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人が辞めた。苦しむ君へ贈る言葉

「話したいことがあるので、お時間いただけますか?」
こんなセリフを文字面で見ただけで心臓がキュッとなる。そんな経験がある人はこの先を読むことをオススメしません。が、ぜひ読んでください。

雇用をするって責任だと思うんです。「無数にある会社の中からこんなちっぽけな自分たちに未来を預けてくれたことに対して、絶対に後悔させないように。」そんな向こうは大して期待もしていないプレッシャーをどうしてもいまだに感じます。

これを読んでくれている人の中にも、自分が上司としてメンバーの人生の一端を担ってしまうことを嬉しく思いながらも、その責任の重さに吐きそうな人はけっこういるんじゃないかと思います。

そんな叶わぬ初恋のような一方通行な想いを抱きながら業務をしている時に突然社内チャットツールに通知が来るわけです。


「話したいことがあるので、お時間いただけますか?」


これが来たときは経験上99%退職アラートです。大抵の場合はもう取り返しがつきません。さて今回はそんな自分のチームのメンバーが退職した時の心の整え方についてお話ししてみようと思います。

          人はいつか退職します。


それは最適な離職率とか、新陳代謝が必要みたいなそういった陳腐な話ではありません。会社も人も存在している理由は一緒で自分たちの将来の目指すべき姿に到達するために生きています。会社と社員お互いの理想は完全一致することは無いので、少しずつ少しずつ緩やかな変化変質を繰り返しながら乖離が出ていくことは自然なことだと僕は思います。願わくばお互いの方向性を一致させながら歩みを共にしていくことが理想ですが、基本的には長い人生の一部をそれぞれが自分たちのために共有してるという考えが正しいかなと感じています。

となるとお互いの価値観や将来像の変化変質に伴って乖離が大きくなるならば退職という選択肢はむしろあって当然なんでしょう。それをイヤというならば、会社側が様々なキャリアビジョンに対して最適解で在り続けられるように環境を構築する努力をすればいいだけの話ですし、そうすべきです。

 こんな考えになってきた今でさえ、社員が辞めます宣言をしてくると、「もっと何か環境を作ってあげられたんじゃないか?」「なぜもっと早く察知して言葉をかけてあげられなかったんだ?」と思いますし、退職の理由が転職ではなく頑張りすぎにより体調を崩してしまった社員のときなどはなおさらです。何のために会社やってんだろ?とか上司として自分は失格だなと自分で自分の感情をうまく制御できなくなり、作り笑顔を周囲に振りまく得意芸すらクオリティーが素人に戻ってしまうほどです。

最近弊社でも経験の浅い管理職陣が増えてきていて、退職者が出ると同様に苦しみ、涙して責任を自分自身で全部背負い切ろうとしている姿をみることがあります。その姿って尊いし偉いなって思う反面、自分が感じてきたようなダメージを彼らには感じてほしくないのでその向き合い方を伝えます。
今から話すことって結構無責任だし、管理職側の一方的な意見なので一部不快にするかもしれませんのでご注意ください。

まずはじめに、たくさんの人をマネジメントしていきたい、組織の上に行きたいなんて考えているならあなたのチームのメンバーはどんどんと増えていくことを前提としているわけです。
そうなると前述してきた通り人が辞めてしまうことは不可避です。1000人と対峙して1000人が辞めないチームを作るのはきっと誰しもが不可能。だったら辞めていくことを前提にマネジメントをしないとあなたの心が持ちません。辞めてもいいって話じゃありません。たくさんの人をマネジメントしていく中では辞めていく人が出てしまう確率はほぼ100%だということです。
それと向き合う覚悟が無いならマネジメントはしちゃダメとも思いますね。

次に、もし誰かが辞めてしまった時そのストレスや無力感は切り替えなくていいと思います。あなた自身の責任もあるのかもしれません、もしかしたら退職した側の責任もあるのかもしれません。そんなものきっと比率は違えど両者にあるんです。未熟さを痛感したなら落ち込むだけじゃなく、どうやったら同じミスを繰り返さないのか未来への行動を考えてみてください。

「今起きている負の感情を、未来への原動力に変えていく。」

タフな人やメンタルが強いと言われる人は、実はメンタルの強度が高いんではなくて、ストレスをしっかりと受け止め、紐解き、力へ変換できる人のことだと僕は定義しています。

最後にもっとも意識してほしいことは、どんなに辛い別れで自分に責任があったとしても泣くなら裏で泣いてください。メンバーの前では絶対に辛そうな顔や涙は見せないでください。厳しい言い方をすると大切にするのは「今」いるメンバーです。去ったメンバーに感情を揺さぶられその負の感情を今いるメンバーの前でさらけ出すのはあまりにも稚拙だと思います。組織の上に立とうと思うならそれぐらいの立ち振る舞いはプロとしてしてほしいです。

泣くならせめて上司の前にしてください。僕の前で泣いても慰めません。絶対に優しい言葉はかけません。


「やるって決めたのは自分でしょ?」
「つらいのは自分だけだと思ってんの?」
「そんな顔メンバーは見たいと思ってんの?」

心では思ってることもあります。

「大丈夫、その気持ちがあれば。だから管理職にしてんだ。」


辞めてしまうことが当然。絶対そんな考え方は間違ってるんです。でも管理職その気持ちをどこか心の保険として持っていては欲しいんです。全部が君たちの責任なんてことは絶対にないし、責任があるとしたら全部会社のトップにある。

自責にしすぎちゃう君たちに贈る言葉があるとしたら、ちゃんと他責にできるようになりなさいってこと。

社員にとって最適な「選択肢」になり続けられる会社にしていきたい。
だからほんとは誰にもやめてほしくない。共に苦しみ続けよう。
理想の会社になんか一生ならないんだから。





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