やまもと みさき

Twitterで書き散らした百物語をまとめてく。実話かフィクションかは、ご想像に任せま…

やまもと みさき

Twitterで書き散らした百物語をまとめてく。実話かフィクションかは、ご想像に任せます。単行本に掲載された話もありますが、こちらがオリジナルです。

最近の記事

目黒のおじさん

前述の目黒の親戚の続きである。 目黒の叔母さんが亡くなった数年後、配偶者であった叔父さんが一人で暮らしていたのだが、孤独死をした。死因はよくわからない。葬式は近所でやってくれ、区で無縁仏の墓に埋葬する事までやってくれたようだ。 我が家に区の職員から連絡があったのはそれから少し後のこと。 同じ都内に住む親戚で遠縁とはいえ、他に身寄りがなかったようで、特殊清掃というか、遺品の売却と家の明け渡しの立ち会いがあった。古い下町然とした場所にあるアパートだったような記憶がある、とは当時

    • 目黒のおばさん

      小学校の時、遠い親戚の叔母と名乗る女性から電話がかかってきた。私には関係ないので、親に繋いだ。まだ携帯電話が一人一台ではない頃だ。当然家電(「いえでん」と言うらしいw)にかかってきた。 母と叔母は何気ない話をして、その場は電話を切ったらしい。そういえば、どこの叔母と言っていたか。確か目黒に住んでいると言っていたような。母方の親戚はほとんど静岡在住で、都内に住んでいる親戚は珍しく、記憶に残っていた。 電話があったのは、春頃だったと思う。 その後の夏休みに親戚の集まりに行き、

      • ヒトガタ

        10年くらい前になるか。とある夫婦の家で起きた話である。 よくあるオタク夫婦だったが、彼らの家では「人型」の物、いわゆる萌えフィギュアを置く事ができなかった。 それには理由がある。「どこかに行くから」である。 実際に、雑誌の付録やガチャポンのフィギュアを置いておくと、触ってないのに場所は移動する、台座だけ残して消えてしばらくしてから戻ってくる。 そんな事が日常のように起きていたのである。 人型ではない物はどうだったのであろうか。実験してみた。 ぬいぐるみ、これは大丈夫だっ

        • ちょっと通りますよ

          「ちょっと通りますよ」にリアルで遭った人がいるという。 「ちょっと通りますよ」というのは、こういう生き物。 いったいオマエは何を言ってるんだと、小一時間問い詰めた結果、要約するとこういう事らしい。 彼の家は5階建てマンションの3階にあるワンルームである。 ウチみたいにバカでかいベランダはなく、ちょっと張り出しの様な窓があるだけ。当然、窓の外を人が通ったりする事などできない。 ある日曜日の昼間、窓を外から何か叩く音がする。スズメやカラスが張り出しの上に止まって、窓にくちば

          鬼女

          廃墟探検が好きだという人から聞いた話。 静岡県中部に「鬼が住んでいる」という伝説がある山があるという。 この山中に廃墟があると聞いて、深夜に行ったそうだ。 廃墟自体は、ホテルか何かの建物だったようだが、コンクリートの階段と床と壁の落書き以外は何もなかったという。 廃墟探検仲間と一緒に行ったのだが、いつしか、自分達とは別の生き物が動いてる気配がし始めたそうだ。 廃墟とは言え、山中である。熊やイノシシが出たという話は聞かないが、 警報機らしき物も見なかったし、山に登ってくる光も

          サーバールームのドア

          勤務先のサーバールームに、施錠したままのドアがあるんです。使わないから閉めてあるだけで、施錠を外せば廊下に出られる。普段はセキュリティが付いてる方のドアから出入りしてるんですが、施錠されてるドアまで約5mくらいかな。ドアノブが時々ガチャガチャされるんです。施錠されてるのに。 最初は掃除の人が廊下からドアノブを拭いたりしたり、警備員さんが確認の為に廊下から巡回中にドアノブを回したのかと思ってたんです。同僚が一緒の時も多かったし。ある日一人でサーバルーム入った直後にそのドアノブ

          サーバールームのドア

          雪の上の足跡

          雪が降った後って、ビルとビルの間の細い隙間が気になりますよね。 途中まで続いた足跡がよくあるのはなぜでしょうね。

          中国の酒造

          中国人留学生だった人に聞いた話。 彼は、若い頃に地元の酒造で働いていたという。 伝統ある古い酒蔵だったというが、何代続いているかわからないくらい古いという事しかわからないらしい。 古いだけに、変わった酒や醸造の仕方をしていたという。 例えば、固形酒。 一般に固形酒というのは、壺に穀物と麹を入れて発酵させ、呑む時に水を入れ、大勢で壺に竹筒やストローを入れて、めでたい時やお祭りの日に呑む物である。 彼の所の酒造で作っていた固形酒は、竹筒に果物や穀物と一緒に酒麹を入れ、発酵させて

