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短編小説

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#短編

近所の犬

近所の犬

 それはほんの気まぐれだった。

 模試の関係で授業が早く終わった。
 まだ午後三時半。いつも部活だとか、委員会だとかで夜八時近くにならないと家に帰れない私は、久々に一緒に住んでいる祖母とおやつを食べられる、と少しご機嫌だった。少し浮かれていた私は、ふといつもの通らない道を通って帰ろうと思い立ち、いつも真っ直ぐ行く道を右に曲がった。

 思えば、高校に上がってからはこっちの道には殆ど来てい

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