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好奇心と日焼け

早い時間に晩御飯の支度を済ませて夜はゆっくりしようと、西日が差す台所に立った休日。
シンクがオレンジにピカピカしているのを見て流石にこれは焼けるぞと思い、顔にも腕にも日焼け止めを塗って時々奥に避難しながらなんとか料理した。
早めに食事を済ませ風呂に入ると、お湯を受けた顔が痛い。
ヒリヒリする。
風呂の鏡で顔を見ると真っ赤になっていた。
日焼けしてしまったようである。
室内だし!
日焼け止め塗ってたし!
大丈夫だろ!
と思ってたけど、ダメだった。
完全敗北。
やっちまった〜!という気持ちと、久しぶりにヒリヒリして皮が剥けるような日焼けして、そうそうこうだったわ!とちょっと子どもの頃を思い出して懐かしく面白く思う気持ちで半々。
シミはこれ以上できないでもらいたいけど。
手は食材に触れるし水や洗剤を触るから意味ないかなと思って塗らなかったけど、ヒリヒリするような焼け方はしていなかった。
顔より皮膚が強いのかもしれない。
日焼け止め、指定された量をちゃんと塗らないとパッケージに記載されている効果を発揮しないというのは本当らしい。
これでも料理前にマスカット大くらいは顔に塗り広げたはずだったんだけど、西日のパワーが強ぎて負けた。
マスカットと太陽じゃ、まあそうなるか。

私が子どもの頃、小学校〜中学までは日焼け止めは禁止されていた。
なぜか?は説明されたかされていないかすら覚えていない。
中学ではただ化粧品という扱いで禁止だったような気がする。
私が通う中学校のほとんどの先生は日焼け止めは禁止と言っていたけれど、音楽の女性の先生だけは違った。
「学校では禁止されているけど、先生は後々のことを考えると塗った方が良いと思います。」
と、はっきり私たちに言って日焼け止めに関しては黙認宣言をしていた。
当時は先生がそんなこと言っちゃって良いの?と不思議だったけど、今考えると良い先生だったなと思う。
ただ当時の私はあまり日焼けとか気にして無かったし、日焼け止めの効果に関しても半信半疑という感じで、夏でも大して日焼け止めも塗らず過ごして真っ黒に日焼けしていた。
そんな私も、日焼け止めの効果を信じ考えを改めるようになる。
ある年の(もう中学何年生の時が忘れちゃったけど2年生以降だと思う)体育祭で、ある実験をしてみたのだ。
体育祭の途中、テントでまったりしていると、きちんと日焼け止めを塗っていた友人の一人が、ろくに日焼け止めを塗ろうとしない私を心配して、自分の日焼け止めを塗るように申し出てくれた。
ありがたかったけど、人の日焼け止めをあまり塗りたくるのも申し訳ない。
それにそんなに日焼け自体気にして無かったので、どうしよう・・・と考えて、一つの疑問が頭に浮かんだ。
本当に日焼け止めに効果があるなら、片腕だけ日焼け止め塗ったら、左右の腕で日焼けの度合いが変わるのでは?と。
友達には止められたけど、どれくらい日焼け止めに効果があるのか知りたいという好奇心には二人とも勝てず、私は日焼け止めを右腕の肘から下だけに塗って体育祭を過ごしてみることにした。
結果、日焼け止めは効果があった。
塗り直しなどしなかったので日焼けしなかったわけではないが、左腕が赤黒く焼けてしまっているのに対して、右は茶色く焼けている程度で済んでいた。
左腕の痛々しい様子から友人と私の間では日焼け止めはやっぱり塗った方がいいという結論になった。
そんなことせんでも分かれって話だけど。

ヒリヒリとする肌を保冷剤で冷やしながら、ふとそんなことを思い出した。
今思うとそんな環境下の学校で日焼け止め禁止ってちょっと・・・。
それ以上は書かないけど、今は許可されてるといいなと思う。
あの音楽の先生・・・やっぱ、いい先生だったな。