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僕の好きなアジア映画83: 青い塩

『青い塩』
2011年/韓國/原題:푸른 소금/122分
監督:イ・ヒョンスン(李鉉升)
出演:ソン・ガンホ(송강호)、シン・セギョン(신세경)、チョン・ジョンミョン(천정명)、イ・ソム(이솜)、イ・ジョンヒョク(이종혁)、キム・ミンジュン(김민준)、ユン・ヨジョン(윤여정)、キム・レハ(김뢰하)、オ・ダルス(오달수)

本作は西森路代著「韓国ノワール その激情と成熟」に掲載されていた映画です。

プロットは以下の通り(ネタバレ)。
ヤクザから足を洗おうとしている元組長は、自分の営む食堂を持つという目的で、故郷に戻り料理学校に通う。そこで知り合った年の離れた女性と淡い恋心を通わせるのだが、実は彼女はヤクザ組織の命を受けて主人公を監視していて、さらには殺すように命令される。簡単にいうとこれだけなのです。基本的にはそういう感情を持ってはいけない者同士が、恋愛感情を持ってしまい、それ故の葛藤が単なるノワールだけではない切ないドラマを形成します。

料理教室のソン・ガンホとシン・セギョン

元ヤクザの主人公にソン・ガンホ。もはや韓国を代表する俳優であることは言うまでもありません。シリアスな役柄であっても、どこかユーモラスな空気を醸し出す、代わりの効かない唯一無二の俳優ですが、本作ではかっこいいんです。ほぼ二枚目と言って良いです。

そして年の離れた殺し屋役にはシン・セギョン。売れっ子の女性俳優ですが、本作でも真っ直ぐな良い演技です。目のメークがちょっと時代的に今みるとキツイですけど。

さらには殺し屋のボスに、韓国を代表する大女優ユン・ヨジョン。何を演じてもいい味出します。

そういえば映画『小公女』のイ・ソムも出てましたね。この頃21~2歳?
やはりメイクがちょっと時代を感じさせますが、この当時から目力は
強いです。

全編ブルーを基調とした印象的な映像と、コリアン・ノワールに淡い恋愛感情を組み込んだことで、独特の空気感のある映画になったと思います。また映画のラストで、人が銃で撃たれるシーンをこれほどまで美しく見せた映画はないのではと思わせるほど、本作での塩田での銃撃シーンには魅了されました。


しかし最後の描写は、僕は個人的にいらないと思います。主人公は実は生きていて(彼女の手製の銃弾の意味はそこで回収されるのですが)、どこか知らないけど南の国で食堂を経営をしている幸せそうにしている2組のカップル、なんて間抜けな絵は必要でしょうか。銃撃シーンで終わった方が美しい悲劇としてより強く記憶に残ったように思われます。全体の詩情を損ねてしまった感じがしますが、皆さんはどう思われますか。



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