとしてないか!?ってくらい強烈な収縮。ビックバンはこうして起こるのかってくらい痛い。陣痛の合間でも話す余力がない。ひたすらに「次の地獄(陣痛)」を待つのみ。
後で聞いたが夫は私が死ぬと思ったらしい。そのくらい限界だった。
しかしそこまで痛くても、子宮口は開かず。

モニターをひたすら見つめる


9時頃
子宮口は開いてないが、担当医から麻酔を打って良いよと言われて麻酔科医に打ってもらう。背骨に打つので怖かったが、麻酔の麻酔も打ってもらうので大した痛みもなく終わる。
麻酔が効くまで30分くらいかかると言われたが15分くらいで効いてきてやおら無敵モードとなる。
ありがとう麻酔、君がいなければ出産なんてできなかった。痛みレベル127でも何も感じない。それくらい麻酔は偉大だった。

10時頃
相変わらず子宮口の開きが4センチと悪いので促進剤の投与が始まる。無敵モードなので夫と仮眠をとりつつ時間を潰す。
看護師さんから「お茶でも飲む?」と言われてお言葉に甘えていただく。お腹も空いたので持参したバナナを齧る。

11時頃
やる事がないので夫が自宅にiPadを取りに帰る。子宮口、頑なすぎる。YouTubeでみた子宮口を開く運動、私には効果がなかったようだ。
夜中までかかるんだろうなと思い始める。

12時頃
看護師さんから子宮口を開きやすくする体勢を取るように指導され、言われた通りのポーズをとる。(バランスボールに覆いかぶさるように体重を預け、お尻は突き出すようにする。お腹が重たいのでこれがかなりしんどい。)夫とストレンジャーシングスを観る。

13時頃
子宮口がやっと6センチになった。子宮口を開くポーズ、侮れない。
担当医が破水させ、さらに陣痛を促す。

14時頃
様子を見に来た看護師さんが「もう少しでいけそうだね、後でまたみにくるね」と言って部屋から出て行きそうになったとき、明らかに腹の中の子がグイグイと出てきそうになってる感覚に焦り散らかす。
「すいません、もう出ます…!」と伝えて先生を呼んできてもらう。

14時半頃
先生がやってくる。「いい感じだね、もう産まれるよ」とサクッと分娩モードに。
バタバタと看護師さんと担当医さんがベッドを分娩台にトランスフォームして「次陣痛の波きたらいきんでね」と言われる。急展開すぎて戸惑う。

15時頃
麻酔で陣痛の痛みがないので数値をみながら「はい、今!」と夫といきむ事、4、5回。

ヌッ…タリ…

とした感覚を股に感じたと思ったら、ンギャー!ンギャー!とそれはそれは大きな泣き声が聞こえた。
「え、声デカ…」
と普通に驚いていたら生ぬるい体温の、ちょっと灰色っぽい色をした赤ちゃんを胸に乗せられた。

一般的にはここで涙を流して夫婦で感動の渦に包まれるというところなんだろうが、我々は普通に「ちょっとグロくてワロタ」みたいな感じだった。

ふにゃふにゃでしわしわの生温かい湿ったそれは赤ちゃんというより未知の生命体のようでとても不思議だった。
これがお腹でずっと暴れていたのか。それは痛いはずだ。
他の人の出産レポではよく「ドゥルン!」と出てきたと目にしていたけど、我が子は「ヌッタリ…」と妖怪のようにじんわり出てきた。それもちょっと面白かった。

初産なのに分娩開始から20分で産めたのはかなり好成績らしい。1時間くらいかかる人が多いよと言われた。
陣痛開始からは12〜13時間と、それこそ一般的な長さだったが、まぁ安産だった。

子を産んでからは直ぐに胎盤を排出し、裂けた部分を縫ってもらい、しばらくそのまま休んだ。
胸の上の小さなエイリアンは看護師さんに促されて私のおっぱいを吸い始めた。これも変な感覚。

臍の緒は夫が切って、産着も夫が着せてくれた。出てきた赤子は身長48センチ。用意していた新生児用の産着はブカブカだった。小さな小さな生き物。これが本当に人間に育つのか。そんな不思議な感覚。

なんやかんや2、3時間は分娩室で過ごして、病室に赤ちゃんと共に移動。私もクタクタ、夫もクタクタ。とにかく休もうと夫は帰宅。病室は2人部屋だったが、運良く退院まで私(と息子)だけだった。夫曰く、他の病室は4人部屋なら4人しっかり入れられていたそうなので、私が仏語を話せない事とかを色々配慮してくれたのかもしれない。

しばらくすると、夕飯が出てきた。殆ど食べずに出産に挑んだのでお腹は空いていたけれど、あまりに質素な病院食で「こんなんで栄養付くんかい」とつっこまずにはいられなかった。

日本の産院のお祝い膳とか憧れちゃう

生まれてきた息子と、外国の病院で2人きりにされ、何をしていいかもわからずぼーっと過ごした。
看護師さんが時折り現れては息子の様子を確認して、また来るねーと去っていく。

息子はどうも寝ているっぽい。おむつとかって替えなくて良いのかな。母乳あげなくていいのかな。本当になにをしていいか分からない。とても現実のこととは思えぬまま、生後0日という日を終えるのだった。

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