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改めて、社会人大学院生になってみてぶっちゃけどんなかんじか


あっという間の2019年だった。

たしか、年始には滋賀の一軒家で味噌をつくっていたのに、今は東京で大学院に通っている。

こんな展開になるなんて、想像すらしていなかった。

最近よく、
「大学院生活どう?なんでその大学院にしたの?」
「その大学院気になってるんだけど、ぶっちゃけどう?」
「大学院卒業したらどうするの?」
と、よく聞かれる。(まだ入院して4ヶ月なのに💦w)


Twitterでは、隠すことなく悲鳴をあげてるんですけど笑

でもまあ、沈むときあれば浮くときもあって、



さて...

特に隠していたわけではないけれど、実は今年の8月から東京・日本橋にある「大学院大学至善館(しぜんかん)」という社会人大学院に通っている。

昨年開校したばかりの新しい大学院で、私はその2期生になった。

海外の友達と話すときは、社会人経験をある程度積んだ後の大学院入院はよくある選択だからすぐ理解してもらえるけれど、「至善館」の認知度がまだ低くてその説明がてこずる。

日本の友達からは、大学院で学び直しすることそのものに驚かれたりする。


そこで、怒涛の入院からの4ヶ月を一度自分の中でも整理するためにも、せっかくなので以下の4つのポイントでまとめようとおもう。

1.なぜ私が学び直しをすることを決めたのか
2.至善館をなぜ選んだのか
3.入院してから何を学び、何を経験したのか
4.この大学院を気になった人へ

ちなみに、このポイントでのまとめは、1期生にいるクロスフィールズの代表小沼さんのこのエントリーを参考にしている。(というよりも、ほぼ一緒…!)入学前に情報収集する中で、彼のこのブログを読んでさらに興味が湧いたので同時にこちらも是非読んでみてほしい。


1.なぜ私が学び直しをすることを決めたのか

学び直しをしようとおもいはじめたのはもう3年くらい前から。それは大きなきっかけがあったというよりも、じわじわとやってきた。

自分が立ち上げた一般社団法人防災ガールが、2017年頃から国内外のアワードを続々と受賞するようになり、メディア出演も増え、講演の額も数倍に跳ね上がった。事業としては順風満帆だったけれど、その反面、内心どこか虚無感があったり、自己重要感がなく、自分が発する言葉はどれも嘘っぽくて、「その場しのぎでやってきたことが偶然評価されてしまった」という感覚でいた。

学歴コンプレックスというよりも、学力コンプレックスのようなものなのかもしれないーー

現場重視で、熱量と一定のコミュ力だけで戦ってきたけれど、アカデミックに学ばれてきた人には歯が立たない。そう感じてきた。勝負でもなんでもないのに、ずっともどかしかった。

もちろん目を瞑って喜んでいても良かったが、このまま続けていても自分が納得できない。ましてや、もっといい選択ができる可能性があるにもかかわらず、自分のキャパシティによって団体や自分の人生の選択幅を狭めてしまっていることが悔しくてならなかった。

そこで、これまでは自分が手に取る興味のあるものだけを学び続けてきたが、意識的に苦手なものも、そして今まで気にもとめていなかったことも含めて一度総合的・包括的に学べる環境に身を置きたいとおもい、「学び直しをしよう」と決めた。


2.至善館をなぜ選んだのか

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私が通う、「大学院大学至善館(しぜんかん)」は、まだほとんどの人が聞いたことも見たこともないだろう。正直、ググっても具体的な情報がほとんどなく、学校サイトもシンプルが故にキャンパスライフをイメージしにくく、ロゴもちょっと怪しい。(失礼 笑

英語表記では「Graduate School of Leadership and Innovation Shizenkan University」となり、22世紀を代表するリーダーを育て、「全人格リーダーシップ」を修得するリベラルアーツ教育。授与する学位はMBA in Design & Leadership for SocietalInnovation(経営修士[専門職])。社会人向けの2年間のコースになっている。

実は学び直しをする場所として松下政経塾や、芸大、シューマッハカレッジなど、いくつかの海外の大学院も検討していたのだけど、(むしろ学び直しじゃなくて、企業に就職して修行しようか...ともおもっていた)

そこで、私がこの大学院を選んだ理由を3つにまとめてみた。


● 自分の興味を超えた包括的なインプットの機会

1つ目は、前述した通り、自分の興味を超えた包括的なインプットの機会を得たかった。

大学生のときにほとんどバイトとバックパックでの旅にあけくれ、ほとんど勉強していなかった私は、30代になりこれからの人生を考えた時に、一度ぐっと学びたかった。20代は起業してからというものの、アウトプット過多で必要な情報を必要な時に得ていたくらいだったから。

