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ツバメがいる

気がつけば、アパートにまたツバメが帰ってきている。
帰ってきたのか、昨年とは違うツバメなのか正直わからないけれど、毎年気がつけば階段の天井にツバメが住んでいる。
先日は手すりにツバメが止まっており、部屋から出てきた私と一瞬目があって驚いてピュンと風に乗って飛んで行った。
バタバタしないあのスマートな飛び方はかっこいいけど、あまりにも距離が近く目の前を切るように飛ぶので、私は少しだけ怖かった。
遠く飛んでいく姿を見ながら、止まっていたのによくすぐ風に乗れるものだなぁと感心した。

毎年、雛が生まれて成長すると、朝に外から鳴き声が聞こえてくる。
『今年も雛が生まれたのか〜』と嬉しくなるのだけど、これが結構やかましい。
やかましいのだけど、微笑ましいものだ。
私の住む部屋は階段が近いので、かなり声が聞こえてくる。
ジージージーとかビュービュービューとかそんな感じの鳴き声で、正直始めの頃はセミの声だと思ってた。
変な時期にセミが鳴いてるな〜異常気象か〜?と思っていたらツバメだったのである。
ある年の朝、巣で雛が黄色い口をかっぴらいて大声あげているのを見つけて、『あんたたちこんな声出すの』と驚いたものだ。
親鳥が餌を探しに飛び立って騒いでいるのか、なんなのかわからないけど。
そんなに鳴いてたら天敵に見つかりやしないか?と思う。
今年はまだ声は聞いていないけれど、生まれるとしたら夏前くらいかな?今年も無事に生まれてきて元気に育ってほしい。

大人のツバメはチュンチュンチュンと可愛く鳴く。
部屋を出入りしたりドアに近づいて声が聞こえてくると、なぜかちょっと嬉しくなる。
なんでだろうな、やっぱなんだかんだ見た目が可愛いからだろうか。
小さい生き物がせっせと生活を営んでいる姿に少し癒される感じがするし、毎日元気にチュンチュン言っているのを見て、少し安心したりもする。
夜に仕事から帰ってくると、シンとして巣からこちらの様子を伺っている姿もなんだか可愛らしい。
向こうからしたら警戒しているのかもしれないけど、心の中で『何にもしないよ〜』と思いながらあまりジロジロ見ないようにして部屋に入る。
そうしたらいつか私が人畜無害だって覚えてくれないだろうかと思っているのだけど、それが分かる頃にはもう旅たつのかもしれない。

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