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【読書感想文】真夜中のウラノメトリア

神田澪さんの本はこれで4冊目。出版が決まるとすぐにAmazonで予約購入するほど好き。

キッカケはTwitterで140字ぴったりの物語のツイートを見かけたことだった。短い中にとても濃い物語があって、心が動かされる。
神田さんの本の特徴は140字の物語が集まっていることだ。どこから読んでも楽しめるし、最初から順番に読むとひとつの大きな物語になっている。

ここからはネタバレを含みます。

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主人公の少年がお父さんの遺した手記を頼りに宝探しの旅に出る。星から星へと移動して、その道中たくさんの人々に出会っていく。星によっていろんな暮らしがあり、そしてそれぞれに幸不幸がある。

最後に宝を見つけた時、帯の「誰の不幸が一番不幸だと思う?」という言葉が頭に浮かぶ。
それはもし一人だけ救えるなら誰を選ぶか、ということでもある。

少年の選択に最初はピンとこなかったが、考えていくととても深い。

殺人が止められない子から殺人衝動をなくそうとした時「余計なお世話。殺すのが楽しいんだよ」と言われて、少年は宝の力を使わなかった。しかし私は殺すのが楽しくなくなるように力を使えば良いのではないかと思った。でもそれは社会的に考えると良いことだろうが、個人の好きなものを歪めるのはどうなのかなと思い至る。殺される側はたまらないけれど…。何なら干渉して良くて何ならダメなのか、線引きがわからなくなってしまった。

では、貧乏で娘五人のうち一人だけしか進学させられない家庭を救うのか?これも程度の問題がある。進学させると働き手が減るから、その分のお金も出すのか?いつまで?どの程度困らないくらいに?また、作中でも度々触れている「恨まれる覚悟」をおじさんも決めていることだろう。超人的な力でお金の問題を解決しても、根本的な問題を解決するまでは他の問題がでてくる。

他にもエピローグでみんなの話が出てくるが、最終的に少年の選択が良かったと思う。
人生を超人的な力で変えるのは良くない、と私は思っていることに気づいた。その時は良くても自分自身から変わっていかないと必ずその歪みから問題は出てくる。だから、少年の分かりきっていたことを伝えるために力を使ったことを支持する。

幸不幸は人それぞれ。そして自分の心持ち次第。
もちろんいつもがいつも強い心を持っていられない。だから、リカバリーできる方法をいくつか確立しておきたい。一人でできることも手軽で良いが、人との絆はとても強いお守りになる。そこまで人間関係を育むのは大変だけど、誰か一人とでも腹を割って話せると心強い。一朝一夕には築けないから、普段から周りの人とコミュニケーションをとって、距離感だったり言葉遣いだったりを学ぼう。自戒を込めて。

ウラノメトリアってなんぞやと、検索したら星図書だそうです。"ほしとしょ"って読んでました(^^;)


神田澪さんの他の本もとても良いので読んでみて欲しいです!
ここまで読んでくださってありがとうございます。

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