一緒に

子供のころは、大人がなぜあんなにお酒を飲みたがるのか、よくわからなかった。誰かと一緒に飲みたいのなら、オレンジジュースでも、コーラでもいいのに、アルコールがいいと言う。

小学生のときに知り合ってから、今でも仲の良い人が何人かいる。いつも決まったメンバーで集まってしまうので、意外と2人きりでは話したことのない人が、どのグループにも必ず1人はいると思う。でも、そんな2人で話したことのない人は、そのグループの中でも幼稚園から中学校までずっと同じクラスだった。なんと趣味まで同じなのに、30歳を過ぎても2人でLINEのやりとりすらほとんどしたことがなかった。もちろん、仲が悪いわけではない。

あるとき、どうしても趣味のことで彼女に話したいことがあり、LINEをしてみた。趣味の話以外にも、近況や仕事のことをこんなに長くラリーを続けたのは初めてだった。

今だと思った。彼女との間にある、邪魔なのかどうかすらわからない、見えない壁を1度壊してみよう。

2人で夜の街で待ち合わせをして、ちょっとオシャレなお店に行った。こういうお店は意外と女同士で行く方が楽しい。たまに訪れる無言も、長い付き合いの彼女となら気にならない。深い趣味の話をずっとして、そのあと私が決めた日本酒のお店に行って、次に彼女が決めた夜中まで営業している喫茶店で〆パフェをしたあと、カラオケにも行った。

なんで今まで2人で飲みに行かなかったんだろう？何度もそう思うほど、大人になった2人で飲むお酒は美味しくて楽しかった。その日は北海道に緊急事態宣言が出る直前の真冬の1月末だった。

それから彼女と2人で飲む機会はまだないけど、いつものグループでオンライン飲み会をした。これなら東京にいる友達も、仕事が忙しい友達も参加できる。何を飲んでいるかそれぞれ紹介したり、1番近いコンビニはどこか話したりする時間は、今までとは違ったけどなんだかおもしろかった。

お店を決めるのに毎回揉めるけど、いつかまたみんなで乾杯したい。大切な人に会いたいと思ったときにすぐ会いたい。言葉にできなくても、「大好きだよ」って伝えたい。