自己紹介 「神経質な子ども」だった私がなったもの
食べ物の好き嫌いが多い子どもだった。苦手なものは口の中が痛くなった。
匂いに敏感で、車の排気ガスやタバコでよく具合が悪くなった。
人混みが苦手て、帰宅後はどっと疲れた。
そんな私が好きだったもの。
それは早朝。
窓を開けて、吸い込む空気は1日で一番澄んでいる。
朝の匂いは、季節や天気によって違い、頭のてっぺんから足の先まで満たされる。
それは、雪がしんしんと降り積もったいつもの町。
しんと静かで、ぼうっとあかりが揺れて、ツーンと鼻を指す冷たい空気。
手足の先はジンジンして、家に帰ると氷が溶けていくように、血が通う感覚。
そして、真夜中のラジオ。
世界にひとりぼっちのようで、ふたりぼっちのようで、仲間がたくさんいるかのような。
共通する楽しい秘密時間。
好きなのは、大勢で過ごす時ではなく、とりわけ、1人の時間だった。
だから、親にはよく、
「神経質で困る。もっとおおらかになれ。」と言われていた。
学校や出先でもよく体調を崩し、眉間にしわを寄せられた。
「そんなことではどんな仕事につくのも大変だ。」と、
言わせるくらい、たくさん心配をかけた。
そんな私が今やっている仕事は「写真家」だ。
ものや人をとって、こうやって文章を添えて発表している。
最近フォローしてくださった方も多いので、
今までの仕事を振り返りながら、自己紹介をさせていただこうと思う。
1)最初になったのは、小学校の保健室の先生だった。
それまで、やりたい事もなりたい仕事もなかったが、浪人中、ふと思いついた。
「学校嫌いで不適応だった私だからこそ、そんな子どもが学校で安心できる場所を作れるのではないか?安心安全な保健室を作りたい!」
こうして大学へ行き、晴れて保健室の先生となり、小学校で働いた。
子どもたちとの出会いは生涯忘れられない濃いもので、
毎日は楽しく、充実していた。
しかし、持病の双極性障害が悪化し、ある時大鬱になり、全く動けなくなってしまった。私はそのまま休職になってしまった。
1年以上静養し、調子が少しいい日に本屋に出かけられるくらいになった。
そこで、ある写真集と出会った。
「淺草善哉」
浅草の片隅、2人きりで暮らす老夫婦の日常の写真。
カメラというものを通し、人との関係に、優しくそっと入り込み、残す。
こんなことができるなんて、と感動した。
気づいた時には、その写真を撮った写真家の方にメールを送っていた。
後に私が師事する、古賀絵里子だ。
その後復職したが、妊娠出産のため退職。
専業主婦となり静かに暮らしていた。
2)自分のために、自分の大切なものを撮り、言葉を添え始める。
写真を仕事にして行きたいと強く思うようになった。
人生に寄り添いたい。
そう思ったきっかけは、私の大切な2人、娘と祖母の関わりを感じた時だ。
物心つく前の娘。アルツハイマー病の祖母。忘れる2人。
過ごした時間は、どこに残るのだろうか。
私は、写真に撮ることにした。
2人が安心して忘れることができるように。
3)心に引っかかる違和感を大切にし写真に、モヤモヤを言語化し言葉にして作品にするようになる
大切な、優しいものだけを撮っていたが、
今まで何か心に引っかかっていて未消化だった、忘れられない気持ちを昇華させたくて、とにかく写真を撮った。撮って撮って撮った。
街に出ては入り込み撮った。
自分のルーツを探っては入り込み撮った。
写真家をしながら、高校で保健室の先生も始めた。
ここでの出会いで、私は「言葉」を大切に扱うことを実感した。
そして、表現して行く美しさと勇気を教えてもらった。
だから、私は今、
写真を撮って、文章を書いている。
4)現在とこれから
2人めの出産をきっかけに、保健室の先生を退職し、写真の仕事もスローペースだ。
しかし、現在も出会った子どもたちに教えてもらったことをしている。
離れていても、伝え続けること。
誰かに笑われても、たった1人のために表現を続けること。
信じること。
ゆっくりだが新しく、声での表現にも挑戦している。
これから当面は、
・感じたことを写真と文章で表現して、noteの記事にして発信すること。
・新作の制作と展示での発表。
・声のブログ「やどかり保健室」の発信(ほぼ毎週日曜)。
をしていくつもりだ。
子どもの頃は神経質と言われ、生きづらかった私は、
今、五感を充分に生かし、周囲の表現を受け取っている。
匂いも、温度も、些細な気持ちの変化も、見えない渦も、すべて感じ取る。
感動して、震えるくらい。
恐怖で、動けないくらい。
嬉しくて、飛び上がるくらい。
そして、吸収して、咀嚼して、
写真と文章で、大切な人たちに向けて発信している。
私なりの、表現で。
あなたの好きな時に、そっと傍に置いて、
受け取っていただけたらこんなに嬉しいことはありません。
やどかりみさお でした。
これからもよろしくお願いします。
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