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長崎風肉団子、フルカデン

先日、のんびりテレビを見ていたら、スウェーデンの家庭料
理「ミートボール」が紹介されていました。コケモモのジャムを使ったソースでいただくのがミソなのだそうです。海外通の友人によると、ヨーロッパ各国には、そうした肉団子系の家庭料理がいろいろあり、たとえばデンマークには、卵などのつなぎを入れて練った牛や豚のひき肉を、スプーンなどですくってフライパンに落とし小判型に焼いた「フリカデラ」と呼ばれる料理があるそうです。
 「フリカデラ…」。長崎のことをよく知る方なら、この料理名にピン!と来たかもしれません。長崎には、「フルカデン」(フルカデールともいう)という牛ひき肉を使った西洋由来の伝統料理があるのです。「フルカデン」は、地元では牛かんとか、牛蒲鉾とも呼ばれる料理で、形はデンマークのそれとよく似た小判型です。ちなみにドイツにも「フリカデレ」という同じような料理があるそうです。
 長崎の「フルカデン」は、「テンプラ」「パスティ」「ヒロウズ」「ヒカド」「ゴウレン」などと並んで、いまでは広い意味での「南蛮料理」という言葉でひとくくりにされています。こまかくいうとそれらの料理は、戦国末期から江戸時代初めにポルトガル人らが伝えた料理(南蛮料理)、出島のオランダ商館で作られていた料理(紅毛料理)に分類されます。もしかしたら中には、明治以降、居留地の外国人との交流の中で伝えられた料理もあるかもしれません。はてさて、「フルカデン」はいずれの時代に伝えられたのでしょうか。真相は定かではないようです。
 「フルカデン色繪の皿に盛りてきぬ 迎陽亭の秋の夜の卓」。歌人・佐佐木信綱が昭和4年秋に長崎を訪れたときに詠んだものです。迎陽亭(こうようてい)は、文化元年(1804)に開業した料理屋で、長崎奉行所や各藩に利用された由緒あるところです。明治~大正にかけても、夏目漱石や北原白秋など多くの有名人が訪れました。信綱にとって、フルカデンと称して出された一皿は、異国情緒あふれる長崎そのものだったのかもしれません。

その2迎陽亭跡

一部遺構が残る迎陽亭跡。(個人宅。聖福寺そば)

 さて、「フルカデン」は、和風のミニハンバーグみたいな料理です。簡単なので作ってみませんか。
2人分:(1)合い挽き肉150g、タマネギ1/3個みじん切り、卵1個、小麦粉大さじ1、塩と砂糖各小さじ1/2を、ボウルに入れ、ハンバーグを作る要領で、ねばりが出るまでよく混ぜ、全体を8等分して小判型にまとめ、油で揚げます。

その3小判型

こねたひき肉を小判型にまとめる

その4油で揚げる037

 油で揚げる。この後、お湯で油抜き。

 あっさり味がお好みの方には、ハンバーグよりも食べやすいはずです。また、ブラウンソースで煮込めば、洋風にも仕上がります。ぜひ、お試しください。

その6フルカデン洋風

ブラウンソースで煮たフルカデン 

※この記事は2011年1月12日にみろくやWEBサイトに掲載したコラムから転載しています。

株式会社みろく屋
 みろくやは長崎のソウルフードであるちゃんぽん・皿うどんを代表商品として、長崎の「おいしい」を全国に向けて発信している企業です。
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