何もしていない

なんとなく、3月の末の所謂「自粛期間」ってやつから
家に籠もって、人と会わずに最低限の仕事や生活だけして生きていたこの数ヶ月。
こんなにゆっくり暮らしたのは物心ついてから初めてだったかもしれない。

思えば学生の頃から、学校とは別でとにかく何かしらの活動をしながら
日々忙しく過ごしてた。
高校生の頃に服作りを覚えてからは、パターンも引けないくせにひたすら何か縫っていた。
勢いのままに服を作って、ラフォーレの地下に委託して販売してたこともあった。
そのまま大学は当然文化女子に入り、そこでもずっと服を作ってた。
昼夜問わず、課題をしながら友達とクラブでファッションショーをするための服作り、自分が欲しいけど買えないブランドに似たテイストの服作りなど、何かしら作ってた。

社会人になってからも、会社では企業デザイナーとして服のデザインをして、夜は六本木でSM嬢として日々遊び歩いて、いろんな人と出会って、土日はコルセットを縫って、また遊んで、気付いたら自分でブランドを持たせてもらえる事になったりしてた。

ブランドを立ち上げた話は割愛するとして、とにかく夜に家にいるという事が無い20代を過ごして、それが30代になってもほぼ変わらぬペースだったので、今こうして家にいる事が多いと
「あー、私って何もしてないんだな」と思ってしまい落ち込む。

最近は物づくりの方向性が変わって、大好きなサウナにまつわるアパレルをちょっとずつ作っているけど、自分がサウナに行けない状況が続くとそのモチベーションもなんとなく落ち気味で、創作活動と言える事をしない3ヶ月を過ごしていた。

そうするとものすごく自己肯定感が爆下りして、精神衛生上非常によく無いな、という体感。

何か作れば気持ちも落ち着くのだろうけど、そう簡単に創作意欲も沸かないとなると、益々負のループに陥る。いわゆる「詰み」の状態。
無理やり何かを作り出して、ゴミが生まれた時の絶望感と落胆はたまらない。

こうした状況が初めてなので、とても戸惑っている。
何もしていない自分の無価値さ。
じゃあ何かしていれば価値があるか、というと
それもまぁ怪しいところなんだけど。

7月は連休がいくつかあったり、8月はお盆休みがあったりと
在宅とはいえ休日があるとやっぱり嬉しい気持ちになる。

今まではまとまった休みがあれば遠出したり、フェスに費やしていたけど
今年の夏はそれが無い、おそらく当分の間。

何も活動をしていない自分との戦い、というと大袈裟だけど
ここ数ヶ月のんびり暮らす事で、何かを得ようとしてはいけないな、
という事はとりあえず理解した気がする。
全ての事象を何かに結びつけるのは人生においてあまりよく無い気がしているので。

ただこうして何も無い時は、何も無いままでいいんだな、と自分に言い聞かせて。

遊び回らないので体力的にも金銭的にも負担が減ったり
家で料理する時間や勉強する時間が増えたのはちょっと良い事かもしれないけど。
あとは今まで後回しにしがちだった、本を読む、漫画を読む、ゲームをする
撮りためていた宝塚を見る、ネトフリアマプラでブックマークしていた映画や動画を見る。
時間に余裕があるときにやろうと思っていた事をやるべき時なのかもしれない。
特に宝塚は家のHDDを圧迫し過ぎている。

会うべき人とだけ会って、とるべき睡眠をとって
オンラインの様々なこの時期ならではのカルチャーに触れたりしている
稀有な2020年の夏。

来年の私がこれを読んだときの感想が楽しみ。


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