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― 伝えることの大切さ ―

 タイムリーに伝えてさえいれば良かった!

 今回の例は、とある酒屋さんのポイントプログラムがあらぬ方向、意図することとは正反対のあらぬ方向に解釈されてしまった件です。ポイントプログラムの趣旨を伝えるパンフレットを配るか店頭に掲示していれば、はたまた、店員さんがその場で適切に伝えることができていれば、何の問題も起きなかったのです。でしょう。

酒屋さんの意図:
 当店の常連となっていただいて、月3千円ぐらいのお酒を当店で毎月購入いただける常連となっていただければ年1回『十四代』というプレミアムが付いている特別なお酒を定価で購入できる権利を差し上げます(この意図は僕の勝手な解釈で、酒屋さんに確認したわけではありません)。

とあるお客さんのあらぬ方向の解釈:
 十四代を買いたかったら、抱き合わせ販売に応じて今すぐに3万数千円分の買い物をしろ。

1週間ほど前のFacebook投稿(とある日本酒グループにて)
『店頭で十四代が販売されているのを見て、購入したいと言ったら、ポイントがないと販売できないと言われた、十四代を買うために今直ぐに35,000円分の買い物をしろというのか?抱き合わせ販売だ!ひどい酒屋だ』(僕が後述のコメントをした後に投稿自体が消されてしまい、スクショなどは取っていないので僕の記憶によるものです)

 酒屋の実名は出していませんでしたが、日本酒に詳しければあの店だと特定できる情報を含んだ投稿で、僕も読んだ瞬間に、僕が通っているあの酒屋だと直ぐに解りました。この投稿に対して、
『けしからん』
『そんな酒屋は駄目だ』
『その酒屋知っているけど、自分は二度とその店では買わない』
といった否定的なコメントが30ぐらい続き、プチ炎上状態でした。僕はこのコメントに非常に大きな違和感を覚え、以下の様なコメントをしました(投稿が消されてしまった時点で僕のコメントも消えてしまい、コピーを取っていなかったので、記憶をたどっての再現です)。

僕のコメント
『僕は毎月20~30千円を家飲みの日本酒、ワインの購入に充てています。この店のこのポイントプログラムを知った時、自分の毎月の酒代の10~15%をこの店に振り分けると1年後に十四代を一本定価で買える権利をもらえるなんて素晴らしいと感動しました。ちょっと言い方を変えてみると、毎月3、000円クラスの一升瓶一本あるいは1,500円クラスの四合瓶を2本買い続ける、この程度の常連になるだけで、十四代を1年に1本定価で買える権利をもらえる、ということに小躍りしたわけです。
 このポイントプログラムを、『十四代を買いたかったら今35,000円分の買い物をしろ、抱き合わせ販売に応じろ』という趣旨であるとは僕は全く考えたことがなく、こういう考え方もあるのだと非常に驚いています。お店の意図は、お客様とは長いお付き合いがしたい、そのために毎月3,000円程度で色んな日本酒を当店で試してみませんか、そのような長期的なお付き合いをしていただけるお客様には、十四代を1年に1本定価で購入できる権利を差し上げますよ、ということであり、あなたが仰る様なことではないと思います。
 十四代の様なプレミアムが付いたお酒の販売方法は難しいと思います。例えば、抽選販売。手間がかかりますし、それだけが目当てで他の商品を一つも買わない、お店にとっては迷惑な人が来たりすることにもなりかねません。では、常連に販売する場合はどうか。どのような常連さんにどれだけ販売するのか、管理がこれも煩雑ですし、ブラックボックスに入ってしまいお客にはわかりにくいものとなるでしょう。
 その点、このポイントプログラムは、どの程度の常連になればどれだけの特典が得られるのかという目安が明確で優れたものであると感じましたし、今現在もそうだと僕は信じています。』

謝罪と稿削除
 僕のこのコメントに対し、投稿をした方から『お店を攻撃するつもりはありませんでした。すいません』という趣旨のレスが間髪入れずに入り、僕は、直ぐにこの方は悪意持った方ではなく、単に勘違いされていただけなのだなと理解しました。そして、その数時間後に、この方は『前の投稿は気分が良くないので消します』という趣旨の別の投稿(どうも、その後この方は僕をブロックしたらしく、この投稿も見ることができなくなったのでこれも記憶です)をして、ポイントプログラムに関する投稿が削除されました。
 僕のコメント直後に投稿を消した理由は、投稿者ご自身の解釈よりも僕の解釈の方が的を射ていると認められたからだと推測しています。

