ドラフト2023振り返り Aクラス編
では、先日のnoteの続きで、Aクラス球団編を書いていきます。編成に関しては既に書いていますが、今回も目安を書きますと、外国人の退団を反映しない状態で、
先発15 中継18 捕手6 二遊間8 一三塁4 外野12
※カッコ内は(右・左)。DHは一三塁に含む
です。それでは本論。
横浜DeNAベイスターズ🐹
●ドラフト後の編成
先(8・7) 中(14・4) 捕7 二遊11 一三5 外野(4・7)
二遊間の人数がかなり多いのですが、このポジションは三塁や、あるいは外野にも振り分けることができるので、多少多くても特に問題はありません。気になるのは先発陣で、現状は基準値ですが、ここから今永昇太がMLB移籍、バウアーと石田健大の去就が不透明となると、果たして足りるのか?と。松本凌人が先発かもしれない点や、育成の2投手がどこまで先発するかという点が、来季は気になります。
●上位指名どうだった? これでよかった?
「ここ3年は指名傾向がかなり変化している」というのが、今年もかなり出たなと思います。おそらく変えてきそうなので、今年はセンターラインのポジション、場合によっては外野手もあるかと思っていましたが、競合と分かっていて度会隆輝に入札・交渉権獲得しましたし、3巡も外野手として武田陸玖を指名。2年連続の上位で野手2名でもありました。松本凌人は少し意外な選択でしたが、徳山壮磨の指名の際、現状より、過去のピーク値を重視するのでは?という見方があり、それが証明されつつあるのかもしれません。
上位指名のラインナップで言えば、アスリート外野手の度会隆輝、天才アーチスト型の武田陸玖という2人の、タイプの異なる左の外野手を指名し、デプス調整も済ませたのは上手かったと思います。将来の主軸となってほしい2人です。松本凌人は前述通り、先発かリリーフか分かりません。DeNAの2巡目に大社の先発投手が残ってくるか不透明だった以上、度会に入札するなら先発は諦めなければいけないリスクがあったので、トレードオフだとも感じます。3年時のパフォーマンスは素晴らしかっただけに、松本が良い状態に戻るようなら楽しみです。
●今季の課題は克服できそう?
どこまで初年度に数字を残せるか分かりませんが、5巡目で石田裕太郎を指名しており、彼が先発で機能するようなら、最低限の目標はクリアしたかなと思います。1番打者タイプが少ないように思われる中、そこにはまりそうな度会隆輝の交渉権を獲得できたのも良かったなと。リリーフは松本凌人のパフォーマンス次第で、かなりプラスを生み出せる可能性があります。一三塁のスラッガーも、下位で井上絢登、育成で小笠原蒼を指名している点は見逃せません。打てる手は打ったかなと思います。
●跳ねそうな指名選手
度会隆輝・武田陸玖は主軸野手として、大いに跳ねてほしいところです。跳ねるという言葉とは違いますが、松本凌人には本来のパフォーマンスを取り戻してほしく思います。井上絢登・小笠原蒼の、一三塁スラッガーコンビも、跳ねれば一軍スタメンに名を連ねてもおかしくありません。
●入団早々から働いてくれそうな指名選手
石田裕太郎は、彼のピッチングが通用するなら、少なからず貢献してくれると思いますが、一軍で無理であっても二軍のローテにはまり、単なる運用にとどまらず、成長していってくれると思います。
●とりあえずの総評
度会隆輝に入札したことで、上位候補の先発投手を諦めるという選択をしたように思いますが、来季のためだけでなく、数年後のチームも見据えたドラフトだったなと思います。うまくいけば、彼らは3年後にはチームの屋台骨であったり、トッププロスペクトになっているかもしれません。
福岡ソフトバンクホークス🐥
●ドラフト後の編成
先(12・6) 中(13・4) 捕6 二遊10 一三6 外野(3・8)
先発陣が現状ですとかなり多いですが、ここから何人かはリリーフに割り振るでしょう。外野手は育成が数名おり、必要人数に届いてくるはず。育成を多く指名しているので、基本的に、どこかのポジションが足りていないということは起きづらくなっています。二遊間が少し多いですが、廣瀬隆太も二塁に入れているので、彼が一塁に戻る可能性も十分にあります。
●上位指名どうだった? これでよかった?
