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生まれくる命と消えゆく命

まだ得体も知れない、この世に生を受けたばかりの我が子にお乳をあげながら、祖母の訃報を受けた。
実家で同居をしていた祖母だけれど、認知症で施設に入ってからは15年ほど、数回しか顔を見に行かなかった。最後に顔を見たのも、もう少なくとも5,6年前くらい(結婚した頃)だろうか。

生まれてから20年以上も一緒に暮らしていた祖母との記憶は今や薄らいでいて、今私の腕の中には、私のお乳を命綱としている小さな命がある。
そうやって命は巡っていくのかと思うと、涙が溢れてきた。
祖母への感謝、労い、我が子への期待、覚悟…。色々な感情が渦巻いたが、この子が大きくなった時、いつか私もこの子に見送られる時が来るのだと思ったら、言い表しようのない恐怖のようなもので、涙が止まらなくなった。
それは祖母への弔いの涙ではなかったかもしれない。でも、祖母との記憶があって、今の私があることは確かだ。その記憶を大切にしながら、私は生きている限り、我が子に最大級の愛情を与え続けようと決意を新たにしたのだった。

おばあちゃん、94年の人生、本当にお疲れさま。
そしてありがとう。


#エッセイ #詩 #生と死 #命 #人生 #輪廻

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