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婚約
入社してから、2年が過ぎていた。同棲のことは秘密にしていたが、どうやら周りの連中にはバレバレだったようだった。
同棲し始めてから、1年も経たずに、ふたりの両親同士が会い、同郷ということもあって、意気投合。私たちの結婚話がトントン拍子に進められていった。
私は、結婚そのものに憧れていたし、いい奥さんになれる自信もあった。
その前に、ふたりの住まいを新しく見つけて、生活の拠点をしっかりさせる必要があった。
そこで、亮司が見つけてきたのが、東横線沿線の新築アパートだった。今回は2階の角部屋。そのアパートには、1階に大家さん夫婦も住んでいた。
間取りは、6畳と前室4畳に4.5畳ほどのキッチン、お風呂もあった。なにより、新築の香りが良かった。ここに、ふたりで住むことになった。
そして、結婚式の話になり、鹿児島まで出向くことになった。亮司の実家は鹿児島でドライクリーニング屋を経営する家だった。式はここで、と言われ案内された場所は、老舗の料亭・・・らしく、広い和室に祝い膳を並べるのだ、と言う。「座」の席だった。
なんだか、ガッカリだった。センスの欠片もない、田舎の匂いがする式になるんだわ・・・と、ひとり心の中で呟いた。その様子を察したのか、亮司が東京に戻ってから、もう1回披露宴する、ここでは、親戚とか俺の同級生とかだけだよ、と言ってくれた。
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