武内夏暉への入札を公表したあたりから、今年は何か違うのでは?と感じていましたが、かなり例年とは異なり、ロマン振り切れ度が薄くなり、ハイフロアな選手を指名していったなと感じます。これまでの傾向がついに使えなくなる日が来たかなと思いますが、今年の指名をどのように分析するかで、来年のドラフトの予想の幅が振れてきそうです。
外れ1巡指名で高校生の前田悠伍を確保した関係で、2巡目で大学生先発を確保したのかなと感じます。岩井俊介が残っていてよかったなといったところですね。廣瀬隆太はこの位置まで残ってくるとは思っていなかったでしょうし、良いピックになったのではないでしょうか(いなければ真鍋慧だったのかな)。全員、最低限の実戦力と、さらなる伸びしろを持った選手です。
●今季の課題は克服できそう?
投打ともに一軍主力の貢献度が落ち気味であり、一軍に残れるか際どいところまで落ちてきた選手を、今年の指名選手らが脅かすようになれば、その時点ですでに、この指名をして良かったとなると思います。正直、ここ数年の指名者で、本気で一軍主力(リリーフ以外)を駆逐するような選手はいませんでしたが、今年は本気で食う可能性があります。こういう指名が求められていたのです。
●跳ねそうな指名選手
前田悠伍と廣瀬隆太は、育った場合、エースと主軸になっていそうなぐらいのスケール感と実戦力があります。独立リーガーの大泉周也も、ストレートに対応していければ、面白い選手になれそうです。
●入団早々から働いてくれそうな指名選手
岩井俊介は先発で、大山凌はリリーフで、それぞれ、初年度から数字を残していってくれるのでは、と感じます。ストレートの球威向上待ちの可能性もありますが、村田賢一も先発でイニング食えるかもしれません。
●とりあえずの総評
これまでのソフトバンクのドラフトとは?と言いたくなるほどの、良い意味でミーハーで、かつ、必要なポジションには指名者を割り当てるという、良い指名だったなと感じます。尖った選手を指名するのはロマンにあふれてて楽しいと思いますが、やはり少なからずの完成度は必要だよねというのを教えられている気がします。
広島東洋カープ🎏
●ドラフト後の編成
先(10・6) 中(12・6) 捕7 二遊8 一三7 外野(5・7)
特に足りないポジションのない編成に。野手は元々、そこまで切るような人員が多くなかったのもあり、支配下で1名のみでも特に問題はなかったと思います。高太一を先発で使うのか、リリーフにするのかは今のところ分かりません。
●上位指名どうだった? これでよかった?
ここに書くのを忘れてしまったのですが、「3巡目はスリップしてきた選手を確保するために使われることが多い」というのがあり、今年で言えば滝田一希がそういう指名だったかなと思います。他の傾向についてもほぼ沿っています。東都の常廣羽也斗は、かなり前に公表していたことで、「誠意」という形を示した格好です。カープは新監督が迎える二度目のドラフトは1-3巡すべて投手というケースが多いのですが、今回もまさにそういうドラフトでした。最近は、上位で左腕を2人指名する年も増えてきましたね。
1位でローテ候補の常廣羽也斗を確保し、2-3巡で、先発もリリーフも睨める高太一・滝田一希を指名できたのは良かったと思います。滝田はかなり荒れ球タイプですが、カープは上手く導いていけるかどうか、注目したいです。
●今季の課題は克服できそう?
先発投手が必要だなと思ったところに、常廣羽也斗を確保し、先発も睨める高太一や滝田一希も確保できたことで、ここについての見通しはよくなりました。次期セカンドの一角として、佐藤啓介を指名したのもGOOD。強いて言えば、相変わらず次期CF候補がどうなるのか分からないのは不安ですが、とりあえず来季は他ポジから持ってきたりするのでしょうか。
●跳ねそうな指名選手
仲田侑仁はかなり好みのスラッガーで、彼の売りである長打力を磨いてくれれば、外国人に依存しない主軸を組めるようになるかもしれません。佐藤啓介も、二塁ながら長打力がすさまじく、二軍で活躍してくれたら見通しは明るいです。投手では赤塚健利に注目。とにかく規格外のビッグサイズ剛腕なので、クローザーになる可能性もあるのではと思います。
●入団早々から働いてくれそうな指名選手
常廣羽也斗は故障以外で失敗する画を描きづらい投手ですし、まずは10~15先発・100イニングほど投げてくれたらと思います。高太一もフォームや制球が良く、リリーフだと即戦力に近い活躍を見込めますし、先発でも5回ぐらいまでなら投げてくれると思います。
●とりあえずの総評
思い切って投手指名に多くのウエイトを割いたドラフトでした。野手は下位以降ながら、リターンの大きそうな野手を多く指名しているのは好印象。CF候補の指名は来年でしょうかね。
千葉ロッテマリーンズ🐟
●ドラフト後の編成
先(13・4) 中(15・4) 捕6 二遊6 一三7 外野(5・5)
二遊間と外野手はかなり少なめ。育成がどちらも複数いるので回せるとは思いますが、度会隆輝が欲しかっただろうなと感じます。ドラフト前、野手も足りてないと吉井監督がコメントしていたので、野手も多めに指名するのかと思っていましたが、育成を含めると4名の野手を指名し、改善しようとしています。
●上位指名どうだった? これでよかった?
