本棚を見るとその人の頭の中が分かる
「これ、誰の本? あ、みさきちゃんのかー。なんだかみさきちゃんの頭の中をのぞいているみたいだね」。
この台詞が、すべてのヒントになった。
そうか、本棚って、その人の思考と嗜好が、まるっと表現できるんだ。
あれだけ本屋にあちこち通っていながら、そんなことに気づくのに、こんなに時間がかかるなんて、と誰に対してでもなく口惜しくなった。
それから、始めた民泊では「あなたの好きなものに関する本を持ってきてください」とお客様にリクエストしている。
本を持参してくれたら朝ごはん付き、というオプション。
今のところ、100パーセント持ってきてくれているから、すごい。
わざわざ、好きな本を寄贈用に買いました、という方までおられるのに、ふしぎと手間だと感じさせるお客様はいない。
ここへ来る前から「どんな本がいいかな」と選ぶ気持ちが、義務感から来ていないからだと、信じたい。
そのうえ、お客様だけでなく下川町に暮らしている人たちにも本の寄贈をリクエストしてみた。
寄贈というか、貸してもらう、というかたちで。
「外国からのお客様も来ると思ったから」とか「みさきちゃんが好きそうだから」とか、「自分の好きなものに関する本」というわたしからのリクエストに対して様々な配慮のもと、選書してくださる方も多い。ありがとうございます!
そういう気配りも含めて、この本たちがここに集まってきた背景を、図書カードのようなものにしたためている。
もうすこし、書きまとめたら忘れないうちに各本に挟み込みたい。
いまはまだ、わたしが実家から持ってきた第一軍の本たちの割合が多いけれど、確実に「わたしなら絶対に選ばない」というジャンルの本や雑誌が少しずつ、増えている。
そのことが、とてもたのしい。
もともとわたしの脳内まるだしだった本棚が、少しずつ細胞分裂しているような。
違う人格に生まれ変わってゆくような。
あ、そう考えると本棚って、ひととなり、でもあるよな。
ひととなりそのものが、メディアになるんだな。
本当は、もう少しこの本棚そのものも、開放された場所にあれば良いのだけれど。
うちに泊まってくれた、もしくは遊びに来てくれた人しかお目にかかれないのが残念だ。
なんにせよ、これからも少しずつ、「好きなもの」に関する本を増やしていきたい。
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