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88歳9ヶ月ジジイのガンとの闘い日記⑲

8月3日記

7月27日

ジジイの担当医からお話があるということで
夕刻病院へ。

指定時間より早く着いたので
デイルームで待機するよう言われた。

スマホを見てると
「五十嵐さん、いいですよ」と声が聞こえた。

振り向くと、ジジイが廊下を
歩行器でリハビリの先生と歩いてる。

久しぶりに見るジジイの姿。

頑張ってリハビリしてるようだ。

少しして
「こんにちは」と声をかけられた。

リハビリの先生だ。
さっき見ましたよ、元気そうでですね、と私。

順調にリハビリはできているようだ。

これからもよろしくお願いしますと
頭を下げた。

個室へよばれる

看護師さんが先生みえましたので
あちらの部屋へどうぞと
手術前の説明受けた部屋へ通された。

ジジイも来るんだろうか?

すると車イスでジジイも部屋へ入ってきた。

何日ぶりだろう。

髪の毛がずいぶん伸びた。

ジジイが洗面台の鏡で
自分の姿を見ようと伸び上がってる。

まずまず元気そうで良かった。

いったいどんな話しなんだろうか?

この連絡がきたときから
心境的にネガティヴだった。

ナゼ人は悪い方ばかり考えるんでしょうね。

先生が部屋へ入ってきた。

今後の治療についてだった。

放射線治療をはじめること

喉の腫れがひかないので
鼻から管を入れてるのが悪さしてる可能性も
あるので
胃ろうで栄養をとっていきましょう。

飲み込むリハビリもできるようになります。

不整脈があるので循環器の先生と相談して
薬が必要なら服用すると。

耳の遠いジジイに私は
耳元でデカい声で先生の通訳

うなずくジジイ

先生が何か聞きたいことありますか?
の問いかけに

今までのうっぷんを
必死に訴えるジジイ。
聞き取りにくいが不満を言っている。

かなりストレスがたまってるようだ。

私は、横で
車イスにのって必死で先生に訴えてる
ジジイの姿を見て
泣きそうになった。

先生も言ってることが理解できてるのか
頷きながら聞いている。

きっと両手を拘束されていることへの不満なんだろう。

舌の神経を半分切除してるので
うまく喋れないジジイ。
それでも、必死に自分の意見を
先生に訴えてる。

両手の拘束にはきちんと理由がある。

鼻の管や喉のクダを取ってしまうおそれがあるからだ。

喉のクダを取ってしまうと
死んでしまう。

ジジイも調子の良い時もあれば
悪い時もある。

介助が必要なジジイ
それが現実。

ジジイは自分でできると
思ってる
思い込んでる。

手術してから
リハビリ以外寝たきり
食事は液体の栄養食

筋力も体力も落ちてるんだよ

だけど

生に対する貪欲さ

88歳とは思えないくらいだ。

これが戦後を生きぬいた九州男児の底力か?

娘の私のほうが心折れてばかり。

しっかりしなきゃ

この言葉に押しつぶされそうです。

とにかく
ジジイには、今後の治療方針を
伝えて、なんとか納得して?
してないかもしれないが
部屋へ戻っていった。

少しは、スッキリしただろう。

私は、あのジジイの訴える姿が
目に焼きついて
泣きながら運転して帰ってきた。

早く面会できるようになってほしい。

88歳でこんな過酷な時間を過ごしてるジジイ

手術しないほうがよかったのだろうかと
今になって疑問符が湧いてくる。

私は、なんて弱い人間なんだろ。

もっと、しっかりしないと・・・・

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