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(115)街へ行く。5 秋と渋谷

ホトトギスの花が咲いていよいよ秋らしくなって来た庭から摘んできた植物たち、見つかるのはムラサキシキブにキンミズヒキ、エノコログサと実の物が多くなっている。

昨日からしているアヤメ染めの続きの作業して、午後から渋谷へ出かけた。久しぶりに渋谷へ来たのでMとセンター街のラーメン屋博多天神へ向かう。一番好きなラーメンで、ここの白い豚骨スープは濃厚だけど胃もたれしない。へんな油が入っていないのだと思う。それから店の前の古本屋でしばらく本を見て回って、星幸恵さんの個展をしている宮益坂のウィリアム モリスへ向かった。記憶で歩いていたら道に迷って、宮益坂の裏通りはまったく歩いたことがないねえと話しながらスマホで場所を確認して程なく到着したけど、都心では道に迷ってもせいぜい違う駅に着く程度だからタイトな約束でもなければまったく焦らない。

ー“If it would last” それは果てのないもの
星さんの手書き文字と繊細な手仕事の作品たち、言葉がおさめられたホオズキ、涙を採取して作られた作品がゆらゆら揺れる側でコーヒーを飲むと不思議とこころが落ち着いた。死んだ人が成長していく、と星さんは話していたけれど、過去の時間と今とを作品が緩やかに繋いでいるような気がした。

古本屋で見つけた高田敏子の子供向けの詩の本と星さんの作品集。偶然だけど呼応している。新月の時間の中で何かがまた始まろうとしてる。

カフェから出て表参道へ向かい、お約束の青山ブックセンターへ。この本屋へ来ると探していたものがもれなく見つかる。近所では一冊もない本が平積みで置いてあったりしてあれこれ悩む楽しみがあるのに、むしろ欲しくない本ばかりの近所の本屋の方が不思議だけど、まあ仕方ないのかな。平均化の塊のような近所の本屋でもないよりはずっといい。だがそういう本ばかりしか世の中にはないと思ってしまうと世界がとても狭まる。

いい一日だった。

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