今年に関して言えば、かなり例年とは変えてきた部分が多かったです。昨年上位指名した、大学生右腕・高校生右腕というところを今年も上位指名していますし、センターライン以外の野手を上位指名したのも、清宮・安田の年以来ではないかと思います。これまではセンターラインの野手を多く指名することで守備を固め、これからはそれ以外のポジションで、打撃のアドをとろうとする段階なのかもしれません。
1巡指名だけでも4回も行った割には、上田希由翔を指名できたのは今年の市場のおかげでしょうか。2巡目で独立リーグの大谷輝龍を指名した時は驚きましたが、これまで上位指名してきたリリーフを、今年は独立リーグから賄ったと考えると、そこまでイレギュラーではないと思います(2巡目で指名予定だった上田希由翔を1巡目に繰り上げたため、2巡目が空いたと考えることもできます)。3巡目は昨年に続いて高校生右腕の木村優人。ここ5年で4人目となる高校生右腕の上位指名となりました。これは傾向として考えても良いかもしれません。
●今季の課題は克服できそう?
リリーフが定まらないことが、優勝戦線から離された要因のうちのひとつでしたが、今年はここを大谷輝龍の指名という形で打開しようとしたのかなと思います。もうあと1人ぐらいリリーフ指名があってもよかったですが、大谷には頑張ってほしいです。野手は上田希由翔がどこまで打てるかがカギを握りそう。ただ、もう少しスラッガー候補を指名しても良かったのではというのはあります。育成の高野光海に期待したいですね。
●跳ねそうな指名選手
大谷輝龍は、かなり期待されての指名と思いますし、クローザーを奪うぐらいの気持ちで跳ねてほしいです。木村優人・早坂響の両高校生右腕も、競い合って2人とも先発ローテに入れるようなら万々歳。ロッテの投手育成に期待です。
●入団早々から働いてくれそうな指名選手
上田希由翔はスタメンで使えば、何も残せないということはないと思います。チーム事情を考えるなら、二塁が守れるとかなり大きいですが、どうなるでしょうね。
●とりあえずの総評
クジで外れたのもありますが、大社先発よりも野手やリリーフ、将来の主力候補の指名を重視し、「是が非でも来年優勝」というスローガンを立てすぎて指名が偏ってしまうのを我慢したドラフトだったと思います。ただ、翌年優勝したチームが、その前年のドラフト指名選手の大活躍に支えられたというケースは実際そこまで多くないので、この指名方針で良かったと思います。今後はもう少し本格的に、スラッガー確保のほうへシフトする可能性もあるでしょう。
阪神タイガース🐅
●ドラフト後の編成
先(11・5) 中(11・7) 捕7 二遊9 一三6 外野(8・3)
外野手のみ、少し少ないものの、育成で外野手を指名していますし、特に問題はないかと思います。二遊間が少し多めなので、誰かを一三塁や外野に移すのかもしれません。
●上位指名どうだった? これでよかった?
何よりも、下村海翔の入札がかなり異例でした。身長の低い右腕・単独指名・青学大。身長175㎝未満の大学生右腕の1位入札は、1966年(第二回目ドラフト)の八木沢荘六さん以来というミラクル指名であり、村上頌樹の成功を見て味をしめたのかなと感じます。下村と阪神との繋がりですが、二軍コーチの日高剛が下村と同じ、九州国際大付OBなので、ギリギリで関連はあります。それを含め、優勝チームのドラフトにはよくありますが、これまでの傾向を意識しすぎると指名プランが狂いまくるので、かなり特殊な指名をしたようにも感じられます。
下村海翔を単独指名し、真鍋慧を指名するのかなと思いきや椎葉剛。直前の大谷輝龍の指名を見て、ここで行かないと指名できないと考えたのかもしれませんが、1-2巡・3-4巡・5-6巡が、同い年で同じポジション(利き腕)になっているので、セット指名プランを持っていたのかもしれません。なお、百崎蒼生より山田脩也を上で指名したのも、かなり意外でした。
●今季の課題は克服できそう?
