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『お金は寝かせて増やしなさい』 水瀬ケンイチ 著

著者はこの本で、自分に合った資産配分を決めさえすれば、あとはお金は寝かせておくだけで勝手に増えていくと主張しています。どういうことかというと、個々の株式を何度も売買するよりも、ただインデックス・ファンドを買ってじっと待っていれば自然とお金が増えていくということです。著者はこれを 「お金を寝かせておく」という言い回して表現しています。

世界中に分散したインデックスファンドを積み立て投資して長期保有すべき理由は、手間がかからないのが一番の理由です。インデックス投資は、銘柄選択をする必要がありません、投資タイミングを見極める必要もありません。世界中の株や債券に分散したインデックス・ファンドを毎月定期的に同じ金額を積み立てて、あとは寝かせておくだけなので手間はかかりません。

インデックス投資は、年金基金、信託銀行、 生命保険会社がスタンダードな投資法として採用していますから、素人の私たちが個別の株を売買するよりも安全運用と考えられています。日本の公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)はその運用資金のうち、77%をインデックス運用しています。

とはいっても100%安全とは言えないので、インデックスに投資する時には自分のリスク許容度を理解しておくことが大事です。リスク許容度とは「1年間に資産運用で発生する損失をどのくらい許容できるか」、その金額のことです。

自分のリスク許容度を理解して最大損失を許せる額に抑えておけば、ゆっくり寝かせてただ待っていれば資産を増やせます。この本では、自分のリスク許容度を把握する方法が3つが紹介されています。

1つ目は年間貯蓄可能金額の範囲内に設定する方法です。 年間の貯蓄可能金額を計算して、その範囲を最大損失に耐えられる金額の目安にすると、1年の貯蓄で最大損額をカバーできます。

2つ目はGPIFが負っているリスクの範囲内にする方法です。GPIFは私たちの年金資金を運用しており「安全かつ効率的な運用」を実践しています。GPIFの運用報告を見ると、年金資金の運用はだいたい年間10%前後のリスクをとっています。金融業界では年間リスクの2倍の損失を想定して、 最悪のケースも乗り切るというのが一つの判断基準になっています。年間10%前後のリスクであれば年間の値動きの幅は+20%前後です。つまり年間 20%程度の損失を想定しておけば良いことになります。

3つ目は、夜ぐっすり眠れるかどうかで判断する方法です。 リスク許容度の把握は人それぞれです。 本当に最適な資産構成になっているかどうかは、あなたがそれで夜ぐっすり眠れるかどうかで決まります。

リスク管理も大事ですが、「期待リターン」も投資判断では大切な要素です。 「期待リターン」とは、投資して1年後に得られるリターンの可能性です。

GPIFの資産の種類と期待リターン、リスクを比較してみると、「外国債券
は、国内債券とほとんど期待リターンが変わらないのにリスクは2倍近く高い」といったことがわかります。そして重要なことは、「期待リターンが5%の投資対象を10銘柄組み合わせると、期待リターン5%のまま、リスクのみを下げることも可能」という点です。以上のことから、どのように資産配分するかが重要になります。

投資成果は、銘柄選択や投資タイミングではなく、資産配分によって決まると言っても過言ではありません。つまり、自分のリスク許容度を把握して、その範囲で資産配分することが重要です。

資産配分を決めるときに参考になるのが「世界市場ポートフォリオ」です。これは、世界各国の株式時価総額と同じ比率で、資産配分する方法です。
たとえば、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」は、国内株式・先進国株式・新興国株式を含めた世界市場ポートフォリオになっています。資産クラスごとに分けると、おおよそ国内株式 : 先進国株式 : 新興国株式=1:8:1ぐらいです。

資産分配を決める参考になるもう一つの方法は「有効フロンティア」と呼ばれる方法です。これは資産クラスのリスク・期待リターン・相関係数から、リスクあたりのリターンが最も大きい(効率的な) 組み合わせを計算する方法です。それを計算する方法は、イーノ・ジュンイチ氏のブログ『投資信託のブログ ファンドの海』に紹介されています。ブログ内のアセットアロケーション分析 (http://guide.fund-no-umi.com/tools/aa.html)を参考にしてください。

リスクが高いと判断した時は、債券を組み合わせてリスクを下げることができます。債券の割合は、ポートフォリオ全体のリスク水準を決める重要な要素です。資産配分の際は国内債券の割合を変化させて自分のリスク許容度に合わせた資産配分を検討することになります。

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