シェア
みしか
2019年8月30日 22:18
あの夜から、3週間が経った。 一人になることに抵抗はなく、ユウイチくんのいない生活には思ったよりも早く慣れていった。結局、私は彼に心を開いていなかったということなのかな。いつでも私のペースで生活をしていて、彼はあくまでも合わせてくれていただけ。彼は、私が彼に合わせていると思っていたかもしれないけれど、実際は逆だったのかもしれない。私は、結局どんなときも自分のやりたいことを優先しているのだ。
2019年8月29日 21:53
カシャカシャと軽い音を立てながら、たくさんの書類がコピー機のなかに飲み込まれていく。社内では電子でもいいが、さすがに社外での打ち合わせではまだまだ紙ベースである。基本的に自分のことは自分で、が徹底された社内で、若い女性社員に「これコピーとっていて」をする男は嫌われる。「渡辺さん、コピー終わりました。」「よし、じゃあ行きますか。」 先輩の渡辺さんはいかにも“優男”って感じで、人当たりも
2019年8月21日 22:41
たとえば、爪をじっくりと眺めてみる。大きくも小さくもない私の爪は、当たり前のようにそこに存在していて、でも私以外の誰にも必要とされていない。去年買ったばかりのネイルポリッシュには、ずいぶん前に飽きてしまった。爪はペラペラになるし、ずぼらな私には向いていない。数週間に一度、爪磨きをするくらいの手入れが私にはちょうどいい。「サトコはネイルとかしないの?」 ユウイチくんが、放り出された私の手を