📚「孤独にさようなら」を読んで
久しぶりに小説が読みたくなった。小説を読んでその世界に入り込むのは楽しい。
小説を読んだのは多分1年くらい前だったので、何を読もうかな、とワクワクしながら選んだ。カバーを見た直観で決めようと思ったけれど、図書館にはあまりにも多く本がありすぎて一つに選べず、、、
辻仁成さんがすきなので、その中から気に入ったのを選んだ。
「孤独にさようなら」
そのタイトルも、カバーも、そして辻仁成というところも全部気に入った。
感想とあらすじ
津波で両親を失った少年の物語。
孤独とはそのことか、と早めにわかり、その孤独とさようならする物語なのだなと考えながら読み始めた。
少年は、おじとおばに引き取られるが、二人には少年に愛情を注げるだけの余裕はなかった。
おじとおばが経営する民宿の裏には、深い森につながる橋があり、その森に少年は恐怖の感情を感じながらもつよく惹かれていく。
ある出来事がきっかけで、少年はため込んでいた、いろんな負の感情を爆発させるかのように森へ駆けだして行く、、、
暗闇の山の中を、恐怖と興奮が少年の体を駆け巡りながら、ただひたすら走り続けていくところは、一番鮮明に頭の中にイメージが浮かんだ。
走り続けて少年はこけるか、何かにぶつかるかして、気を失ってしまう。その少年を見つけた3人の男たちとの出会いこそがこの本の物語の始まり。。。
その日から、山奥で暮らす謎多き男3人と少年の共同生活が始まっていく。
男たちは畑で野菜を育て、鹿肉を狩りで得て、山で調達出来ないものは町に買い出しにいき、自給自足に近い生活を送っている。
山の四季や、野菜の成長、鹿狩り、男たちとの関わりなどを通して少年の心にいろんな変化が生まれていく物語。
そして男たちが山で生活する目的とは、、、
サクッと読み終えるほど薄くはないし、孤独と戦って乗り越えるというところは早めに理解ができるけど、最後まで、「何が起きるのだろう」と、ちょうどいい興味深さで惹きつけ続けられた。
夜寝る前は眠れなかったらどうしよう、と、いつもソワソワしてしまうけど、この本を読んだらなぜか落ち着いて布団の中に入ることができた。
山での暮らしのゆるやかさが読んでいて心地よい気分にさせてくれたし、少年が孤独とともに生きていることを考えていたら、寝る前の不安がすこし和らいだ。
ちょっと現実から離れたいとか、一人の世界に行きたい、心を落ち着けたいと思ったときに読むのにちょうどよい本だった。
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