● セクターを超えた次なるリーダーたちとの出会い
いわばクラスメイトとなる学友たちの多様性だ。できる限り、普段の生活や仕事では出会わない人たちと学び、様々な視点を知りたいと思った。

至善館は1学年約80名で、英語と日本語クラスのに分かれている。国籍でわかれるのではなく、どの言語で学びたいかの選択によりクラス分けがされる。英語クラスは約半数、日本語クラスは約3割が外国籍といったところだと思う。

クラスメイトのバックグランドとしては、肌感覚でいうと6割強が大企業務めのビジネスパーソン。その約半数が企業派遣。そして、官僚や大使館職員、起業準備中の人もいれば、国際機関やNGO/NPOなど様々。この大学院に入るために日本に来日している学生もいる。社会起業家は私くらいなのかな?

年齢層は平均年齢が34歳とのことで、大学卒業してすぐ入っている20代前半の子もいるが、ほとんどがある程度社会人経験を積んだ上で入院している。そしてセクシュアリティの具体的なところは知らないけれど、女性はまだまだ少ない。

「6割強が大企業のビジネスパーソン」ということもあってダイバーシティをすごく感じるということはないのだけれど、クラスメイトは、国籍も、民族も、宗教も、年齢も、性別も、セクターも違うので、彼らとの学びは新たな発見が多い。


3つ目としては、これもまた小沼さんに同じなので、もうここは潔くまるっと引用します笑

● 大学院が掲げるコンセプトに惚れ込んだ

この大学院が掲げるコンセプトに惚れ込んだというところがある(この理由で入学を決意したクラスメイトは非常に多い)。この大学院は、既存のMBA教育に対してアンチテーゼを唱え、さまざまな矛盾に向き合うことを軸としている。西洋的なMBAの良いところは押さえつつ、それを東洋思想や哲学を中心としたリベラルアーツと融合するという挑戦。また、「テクノロジーの進展VS人間性の担保」、「Business VS Society」などといった様々なAntinomu(二律背反)に向き合う答えのない旅路。

物事を捉えるにあたり、ある一面だけから学ぶのではなく、その関連するが相反する面からのアプローチは、無心に情報を享受し判断するのではなく、俯瞰し思考できるので、より本質的だとおもった。


3.入院してから何を学び、何を経験したのか

正直なところ、この4ヶ月は想像以上に忙しく、「不完全燃焼」という感じ。その理由にもつながる、この4ヶ月で経験したことをいくつかまとめたい。

● 講義と予習と宿題と…

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講義は、基本的には週に2日間。平日の18:30-22:00の3時間半と、週末どちらかの半日〜終日。

講義ごとに異なるが、講義は予習前提で始まるので、当たり前のように予習にかなりの時間がかかる。(これは特に知らない知識をいれようとする私からすると、本当に学んでこなかったことばかりなので人一倍…いや、人三倍の時間がかかる)

そして、ご察しの通り、講義でもわからないことがあるので同じくらい復習にも時間がかかる。全ての講義は動画が撮影され、講義資料と動画を行き来しながら理解を深めていく。

また、この講義に加えて、事前・事後レポートの提出や課題図書があり、時にはグループでの発表のためにグループで授業外の時間を使って集まって準備をするなどもあり、ああ、本当に学生生活が始まったんだなという感覚がある。

これで朝から夜まで会社に出社し、子どももいるクラスメイトたちは本当にすごいなと毎回おもう…(毎朝起きる時間を2時間早めて宿題をしているというクラスメイトがいて、もうそれだけで尊敬する。)

強みと捉え方の違いのシェア
入院してからの4ヶ月でも、グループでの発表が3回あった。

6〜7人のグループで準備する際にも、当たり前だが出張や緊急対応や、子どもの運動会などがあり、それぞれの時間を合わせるのも難しいながらなんとか進めていく。なにより、社会人歴5〜10年にもなると、それぞれの強みがはっきりと見えてくる。

それぞれの普段見ている情報ソースも違えば、話し合いの進め方も異なり、そして文化が違うことで共通イメージを見つけながらの話し合いはとても面白い。

「ファイナンス」の授業ではまさに顕著に差がでるので、わかる人が教えるスタディグループが開催されたりもする。

ちなみに現在、平田オリザさんによる「performing arts」の講義を受けているが、国が違うと受けてきた教育や文化も違うので、同じ単語を話してもイメージするものが違う。そのイメージやニュアンスのズレを調整しながらの演劇のプロットや台本づくり、それに伴う議論はすごくタフだけれど、とても刺激的。