ポイントプログラム詳細
 この酒屋さんのポイントプログラムは、以下のようなものです。購入金額100円毎に1ポイントもらえ、1ポイント1円で通常商品の購入の際に利用できる、プレミアム商品の購入においては商品毎に決められたポイントを持っていればその商品の購入権利を得られる(プレミアム商品の購入の場合、ポイントは差し引かれますが、商品代金には充当されず、単にポイントが減るだけです)というものです。ポイントを貯めないと買えないお酒はいくつかあって、日本酒ならば十四代以外に田酒、飛露喜等、焼酎では百年の孤独等もこのプレミアム商品に該当します。
 購入権利とは、十四代の場合、毎月1~2回売り出し日が決められ、早い者勝ちで購入できるという権利で、在庫が無くなり次第販売終了となります。従って、ポイントを貯めたから必ず買えるというわけではありません。
 十四代、小売店の店頭ではまず目にすることができない山形県の高木酒造が醸す日本酒です。購入には350ポイントが必要です。これが、前述の毎月3,000円クラスの一升瓶一本あるいは1,500千円クラスの四合瓶を2本買い続けることを1年継続すれば十四代を購入できる権利を得ることができる、という意味です。必要ポイント数が50ポイントであったり、200ポイントであったりする商品もあり、それらの多くは特に発売日が決められておらず、ほぼ常に在庫があるように見受けられます。

十四代とは何ものなのか?
 さて、この十四代とはどれほどのお酒なのでしょうか。十四代が世に出たのはウィキペディアによると1994年。僕が十四代の存在を知ったのは2,000年頃だったと思います。そのころから入手困難で飲食店では飲めるけれども小売店の店頭には並ばないお酒で、十四代を扱っている酒屋は常連にしか売らないと言われていました。そんな中、扱っているという酒屋の名前が聞こえてきて、実際にその店にお酒を買いに行ったことがあります。当然店頭に十四代が並んでいることはなく、十四代はないですか?と聞くと、ありませんというだけの回答。店の人に、常連になったら十四代も購入できると聞いたのですがどの程度の常連になればいいのですか?などと聞く勇気も持ち合わせていませんでした。
 10年ほど前にどうしても家で飲みたくて、一度だけヤフーオークションでゲットしたことがありますが、一升瓶を25,000円程度で落札しました。それ以降、十四代とは飲食店で飲むものだと自分に言い聞かせてきました。最近のヤフーオークションでの十四代の過去120日の落札価格を調べてみましたが、最低価格は大阪府内限定配送の角新純米生酒の13,860円でした。ちなみに僕がこの酒屋で最近購入した3,630円(税込み)の龍の落とし子純米吟醸は20,000円から46,750円の間でざっと見て110本ぐらい取引されていて、80本ぐらいが40,000円以上でした。定価で購入して転売すれば30千円以上儲けられるというお酒なのです。

ポイントプログラムとの出会い
 この酒屋さんのポイントプログラムと出会ったのは3年ぐらい前のことでした。それ以降コツコツとポイントを貯めて、購入できるところまでポイントを貯めましたが、なかなかタイミングが合わなくて購入できなかったのですが、2か月程前に発売日から結構日にちが立っていたにもかかわらず、ついに十四代を購入することができました。飲食店への出荷が減って小売りに回る本数が増えて買いやすくなっているのではないかと想像しています。

酒屋さんと僕との関係
 さて、誤解のないように申し添えておきますが、僕はこの酒屋さんとは平均すると月2回ぐらいの買い物をしているというだけの関係です。現在、僕は自分の会社を立ち上げてコンサルティングを生業としていますが、この酒屋さんのコンサルに入っていたり、経営陣の方と面識があったり、行けば店の方と談笑するほどの関係性を築いていたりもしません。買い物に行けば、普通にお会計して終わり、親しげに店長さんや店員さんと談笑することもありません。というか、どなたが店長さんかも存じ上げていません。投稿へのコメントは僕が誰に頼まれたわけでもなく、理不尽な言われ方をしているのは見逃せないと感じてしたものです。
 ポイントカードを作った時には、ポイント貯めれば十四代も購入できるのだと認識しましたが、特に詳しい説明を受けた記憶はないですし、店頭にも詳しい掲示などもありませんでしたし、今もありません。
 ポイントプログラムの趣旨を伝えるパンフレットを配るか店頭に掲示していれば、知らぬところであらぬ解釈をされてプチ炎上してしまうことはなかったと思います。またこの投稿をした方は、店員さんに十四代を購入したい旨を伝えたとのことですので、その店員さんがその場で適切にポイントカードの趣旨を説明できていれば良かったのです。

 素晴らしいサービスを提供していても、その意図を適切にタイムリーに伝えないと問題を引き起こしてしまいます。それを再認識した案件でした。

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