正直、特にどこが致命的に弱い、プロスペクトもいないというような問題のないチームでしたので、今年に関しては、良い選手をしっかり確保し、しっかり伸ばしていくことが出来れば、特に問題はないと思います。
●跳ねそうな指名選手
椎葉剛の2巡目は驚きでしたが、彼が近いうちにセットアッパーやクローザーにはまるようなら、独立リーグ界にも好影響があると思います。野手では百崎蒼生が、今年のフィジカルショート枠の一人なので、スケールの大きい野手になってくれればと願います。
●入団早々から働いてくれそうな指名選手
下村海翔は故障とガス欠がなければ、阪神の厚いローテの中にでも割って入れるでしょう。石黒佑弥もこの順位で指名できたのはかなり美味しいですね。リリーフも出来そうですが、先発で見てみたいです。
●とりあえずの総評
優勝チームですと、高校生の指名が多くなるケースも多々ありますが、それぞれの順位でしっかりと良い選手をピックした指名であり、コンセプトも感じる指名だったと思います。3つの競争が支配下で起きそうですが、それぞれ切磋琢磨してほしいです。
オリックス・バファローズ🐮
●ドラフト後の編成
先(10・5) 中(16・1) 捕5 二遊10 一三5 外野(4・8)
先発は現状ですと必要十分ですが、山本由伸のMLB移籍や、山﨑福也のFA等を考えると少し足りなくも感じます。ただ、二軍ローテで回っている育成枠の選手も複数あり、なんとかなるかなと感じます。それ以上に気になるのは捕手。まだ育成で1人、捕手を抱えているので6人いますが、かなりギリギリの人数なので、複数人の故障者が出た場合はどうするのかと不安になります。
●上位指名どうだった? これでよかった?
真鍋慧か、あるいは前田悠伍の単独指名かと思っていましたが、横山聖哉は少し意外でした。とはいえ、ショートを守れる真鍋慧と考えれば、かなり有望株。2巡目は少し意外にも感じましたが、昨年も指名した高校生右腕の河内康介。もしかしたら椎葉剛の上位指名を狙っていたのかもしれません。3巡目は東松快征を確保。ここで高校生左腕を確保した形となりました。大筋で言えば、指名傾向とかなり沿った上位指名だったのではと思います。
結果的には全て高校生となりました。優勝チームですとウェーバー順が遅く、2巡目で高校生以外を指名することが難しくなることがよくありますが、今年のオリックスはまさにそういう年だったのかなと感じます。指名した選手たちはどれも粒揃いなので、上手く導いていけば主力になるような選手たちです。
●今季の課題は克服できそう?
圧倒的な投手力の反面、今年は打撃で苦労しましたが、それを今年のドラフトで解決するのは難しいため、プロスペクト野手を指名するのが大事になります。そう考えますと、横山聖哉・堀柊那を指名できたのはGOOD。彼らの跳ね方に期待です。
●跳ねそうな指名選手
1-4巡の高校生選手たちは、跳ねればリーグのスター選手にまで登り詰められるような選手だと思います。まずは最初の3年間が勝負。故障しないように、身体を鍛えつつ、技術を磨いていってほしいです。
●入団早々から働いてくれそうな指名選手
5-7巡の社会人投手たちに期待したいところです。その中でも、やはり古田島成龍が一番気になりますね。上位候補と目されたこともある実力を発揮してほしいです。
●とりあえずの総評
1-4巡と5-7巡で世界観の違うような指名となりました。オリックスは少数精鋭で運用しているため、故障が多いであるとか、試合に出せるほどの実力がなければ、どんどん育成落ち・解雇されてしまいます。故障しないためにもビルドアップに励み、期待されているうちにしっかりと結果を出して、黄金期を迎えつつあるチームの主力になっていけたらと願います。
おつかれさまでした!
Bクラス編とまとめても良いかと思いましたが、1万字近くにもなりましたので、分けて良かったなと思っています。次回は上位指名と、ドラフト全体を分析したり、俯瞰したりするnoteを書きます。今週中には書き終えたいです。日本シリーズも連日の熱戦。今年はどちらが日本一に輝くのでしょうか。それではまた、次回!
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