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2025年奨学金の話:進学にかかる費用

みなさん。こんにちは。
みらぴかで保護者向けの講演をしている松田です。しばらくは最近お問合せが多い2025年の奨学金の話についてできるだけわかりやすく解説をしていこうと思います。スポーツ推薦や芸大など特殊なケースはここでは記載していませんが必要に応じてご相談に乗れるのでいつでも相談してください。

大学に進学するとどれぐらいお金がかかるの?

子どもが大学・専門学校の進学を考えたとき、頭をよぎるのはやっぱり「どれぐらいお金がかかるの?」ということだと思います。

特に最近は物価が上昇し、日々の生活費も上昇傾向です。(我が家でも電気代の上がり方にドキドキしています)そうした中で、多額の教育費が必要になると耳にするけれど、実際どうなの?いつから準備すればいいの?と心配になるこえは多くお聞きします。

2023年に実施された調査高校生の進路に関する保護者調査(マイナビ進学総合研究所調べ)では、「子どもの進路選択や学校選びについて困っていること」という質問に対して「学費が工面できるか不安」と回答した割合が27.6%となり、「特に困っていることはない」の回答を除くとトップという結果になりました。

シリーズ1回目は大学進学にかかる費用とその対策の大きな概要についてお話をしていきます。


大学進学にはかかる費用は大きく3種類

大学への進学でかかる費用は、大きく3つに分けられます。

●     入学前にかかる費用
●     在学中にかかる費用
●     卒業後の費用

大学が国立か私立か、実家通いか一人暮らしか、奨学金を受けているかどうかなどによって金額は変化しますが、大まかな金額を整理してみましょう。

進学前にかかる費用

大学を受験し、入学前までに支出する費用で、主に出願のための費用、受験のための費用、学校への納付金、教材購入費(パソコンなど)、住まい探しの費用、新生活用品購入費などが該当します。

2023年度新入生を対象とした調査を見てみると、自宅生の受験から入学までにかかった費用が国公立で1,362,300円、私立で1,676,200円、下宿生の受験から入学までにかかった費用は、国公立で2,061,900円、私立で2,340,000円でした。

出典:高校教員向け「進学マネー・ハンドブック」|独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)

このように、進学前のタイミングでだいたい100万~200万円ほどのまとまったお金が必要になります。思ったよりも多くてびっくりされたかもしれません。なお、出願にかかる費用などはどういった方式の選抜方式を選ぶかによってもかわってきます。あくまで目安として多めに考えておくといいでしょう。

進学前にかかる費用への支援は?

入学金だけでも一時的に大きな出費となるため、ひとり親世帯や低所得世帯、「貯蓄だけでは足りない」世帯をサポートするための仕組みが提供されています。

●     国の教育ローン(日本政策金融公庫)
●     入学時特別増額貸与奨学金(JASSO)
●     生活福祉資金貸与制度(市区町村の社会福祉協議会が窓口)
●     母子父子寡婦福祉資金貸与金制度(市区町村の福祉担当窓口)

入学金のサポートの仕組みについては、第2回で詳しくご紹介します。

在学中にかかる費用

大学へ入学してからかかる費用は、主に授業料、課外活動費、通学費、住居費・食費、その他日常費などが含まれます。このうち授業料は私立大学と国立大学で大きく異なりますし、生活費や食費についても実家暮らしか一人暮らしかで開きが出る点に注意が必要です。

2020年度の学生生活調査によると、授業料はひとり暮らしの私立が1,236,000円、国立が496,600円となっており、約2.5倍もの違いがあることが分かります。また住居費や食費は、私立の一人暮らしで750,400円、私立の実家暮らしで86,700円となっており、約8.7倍も違います。そのため、最近の大学で授業をしていると、少し時間はかかっても自宅から通う学生も増えています。また、1、2年生のうちに単位をしっかり取ると3年生の授業からは必要な授業がかなり少なくなります。そこからは自宅通学に切り替える方もいらっしゃいます。

出典:JASSO「令和2年度学生生活調査」

在学中にかかる費用への支援は?

