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雨ノチ

高校を卒業して守るものがなくなり、
ただなんとなくマッチングアプリに登録。
写真1枚登録しただけのプロフィール。
初めてのメッセージは
何歳ですか?
なんの捻りもない質問に少しだけ考えて
19歳です。とだけ答えた。
そうか〜私ってもう19年も生きてんのか。
17歳後半から自分の年齢があやふやになって
19歳で完全に年齢の自覚を失った。
華のセブンティーンとはよく言ったもので
それを超えてしまった今、残すは衰退のみ。
というか私のセブンティーンはなんだったんだ。
特に17歳にちなんだ思い出はなく、
ただ今よりは若かったというだけ。
どこ住みですか?
これには無視。だって私は17歳じゃないから。
ちょっぴり聡明な19歳だから。
退会手続きも面倒くさくてアプリごと削除。
やっぱ出会いってフェイクだし。

さすがに敬語くらい使えないとまずいな。
さすがにバイトくらいしなくちゃまずいな。
履歴書 書き方
メール 目上の人 書き方
なんて調べてる場合じゃないよな。

今年も無事梅雨をはたしましたが、
明日の天気はどうだろうか。
そう考えながらつま先を見つめたけど
私の革靴はおそらく逆さまにならない。
どう考えても晴れの可能性が高い靴飛ばし。
恵みの雨とかいうくせに
結局お前らは晴れが好きなんですよ。
そのせいで私は雨が好きなふりをしなきゃいけなくて、バファリンのストックを確かめる。
雨の方が似合うなんて言わないで欲しかったけど晴れが似合う女に憧れているわけではない。
最近は晴れのち雨みたいな1日ばっかりで疲れてしまうな、ほんとどっちかにしてくれよ。

あーした天気になーれ!

私の靴は空中でくるくる回る。回る。回る。
私が重しだったんだな。
ぼんやりと目で追う。追う。追う。


明日の天気は、晴れ。


傘とバファリンもを一緒に空に投げつける。
だって私まだ19歳だから。
私は永遠にお前よりずっと若い。
ざまーみろ。

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