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短編小説

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さよならとシ・フラット

さよならとシ・フラット

「考え直さないか」

 絞り出されるような男の声が、冷房の効いた部屋の中に響いた。
 男の前に座る少女は、その様子をまっすぐな目で見ている。

「藤崎、お前がいないと困るんだ」

 どうにか縋ろうとする細身の男に対し、藤崎と呼ばれた少女は微笑みながら、しかし、はっきりと首を振った。
 その凛とした雰囲気は崩れることがなく、頭の動きについてくるようにポニーテールが左右にゆれる。藤崎は「安住先生」と小

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