ドラフト2022を振り返る~Aクラス編~
日本シリーズはついに7戦目。場合によっては8戦目もあるかという歴史的なシリーズでしたが、オリックスバファローズが26年ぶりの日本一に。おめでとうございます! それでは本論です。
🦁埼玉西武ライオンズ
★ドラフト前の時点での補強ポイント予想★
・両翼
・一三塁
・素材型の先発
◆実際◆
入札は公表通り、外野手の蛭間拓哉。何か尖っている点があるかと言われれば微妙なところはありますが、仮に彼が今ひとつでも、彼の一歳年上にあたる高木渉・西川愛也らが危機感を感じて本格化すれば、さして問題はありませんから、上手い指名だと思います。2巡目も外野手の古川雄大。恵まれすぎたフィジカルスペックを持ち、技術は粗めではありますが県大会ではまずまずの高スタッツを残すなど、絶望的な技術ではありませんし、西武の打撃始動ならかなりの大物になるかもしれません。3巡目も野手で、捕手の野田海人。かなり意外ではありますし、上位で高校生捕手が必要だったのか? そこで野田海人というチョイスなのか? 全てが予想外ですが、西武はこういう予想外の3巡目指名をたまにやるよな、と思い出しています。
今年の西武、引きが強い(?)と思ったのは、上位3枠を野手指名に充てながらも、4巡目で青山美夏人を確保できたことでしょう。この順位まで、先発を期待できる大学生が残っていたのはミラクルだと思います。5巡目はまだ投打どうなるか分かりませんが、投手として指名された山田陽翔。6巡目の児玉亮涼は身長166㎝とかなり小柄なショートですが、瀧澤夏央で自信を得て、低身長ショートを狙う決断に至ったのかもしれません(源田が抜けたら高卒ルーキーしか替えがいないというのはどうかと思いますしね)。
次世代野手を確保するという項目は達成していますが、ただ、正直、もう少し先発投手を指名してもよかったのかなという気はしています。育成でも投手を指名していますので、枚数自体は足りそうではありますが、このままいくと来年も平井克典がローテ入りする可能性はありそうです。
【総評】
上位3枠を全て野手に充てるなど、次世代野手を積極的に指名したのは高評価だが、敢えて言えば先発投手をもう少し確保してもよかったかもしれない。
🐅阪神タイガース
★ドラフト前の時点での補強ポイント予想★
・野手(主にセカンド)
◆実際◆
ギリギリの公表(?)になったのが浅野翔吾。正直、大社先発に入札するのかなと思っていただけに驚きではありました。競合の末の外れ1位は森下翔太。阪神は比較的、入札で外したら同ポジションの選手を指名する傾向にありますから、比較的、妥当な選択だったなと思います。2巡目は高校生左腕の門別啓人。この選択はかなり意外でしたが、恐らく阪神のスカウトの中では、高校生投手で最も、今後数年の成長曲線が予測できて、かつ、天井が高そうな投手となると門別だったのかなと思います(高校生投手の中で2番目に指名されたのが門別)。
3巡目は浅野の代償で海老根かと思いましたが、井坪陽生とは驚きました。上背がないことと、全国・代表がない以外はかなりの好選手と思っていましたが、海老根優大より評価していたor古川雄大や海老根が指名できないなら、その次に来るのが井坪だった ということかなと思います。その後は、少しMAXは物足りないものの素材は良さそうな茨木、高卒SS戸井、高卒3年目社会人左腕の富田と続くラインナップでした。
ドラフト直前に、2Bを守れる渡邊諒をトレードで獲得したことで、ドラフトで大社二遊間を狙わなくてよくなったのかな、と思いました。支配下で野手を3名、指名しており、恐らく今年は野手指名が多そうという予想は当たりましたが、大学生野手が1人というのは少し予想外でした。ここ2年は上位で大学生を多く指名していましたが、今年はバランスを取るためか、高校生が上位で2人、支配下全体でも4人というドラフトになったのかなと思わされます。ただ、今年の選手で、圧倒的レギュラーを奪いそうな選手となると正直どうなんだろう、という気がしますし、ここで既存の高卒プロスペクトがどこまで刺激を受けて本格化できるかどうか、がカギかなと思います。
【総評】
高卒プロスペクトが本格化できるかどうかを試すために行なわれたドラフトだったのかな、という印象が強い。
🐥福岡ソフトバンクホークス
★ドラフト前の時点での補強ポイント予想★
・素材型先発投手
・尖った野手
◆実際◆
入札公表のイヒネに代表されるように、尖った野手の指名が多かったという印象で、ここは予想通りだったかなと思います。3巡目の甲斐生海はかなり意外で、上位指名を当てれた人はいたのか?というような選手ですが、東北の選手の指名が多いソフトバンクで、かつ、ポテンシャルに溢れた選手ですから、違和感はないです。6巡目の吉田賢吾は、上位との見方もありましたが、結局はどこもスルーし、6巡目というノーリスクな順位に収まった格好。神奈川のリーグ内では圧倒的打棒を見せる選手なだけに、彼がどこまで打てるかでリーグレベルを把握できそうです。
野手とは対照的に、支配下指名の投手は、ポテンシャルより実戦力をとったという印象。2巡目の大津亮介は意外といえば意外ですが、彼の所属企業からのプロ入りは大半が上位指名なので、納得は出来ます。大野稼頭央も、松本晴も、飛び抜けた個性はないものの、ハマれば伸びていきそうな投手。その代わり、育成ではポテンシャル重視の投手指名をしているのが、棲み分けできているなと思います。来年から使えそうな投手となると大津になりそうですが、先発なのかリリーフなのか、気になるところです。
触れている意見はあまり見ないのですが、今年のソフトバンクの支配下ドラフト、大津と甲斐は福岡出身、大野は奄美大島、松本は樟南高校OBと、6人中、4人が九州・沖縄関連でした。何かしら、狙ってたのかもしれないですね。
