彼の大好物

わたしには夫がいる。
基本的に彼は料理をしない。塩はどこだピーラーはどこだとうるさい上に一品しか作らず味見をしないので味が濃い。そのようなことに私が文句を言いケンカになるからだ。

私は昔から割と料理は好きな方だ。おかずはできれば三品以上という自分ルールも決めて作っている。

夫は私が作ったものをうまいうまいと言ってあっという間に平らげる。それを見てると料理のモチベーションに繋がる。たまに私の分まで平らげてケンカになるけれど。
しかし彼の大好物だと普段はあっという間に平らげるのに計算して残して明日まで食べようとするところが意地汚くて愛おしい。

彼の好物はちらし寿司、ハンバーグ、魚の煮付け、春巻き、クッキー、ほうれん草のおひたしや胡麻和え、お雑煮、ロールキャベツ…

いつからか彼の好物は、私の得意料理になった。

彼の口にどんどん吸い込まれていく料理たち。
たまにあんなに時間かけて作ったのにもっと大切に食べろよ！と思うときも有るけれど、食べるスピード＝うまさという計算式があるので複雑な気持ちだ。

魚の煮付けやらハンバーグやらは平日仕事終わりでも作れるが、ちらし寿司と春巻きは私のレシピだと仕込みがあるため前日や、数時間前から用意しなくてはならず、今までは休みの日にしか作れなかった。
ただ今は無職。彼に頼っているので好きなものはいくらでも作ってあげようと思う。

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