          呪いのおまじない

          小学生の時に、紙に☆を書いて、凹んだ所に呪いたい人の名前をひらがなで一文字ずつ書いて燃やすと相手に不幸が起きるというのがあった。 実際にやってみちゃったんですね。小学校6年の時に。担任がもう嫌いで嫌いで。1週間くらい入院してましたよ。怖ろしいですね……

          呪いのおまじない

          大蟹

          信州の山奥であった話。 祖父の祖父だかが、山に芝狩りへ行くと、 途中の沢で自分の背丈の倍ほどもある、巨大な蟹に出くわしたという。 驚いて山を下りてきて、周囲に話すと、その沢では何人もの人が大蟹を見ているという。 幼少時に家の前の農協で買ってきた、沢蟹の素揚げを食べながら語ってくれた。

          カロリーメイト

          3年前の神無月の事。 仕事が終わって家に帰る途中から、もの凄い喉の渇きに襲われた。 途中で2リットルの清涼飲料水を買ってきたが、家に帰ってきて飲み干しても、まだ喉の渇きが収まらない。 ふと、神棚に目をやると、出雲へ行くお土産にと、カロリーメイトを供えたのを思い出した。 申し訳ないので、今更ながら、当時出てすぐの透明なミルクティーをお供えした。神様も珍しいだろうと思って。 すると、喉の渇きが少し治まった。 やっぱり神様でも、お弁当に乾き物はよろしくないと思った次第。

          カロリーメイト

          うらめしや

          ある人が、4、5年くらい前に、千葉のどこだかで、新築マンションを買ったという。10階だかそのへん。ところが部屋に引っ越した当日から白い着物の女の幽霊が「恨めしや」って出たという。新築だから事故物件な訳がない。 最初は引っ越し疲れかと思ったが、翌日も出たので、不動産屋に「幽霊が出る」と言ったら、対応が神で、翌日にホテルを用意してくれ、不動産屋の社員が泊まって確認したら「やっぱり出る」と。さらに翌日にはお坊さんも来てお経を上げて、そしたら出なくなったという。 さて、この幽霊。

          音楽隊

          2000年12月のある日、横浜のマンションで女性が刺殺され、その部屋で刺した犯人が首を吊って自殺していた事件がある。 女性は公務員で音楽隊の一人だった。 音楽隊には簡単に入れない為、コネで入ったというのは、周知の事実であったがコネの相手は、音楽隊の上司だった。 事件の前に「身内なのだが、交際を迫られ困っている」と相談された事が調書に残っており、周囲の同僚にも相談していたという。 警察の不祥事であり(ぁ、公務員と言ってたのにw)コネが周知の事実であるとか、それで肉体を迫られる

          アキバの神社

          2014年にリニューアルオープンした秋葉原ラジオ会館。なぜ同じ場所にリニューアルしたのか。それは理由があるという都市伝説みたいな話。 ラジオ会館の所有者は、現在、ある不動産会社とラジオ会館(株)の共同経営である。戦後の闇市の際、GHQによる露店排除命令からなる整地の前に立ったのが、ある投資家とその不動産会社の創業者であった。 創業者が行き場を無くした露店をまとめてビルに詰め込んで、当時の電気街の形成に秩序ができた訳だが、その陰には秋葉神社に対する祈念があったという。 その秋

          砂漠の狸

          日露戦争で狸の軍団が参戦したというのは、ロシア将校の手記によって明らかになったので有名だが、アフガン戦争に参加協力した狸がいるという話を聞いた。 彼は、PKO参加した日本人で、深夜に、テントの間を狸が走り抜けるのを見たという。異国での疲れで幻覚でも見たのだろうと誰でも思うのだが、帰国してすぐ実家に帰った時の事。 実家は徳島の山の中にあり、化け狸とはご近所様のような存在である。久々の実家でくつろいでいると、母親から、 「アンタがこの前帰国した頃、裏の狸地蔵様が砂まみれになって

          本の間から

          本読みの常として、部屋には筍が生えている。通称「本筍」と言う。 ある時、本の筍の山からカサカサ……バサッと言って一冊の怪談本が筍の山から飛び出して来た。 女装子マンガとBL小説に挟まれていた本だった。