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松峰みり
2022年9月17日 16:14
「考え直さないか」 絞り出されるような男の声が、冷房の効いた部屋の中に響いた。 男の前に座る少女は、その様子をまっすぐな目で見ている。「藤崎、お前がいないと困るんだ」 どうにか縋ろうとする細身の男に対し、藤崎と呼ばれた少女は微笑みながら、しかし、はっきりと首を振った。 その凛とした雰囲気は崩れることがなく、頭の動きについてくるようにポニーテールが左右にゆれる。藤崎は「安住先生」と小