【総評】
尖った野手と、実戦派の投手、育成ではポテンシャル全振りという、ある意味ではソフトバンク王道のドラフト。地元選手が多いのもソフトバンクらしいと言える。
🐹横浜DeNAベイスターズ
★ドラフト前の時点での補強ポイント予想★
・捕手
・二遊間
・先発プロスペクト
・右打の外野手
◆実際◆
おそらくギリギリまで検討した末の入札は、高校生捕手の松尾汐恩。前年は支配下指名で捕手を指名しないという年でしたが、今年は高校生捕手の期待株を指名することで、打撃で存在感を示しきれなかった既存捕手たちに危機感を与えたり、場合によっては二軍での出場機会を松尾に割り振るという決断をした格好です。育成でも昨年の都市対抗でホームランを放った上甲凌大を指名するなど、捕手指名に力を入れてきているのが分かります。二遊間は、最近では二塁専になりつつあった林琢真ということで、二塁に牧秀悟が居座るDeNAが指名したのは意外でしたが、ユーティリティの枠で林を捉えているらしく、恐らくプロ入り後はショートも守るものと思います。
いわゆる先発プロスペクトの枠で指名されたのは森下瑠大。DeNAはこういう、二刀流っぽい投手を下位で指名することが多いですが、今年は森下でした。肘の状況が正直わからないのは不安な反面、非凡な打撃力を持った選手なので、3年試してみてダメそうなら野手転向も視野に入るかなと思わされます。支配下の残り2人は、ドラフトでの指名は諦めるのではと思っていましたが、即戦力リリーフを指名したのではと思います。2巡目の吉野光樹は先発の可能性を残すものの、5巡目の橋本達弥は大学でもリリーフ専でした。山﨑康晃のポスティング移籍が濃厚と言われる中、手を打ってきたものと思います。
右打の外野手については育成でも指名がなかったですが、そもそも外野手の指名自体がなかったということで、来年は既存のプロスペクト外野手のうち、結果を残せなかった選手が、ドラフトで入団する選手によって出場機会を削られるのではないかと予測します。とはいえ、二軍で打ちまくっていた宮本秀明がリリースされ、育成の勝又温史を頭数に入れたとしても外野手は少し人数が少ないなという印象。まあ、現時点、育成で3人ほど外野手がいるのでなんとかなるでしょう。
【総評】
捕手とリリーフに関してはかなり重点的に指名するなど本気度が感じられた。二遊間のサブ要員も確保したのも高評価。右打の外野手は来年の課題か。
🐮オリックス・バファローズ
★ドラフト前の時点での補強ポイント予想★
・先発投手
・一三塁
・両翼
◆実際◆
入札公表した曽谷龍平の単独指名に成功し、来季の先発候補を確保。彼以外にも高校生の先発投手を2名も指名し、3人も先発投手を支配下指名するなど、先発の人数不足に対して手を打ってきた印象です。やはり、これまで積極的に指名してこなかったのは、他の補強ポイントを優先してきたためだというのが分かる指名でした。なお、育成ではMAX153km/h以上の投手を3人も指名。オリックスの投手育成力はガチなので、彼らの覚醒に期待してみたいところです。
支配下で他に指名したのが、三塁手の内藤鵬と、強打の外野手(中堅手)である杉澤龍ということで、補強ポイントをすべて賄うという文句のつけようもない指名を成功させています。個人的には、まさかオリックス2巡目まで内藤が残っているとは思いませんでした。スカウトも驚いたのではないでしょうか。三塁手の指名は何度もチャレンジしているものの、全て空振りに終わっていましたが、ついに実ったと言えそうです。あとは彼らがどこまでプロで結果を出せるか。ここにかかってくると言えるでしょう。
【総評】
補強ポイントを全て賄っていくという文句なしの指名。ここに来て編成も理想的になってきた感があり、ここ5年を計画的に使ってきたことを思い知らされる結果となった。
🐧東京ヤクルトスワローズ
★ドラフト前の時点での補強ポイント予想★
・大社先発
・一三塁
・外野手
◆実際◆
ギリギリで入札公表した、吉村貢司郎の単独指名に成功。大社先発を早々に確保して以降は、西村瑠伊斗・澤井廉という、左打の外野手を2人連続して上位指名してきました。ヤクルトは左打の外野手の指名がかなり少ない球団でしたが、今年は大きく動いてきた形です。編成の空白を埋めに来たなという印象を受けました。
4巡目では高校生左腕の坂本拓己を指名し、5巡目では今のところ一塁専の北村恵吾を確保。二塁をやらせてみるという話もあるようですが、現実的には試せても三塁かなと思います。村上宗隆より若い一三塁が、現状だと育成上がりの赤羽由紘だけ(しかもそれ以外のポジションも兼ねる)という状況でしたので、北村恵吾というチョイスはかなり上手くやったなと思います。ヤクルトも他の球団と同様、編成の空白を埋めに来たような指名が目立ちましたね。願わくばここにもう1人、大社先発を入れてみてもよかったようにも思いますが、上位で強打の両翼を2人指名した代償かなとも感じますし、来季は外国人先発等で補いたいところです。
【総評】
編成の空白を埋めに来たような指名で、高評価。野手陣については文句なしだが、敢えて言えばもう1人、大社先発を指名してもよかったかもしれない。
●おつかれさまでした!
予定より2日ほど遅れてしまいました。お待たせしてしまい、すみませんでした。土曜日にでも、ドラフト2022を俯瞰して分析したnoteを出します。よろしくお願いします。それでは次回のnoteにてお会いいたしましょう。バイバイ!
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