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僕の好きなアジア映画79: 祝宴! シェフ

『祝宴!シェフ』
2013年/台湾/原題:總舖師:移動大廚/145分
監督:チェン・ユーシュン(陳玉勳)
出演:キミ・シア(夏于喬)、リン・メイシュウ(林美秀)、トニー・ヤン(楊祐宁)

めちゃくちゃポップで、めちゃくちゃお馬鹿な料理系コメディーです。監督は『1秒先の彼女(2021年)』の台湾ニューシネマの異端児チェン・ユーシュン。彼にとって『熱帯魚 (1995年)』、『ラブ ゴーゴー (1997)』に続く作品で、前作から16年ぶりの長編です。

物語はたわいもないものです。モデルをしている主人公が恋人の借金の取り立てのために都会から逃れ、故郷で母(継母)の食堂を手伝うようになります。死んだ父親はこの国を代表する料理人でしたが、母も本人も全く料理の才能がありません。ひょんなことから作った料理が認められて、宴席料理の大会に出場することになるという、それだけ。

主演はキミ・シア。司会業もこなす女優さんらしいのですが、もはや脳天気とも言えるコミカルな役どころをとてもキュートに演じています。

キミ・シア。可愛いけどお馬鹿。

母を演じるのは台湾では知らない人はいない(らしい)というリン・メイシュウ。存在そのものに爆発力があります。実力派の女優さんで、もはや貫禄のコメディエンヌ。

リン・メイシュウ

さすらいの料理ドクター?卵とトマトの炒め物が絶品(らしい)。この映画に登場する唯一の二枚目。

その他わけのわからない(?)キャラクターも多数登場。

借金取りもいつしか仲間にされて。
オタク系の召喚獣トリオ。台湾でもオタクはオタク。


ほんとうにくだらなくって(☜褒めています)、最高のお馬鹿映画ではないでしょうか。リズムがあって、漫画的(といって良いと思う)なカットや表現もあって、登場人物のキャラが各々濃くて、ずっと笑いが止まらず、しかし最後にはほろっとさせられます。本当にたのしい映画で、見終わった後に幸福感があります。

食物の監修が素晴らしく、登場する料理が全て美味しそう。そしてポップな原色の目の覚めるような美術。こういう原色の色彩感覚は『先に愛した人』でもそうでしたが、台湾のポップな映画の一つの特徴になっています。日本版の映画のポスターはやはりいただけないのだが、「しあわせで満腹!!」のコピーはだけは同感。ちょっとやり過ぎかとも思いましたが、いや、これで良いのだと思います。お馬鹿映画の傑作です。

第16回台北映画祭助演女優賞 - 美術賞、第13回ニューヨーク・アジア映画祭観客賞、第12回イタリア・アジア映画祭観客賞


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