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対話型鑑賞にみる心理的安全性のヒント

今回はこちらの企画に参加して記事を書いております。
(週始まり=月曜と思い込んでおりました💦)


私は ”対話型鑑賞にみる心理的安全性のヒント” をお題目としました。

心理的安全性、という言葉は皆様耳にされたことはありますでしょうか?
私は何となく耳にはしていたのですが、がっつり知ったのはこちらの本が最初です。

(今になって考えると最初がこの本でよかった・・・!と心から思います。超おすすめです)


「心理的安全性」の定義はこの本の冒頭で明確に述べられています。

〜とは、このように組織やチーム全体の成果に向けた、率直な意見、素朴な質問、そして違和感の指摘が、いつでも、誰もが気兼ねなく言えることです。一見すると普通のことですが、組織・チームでこれを行うのはとても難しいのです。 石井遼介. 心理的安全性のつくりかた 「心理的柔軟性」が困難を乗り越えるチームに変える (Japanese Edition) (Kindle の位置No.18-20). Kindle 版.

googleが提唱し話題になりましたが、チームの良質な協力のあり方を考えた時、何よりも重要なのがこの心理的安全性だった、と結論を出したのが印象的です。

圧倒的に仕事が(早く・正確に)出来て、誰も考えつくことの出来ないアイデアを生み出す”個”に対しての憧憬は常に私達から切り離せないですが、
その実、実は永遠に終わらず・更に緊張感が解くことが許されない競争、ピラミッド序列のロジックに身を置くのは辛いことです(理論上、頂点の人しか成功といえない、幸せになれない、更に勝ち上がった人も引きずり降ろされるかもしれないという緊張感は想像を絶するものがあるでしょう)。

そんな中、実際に次々と革新的な発展を遂げ、世界をリードするTop起業が、ワントップ型ではなく、心理的安全性を有する組織のほうが”強い”と名言したのは一考の価値があるのではないかと思います。

医療の現場でも命を救うために一刻一秒を争う医療現場、新生児集中治療室の研究において「心理的安全な医療チームは、やり方への習熟が早く、手術の成功率が高い」という成果が示されていたりします。


・・・なんて硬い理由じゃなくても、もっと肩の力抜いた組織のほうがいいよ、って言われたら何か聞いてみたくなりませんか?




心理的安全性について私が肝だと思っていることはこれです。

発言(気づいたこと・感じたこと)の抵抗感を下げること

このことで、コミュニケーションの活発化になったり、離職率の低下やアイデアの創出や迅速なリスクマネジメント(早期対応)、個では出来ないチームとして個の和以上の力を発揮したり・・・につながっていくのではないかと思うのです。


・・・とそこまで考えた時、
”あ、これ対話型鑑賞でやっていることじゃん”とふと思ったのです。


自分は体験会等の最後でこのスライドで締めることが多いです。

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評価や判断などの周辺情報が当たり前のように添付されて、また個によって経験や知識量に差が大きくなっている現代において”対等な対話”を実現するのは実はかなり難しくなっていると思います。

特に所属する企業/組織内で扱っている・商品にしている題材等ではその差は顕著でしょう。新入社員やインターンとベテランが同じ議論・対話をいきなりする、というのは土台無理な話です(そしてそれは当然な現象である気もしています)。


ですがアートを題材にした対話型鑑賞となるとどうでしょうか

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初見となる作品においては、史実的な事実をおいておけば、”正解の鑑賞(解釈)”というものは”絶対に”ありません。故に全員が平等な立場で鑑賞に望むことが出来るのです。

そしてそんなルールで執り行っていく対話型鑑賞が如何に議論の参加率を上げるか、地に足のついた話し合いが出来るか、自分を含めたお互いの人となりを透けてみれるコミュニケーションを実現できるか、は体験した皆様は既にご存知のとおりです。


対話型鑑賞中もしくは事後の初対面どおしとは思えない場のリラックス感、ほわほわした感じこそが心理的安全性を体感するにうってつけなのでは・・・!というのが自分の仮説です。

いかがでしょうか?
是非色々ご意見・ご感想頂けますと幸いです。



追記:

このような考え方にまとまっていったのは精神科で着目されてきたオープンダイアローグの効能とその対話のエッセンスに触れたことが非常に大きいかもしれません。

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また、少し話題がずれるかもしれませんがこちらの本も印象的でした。

奈良少年刑務所で行われていた、作家・寮美千子の「物語の教室」。
絵本を読み、演じる。
詩を作り、声を掛け合う。
それだけのことで、凶悪な犯罪を犯し、世間とコミュニケーションを取れなかった少年たちが、身を守るためにつけていた「心の鎧」を脱ぎ始める。

筆者、刑務官が少年たちに発言しやすいよう、如何に安全な場を創っていったか、が非常に丁寧に述べられています。



まだまだコンテンツも未熟ですが応援して頂けるとすっごい励みになります!