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働く上でビジョンがなぜ重要性なのか。

タイトルの内容が議論されることはよくあること。
今となっては「ビジョン」は当たり前的に、人が働く原動力と言われ、企業が成長する根幹と言われている。ほとんどの人がそれに共感をしていると思う。

そんな中でなぜnoteに改めてまとめるか?というと、
自分自身の理解度がなんとなくだったと下記の著書で感じたからである。
なぜ大事なのか?と5回繰り返したときに納得感のある答えを出せる?と問うと意外と自信がなかった部分もある。

この著書の一部を切り取りながら、なんとなくだった共感を確かなものに変えていこうと思う。

ビジョンがあれば人を動かせる

冒頭で解説される「ピーチ・アビエーション」の事例。

ピーチの当時のCEO 井上慎一さんは「戦争をなくしたい」というビジョンを掲げているというのは有名な話だと思う。
その意図としては、「若いうちから海外に行き、その国の文化に慣れ親しんだら爆弾なんか落とせないでしょ」と。お金がなくても若いうちにどんどん海外に行くことができればいずれ戦争はなくなるという非常にわかりやすく、共感を生み出すビジョナリーな考えである。

ビジョンは夢を見せる不思議なパワーがあると思う。
ただ、諸刃の剣でもあることを著書では教えてくれた。

意味があることを作る難しさ

ビジョンには意味が求められる。
なぜ、そのビジョンを掲げるのか?それを目指すことによってどう変わるのか?何が大事なのか?

ただ、この意味を定義することは難しい。
自分達で見ている視点と他者から見る視点にどうしてもバイアス部分での違いが生まれてしまうからだ。

著書の中で、中川さんは
「奈良の魅力は奈良の人ではなく、東京の人に教えてもらった」という。
東京から来るクリエイターが京都よりも奈良が良いという人が圧倒的に多かったらしい。

実際にこれは私自身もよく聞く話で、なるほどと思ったのだが、
奈良の魅力を伝えるために一生懸命、地元で取れる高級食材を使ったフルコースを振る舞うよりも案外地元の人が食べるソウルフードが良かったりする。
その一生懸命に「意味」がないことはないのだが、奈良の魅力を伝えるという意味を持って掲げて提供した価値も実際には求められる価値ではないということ。

自身への眼差しを向けることは難しいのである。

師を見るな。師の見ているものをみよ

ビジョンの浸透度の高い企業やブランドはそれが会話や行動に落ちていることが多い。

一方で、多くの企業では、そのビジョンは一般的に言葉で語られる。コーポレートサイトやブランドブック、あるいは採用ページや資料など。

ビジョンは非常に抽象的なものが多い。
有名なのはサイバーエージェントの下記のビジョンだろう。

https://www.cyberagent.co.jp/corporate/vision/

側から見れば、それってどういうこと?んで、それはどういう会社なの?その定義は?などのツッコミポイントが多く出そうな言葉だ。

多くの企業でもビジョンの定義や意味の解説など、従業員をはじめ、ステークホルダーが理解するために解像度を高めることをやっていると思う。

では、なぜビジョンは抽象的なのか?
それは、時代と共に変化したり、アップデートされる前提にあるものだからだと思う。
だからこそ、定義を決めたり、解説を重ねてもそれが短期的なもので、中長期的にはあまり意味をなさない。

それよりもわかりやすいのが見出しにもある「師を見るな。師の見ているものをみよ」である。

能の世界の言葉でなんとなく私も知っているフレーズだ。
ここにビジョンを浸透させる秘訣が隠されている。

ビジョンを理解しているものを「師」としたときに、
きっとその「師」がやっていること自体はいわば具体的な下部構造を見ることになる。一方でその具体的なことをやっている「師」が見ている先には下部構造ではなく、抽象度の高い上部構造としての理想の能がある。

つまりは、「師」の行動が先のビジョンに繋がると思えなくても、「師」はビジョンのためにその行動を行っているのだから見ている先を一緒に見ることでビジョンへの解像度が上がるのではないか。

今やっていることを見てもそれは一部にしかすぎないし、変わっていく。ただ見ている絵は変わらない。そこを見ることによって本質的な理解ができるという話には非常にわかりやすい考え方だと共感した。

1事業会社、1ビジョン

ちなみにビジョンがあることによってやれなくなることもある。
ホールディングスであればさらに抽象的なビジョンを立てて、それに紐づけることも可能だが、一層の事、事業会社毎に分社化して掲げた方が理想なのではないか?という考え方もある。

テテマーチもソリューションとプロダクトで事業部が分かれており、ミッションは同じだが、その手前の中間地点やカルチャーも多少の違いがあるので同じ考え方もできなくはないと思った。

ゴーイング・コンサーンかミッション・コンプリートか

ビジョンは達成しないものと捉えられがちだ。
だた、パナソニックの例を見ると、

今の時代、多くの会社が掲げているのは「安全、快適、便利を実現する」ということが多いが、その仕事は今やアフリカにしかないかもしれない。
先進国に関しては既にミッションコンプリートしているのではないか?という話。

ビジョンは達成を目指すものだけど、永続性も求められる。
論理的には破綻している。
目標の達成は早い方がいいが、ビジネスを永続させるには時間軸の長いビジョンを掲げた方が良い。
本質の異なる2つの圧力に引き裂かれている。というもの。

かつて松下幸之助が掲げたビジョンはほぼ達成したので次のステージに進みます。と宣言してもいいのではないか?

だからこそビジョンは背負えるギリギリの大きさにすることが大事。
しょっちゅう変わるのはナンセンスだが。

本当の言行一致とは?

結局は掲げたビジョンに対して本当にそう思っているか?2

SNSの時代においてめちゃくちゃ重要の考え方。
三密を避けろと言いながら宴会をやる政治家や官僚はもちろん、本音と建前の使い分けの負荷に耐えられなくなっている。

であればそもそも裏を持たないことが大事ではないか?

人が見てるところで良いことするのは誰でもできる。誰も見てないところでエエことできるか?(陰徳を積むこと)

それができることが本音と建前がない人なのではないか?
その本音と建前、いわば裏表がないことが結局のところ、本当に強く思うビジョンに落ちてくる。

サマリー

という感じで、著書に書かれている言葉をピックアップしながら考察を交えて整理してみた。

ビジョンとは、簡単なものではないことがよくわかる。
そして本当に働く人の原動力になるビジョンがどういうことなのかが見えてきた。

  • 意味をどう作るのか?

  • それをどう浸透させるのか?

  • 複雑なものになっていないか?

  • ビジョンをどこまでの距離で置くべきか?

  • 本当にそう思えるものにできるか?

この辺の解像度が高いものが本物のビジョンである。

おわり。

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