切り取り方の異なる面から学ぶ
はじめは気づかなかったけれど、あとから、これはすごい!とおもったのが、「講義構成」である。(これはクラスメイトも声をそろえていっていた)

2年にわたる受講する講義の順番や、同時に開催される講義、そして講義の中での学ぶ順序などすべてが設計されていて、無駄なくさまざまな角度捉えられるようになっている。

たとえば、最初のクールでは「COMPANY(企業論)」と「NUMBERS(会計)」と「FINANCE(ファイナンス)」という3つの講義が同時に進む。前述したように、なぜいきなりこれからはじめるのだろう、なぜこの3つが同時なのだろうかとわからなかった。

しかし、学ぶうちにそれぞれの関連性に気づき、切っても切り離せないものであることがわかる。そして、ミクロやマクロ、そして世界の潮流と自分の哲学や理念を何度もなんども行き来することで、学びを深めていく。

そして現在受講中の2クール目は、「FUTURE(未来志向)」「CAPITALISM(近代哲学)」である。西洋近代の哲学者たちが描いた新たな政治経済システムとしての「資本主義」が現在は大きな社会課題を生んでいることを、哲学をベースとして歴史から振り返り、さらにでは「FUTURE」で未来を洞察し、未来に起きうることを予測し戦略立てていく。

私のように、specificに学ぶ前に全体像を把握してからdetailを知っていきたいタイプにはとても相性がいいとおもう。複数の点が線になる関連性を常に感じながら学べるのは、リベラルアーツの特徴かもしれない。


あーーーー本当にあっという間の4ヶ月だった。


冒頭で「不完全燃焼」だったと書いたのは、1クールが約1ヶ月半で終わり続々と次の講義に移り変わるので、ようやく理解し始めたなと思ったとたんに次に進んでしまうから。

ただ、この至善館は何かに特化した「プロフェッショナル」の育成をする場ではなく、22世紀に活躍する「全人格リーダー」を育てる場として運営されている。その点で、包括的に学ぶこの仕組みは理にかなっているといえよう。


自分がなんと無知だったか、を知った


ここまでにも何度もお伝えしてきたが、正直自分は社会起業家として8年間の活動に自信もあったし、人一倍考えてきたという自負があった。もちろんわからないこともたくさんあるが、それでも自分の弱さを知り自分がどうあるべきか問い続ける姿勢はあるとおもう。

しかし、そんな小さな自信も一瞬にして吹き飛んでいってしまった。なんと無知だったのか。

そしてなんと数少ない情報から判断してきてしまったのか、と。

目の前の社会課題に対して、できる限り本質はなにかと、根本の原因をさぐってきたが、そのとらえていた「根本」がまったくもって違った。

至善館では、表層のHow toを教わるのではなく、それら社会の課題や仕組みの根幹にある思想や構造を理解することができるのは、私にとってとても貴重である。


4.この大学院を気になった人へ

長々と、つらつらと書きなぐってしまったけれど。
(いつものごとく、読み返すことなく書いているので誤字脱字も多いだろうし、支離滅裂だと思う笑)

ここまで読んだということは、至善館に興味がある人なのかもしれない…ので、もし少しでも興味があれば、今第3期生を募集しているそうなので、ぜひ説明会やオープンキャンパスに足を運んで見てください!


そして、実は前述した小沼さんのブログを見て一番安心したのが実は「奨学金制度」の存在についてだった。

入学案内を見てもらうと分かるのだけど、学費がけっこう高い。ソーシャルセクターや起業したばかりの人には苦しいとおもう。

ただ、一定の条件を満たす学生には奨学金が出る可能性がある。私も実はその奨学金をもらえているので通えている…ということもある。(奨学金もらえなければクラウドファンディングするつもりで準備してた笑)

お金が理由でチャレンジしない人が生まれませんようにーー


最後に、私自身まだ4ヶ月しかたっていないのでこれから何を感じ、何を学び深めていくのかまだまだわからない。わからないということがわかるくらい。

そして、よく聞かれるけれど、本当に卒業後のことは何も決めていない。

また起業するかもしれないし、就職するかもしれないし、旅に出るかもしれないし、アーティストになるかもしれない。残り1年6ヶ月もある学びの旅の先を今から決めようだなんて、空に絵を描くようなものだろう。

もっとまなびたい、もっと知りたい。

今はその自分の感情に素直に、そしてこの2年という期間をとことん活用してやろうと思う。


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