なお、在学中にかかる費用をサポートする仕組みとして、以下のような制度が提供されています。

●     各種奨学金
●     教育ローン
●     授業料等減免制度

実はこの「各種奨学金」というのが実は1000種類以上ありさまざまな奨学金が用意されています。中には借りなくてもいい奨学金も多くありますし、企業や地域が提供する奨学金もあります。多くの奨学金は受給する資格があったとしてもその通知は届きません。そのため、この奨学金を理解し申請することで大きく大学選びのバーを下げることも可能です。これらの詳細については、第2回以降で詳しくご紹介します。

卒業後にかかる費用

在学中に貸与奨学金(返済が必要な奨学金)を受給していた場合には、卒業から返済が開始します。返済額に関してはシュミレーターが最近は用意されています。(日本学生支援機構のリンクはこちら

QRコードから日本学生支援機構のHPに行くことができます

奨学金は、授業料や学校納付金、毎月の就学費や生活費として大いに役立つものですが、貸与型の場合には働きながら返済することになるので、生活やライフプランに支障をきたさないように返済計画を立てることが大切です。奨学金の返済については、第5回で詳しくご紹介します。

専門学校進学にはいくらぐらいかかる?

専門学校への進学でかかる費用も、私立・国立や自宅通い・一人暮らしなどによる内訳はそれほど大きく変わりません。通学費や住宅費・食費、その他日常費は同程度かかると考えて良いでしょう。

一方で、専門学校は実にさまざまな分野に分かれていることから、それらを学習する内容によって入学金や学費(授業料・実習費・設備費)に大きな幅が出る点には注意しておく必要があります。

公益社団法人東京都専修学校各種学校協会による2022年度の学生・生徒の納付金調査によると、専門課程においては第1分野から第8分野まで分類されており、入学金の総平均は17.7万円です。

しかし分野・学科区分別で見てみると、第5分野(教育・社会福祉関係)「社会福祉」で10万円に対し、第4分野(衛生関係)「理容、美容」(昼間部)で12.3万円、第2分野(工業・農業)「バイオテクノロジー、その他」(昼間部)では17.6万円、第1分野(工業関係)「電気・電子、機械、その他」(昼間部)では19.3万円、第3分野(医療関係)「理学療法、作業療法」では34.2万円にのぼるなど差があることが分かります。

このような分野・学科区分別の差は授業料でも見られ、昼間部で倍近い幅があることもあります。またこれらに加え、専門的な設備や機材などに高額な費用がかかるため、実験・実習費や施設・設備費も必要になります。
参考:令和4年度 学生・生徒納付金調査|公益社団法人東京都専修学校各種学校協会

ちなみに、専門学校の進学に際しても、大学進学と同じく、教育ローンや奨学金などの費用のサポートを受けられます。

まとめ

まずは大きな目安として、入学前と在学中のお金について解説をしました。昔はお金の話というと子どもに話すのはタブーのように考えられていた人もいらっしゃいます。しかし、時代が変わりました。私は場合によっては、どこかのタイミングでお金の話をすることも大切だと思っています。

そうすることで大学での授業の受け方やアルバイトなどの姿勢にも変化あると感じることが多いためです。ある大学の学生は成績上位者がもらえる奨学金がもらえることを知り、4年間でずっと成績を高くキープしていました。

お金が理由で自分の進路を遠慮したり、進路を諦めるのは本末転倒です。
一方で、どこかのタイミングでかかる学費などについては知ることで、悔いのない充実した学生生活を過ごすきっかけになることもあると思います。

第2回では、「どんな奨学金を使うことができるの?」というテーマでお届けします。それではまた次回。

著者プロフィール 松田剛典
一般社団法人キャリアラボ 代表理事 https://kokoswitch.com
株式会社みらぴか 代表取締役 https://mirapika.jp 
X(旧Twitter):https://twitter.com/goten_m
株式会社ベネッセコーポレーションで高校生の進路選択の部署に配属。全国の高校の進路相談会の運営や入試判定業務などに携わる。人材紹介会社の大阪責任者をを経て独立。現在は、複数の高校や大学でキャリアデザイン講座の講師をしながら、北海度から九州まで実践型キャリア支援家として活動中して20年目。多くのキャリアコンサルタントとチームを組みながら、年間3000件前後の面談と、5000件前後のキャリア講座の企画に携わっている。

2023年保護者向けオンライン相談サービス「みらぴか」をリリース
著書:「はじめての課題解決型プロジェクト」ミネルヴァ書房
取材・講演の依頼はキャリアラボのホームページの問い合わせよりご連絡ください。


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