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『まちづくりの思考力』ブックトーク記録#2[北海道白老町]

2023年7月末日、北海道白老郡白老町で『まちづくりの思考力』のブックトークが開かれました。地域おこし協力隊の方、高校の先生、町でパン屋を営む方、役場職員、たまたま河庄に居た方などなど、バラエティに富んだメンバーが大集合されました。
白老町役場に勤務される安藤啓一さんによる参加レポートを紹介します。


著者の藤本穣彦さんを囲んで

「あるはずのもの」がない

著者の藤本さんははじめに、島根県弥栄村に研究員として赴任していた際に感じた疑問について話しました。

「地域づくり」とは、「その地域に暮らす人が、地元にある資源を、地域の将来ために活かしていく」こと。しかし、弥栄村では地図上にはたくさんの水源があるものの、住民がそれを活用している痕跡はなかったそうです。水は本来、共有財産として公共的に使われる地域が多いのですが、弥栄村では水力発電のために電力会社が先に利用していました。そのため、住民は暮らしのために利用することができなかったのです。

「そこに存在するのに住民が使えない」、「今ある、活用できるものとは何か」……こうした日々の暮らしの中での気づきや疑問が「思考力」の出発点であると藤本さんは言いました。

「買う暮らし」から「つくる暮らし」へ

弥栄村での経験を背景に、藤本さんは「規模は小さくても自分たちの資源を自分たちで活かし直し、自給していくこと」を軸に、食とエネルギーに関する研究を進めてきました。

現代の暮らしでは「お金」が豊かさのモノサシとなっています。お金があれば暮らしに必要なものを選び、買うことで便利に暮らせますが、お金がなくなったり、暮らしに必要なものが手に入らなくなったりすると、その暮らしはとても脆弱なものになります。だからこそ、暮らしに必要なものをつくるという基盤を他人任せにせず、まずは「つくる」ことを仲間とやってみることが重要であり、そこにまちづくりの楽しさがあると先生は言いました。

この点は、僕自身の経験の振り返りにもなりました。例えば野菜づくり。野菜をつくることで、野菜の育て方の経験が蓄積され、その中で新たな発見や疑問が生まれる。また作った野菜を近所の方にお裾分けしたり、他の野菜づくりをされている方とお話ししたりして、新しいコミュニティが生まれる。そのコミュニティからまたやりたいことが生まれる。野菜をスーパーで買うだけの「買う暮らし」では見えなかった、この町の「つくる暮らし」の豊かさに気づかされました。

白老町で有機農業の実践をはじめた筆者

「自分らしく生きる」とは

イベント中、藤本さんは何度も「人生」や「生き方」といった言葉を口にしました。そこには本を書くきっかけにもなった「余白のない」現代社会に関係があるようでした。若者たちは大学進学に向けて勉強し、進学してから間もなく就職活動します。社会が評価するのはそのかぎられた過程での一生懸命さにすぎません。「自分の人生で何をしたいか」ということを考える余裕がもてない社会になっているのではないか、と藤本さんは問題提起しました。

確かに、受験や就職活動は人生のほんの一瞬のことなのに、失敗すればそれを全てかのように評価される社会の雰囲気があります。若者たちの可能性は無限大だからこそ、「まちづくりの思考力」を相棒に、日々の暮らしやどこかへ旅したときに、様々な経験をし、その経験を通じて、自分の直観を磨きながら、楽しそうとかおもしろそうなどとまずは感覚的に自分に素直になって何かをやってみる。そして実際にやってみて、素敵な人や仲間と出会う。その連続がその人の人生、生き方を豊かにする。

本書を読むことで、人生を豊かにするための「自分育ての思考力」が身につくように思いました。

参加者で記念撮影。盛り上がりが伝わります。

白老町 おすすめスポットの紹介

①キノコ鍋など北海道名物が味わえる「ファミリー居酒屋河庄」

16種類の天然きのこ鍋をはじめ、店主自ら採ってきた山菜やキノコ、釣ってきた魚たちが食べられる白老町の大人気店。
2代目店主の三国夫妻のご厚意で、ブックトークが実現しました。


店主が採ってきてくれた山菜

②地域のおばあちゃんがもてなす食堂「しらおいグランマ」

平均年齢は80代!地域のおばあちゃんたちが、心のこもった手料理でもてなしてくれます。日替わり定食「グランマセット」が大人気。
ここでしか買えないお土産品等も多数取りそろえる、楽しいおいしい場所です。
※『まちづくりの思考力』が購入できます。

③白老町唯一の本屋さん「またたび文庫

本が大好きなハネちゃんこと羽地夕夏さんがセレクトする古本・新刊を多数取り揃える白老町唯一の楽しい本屋です。
※『まちづくりの思考力』が購入できます。



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