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第49回衆院選情勢報道集約の検証など

 三春です。みなさん衆院選おつかれさまでした。ぼくも疲れ切ってしまって新聞に埋もれて寝ていました。

 選挙の総括や、これまで発信してきた内容の検証など、やらなければならないことが多々あると考えています。けれども今はまだ体が回復しておらず、選挙期間中に棚上げしてきたことをこなしていく必要もあって、なかなか機敏に動けない状態です。いただいたメッセージにもほとんど返信できなくて心苦しいです。

 衆院選については、これから何回かに分けて書いていくつもりですが、まず真っ先に出さなければならないものが一つありました。それは今回の衆院選で行った情勢報道集約が妥当であったかの検証です。結果からお伝えすると、各社を上回る高い精度を出すことができて、ほっとしています。


情勢報道集約の当落の検証

 第49回衆院選情報部では、公示から投票日前日までの間、各社が行った情勢報道を一覧にして評価してきました。

(詳しい内容や手法については、下の記事を見ていただければと思います)

 これと似たことは2016年の参院選から行っていたのですが、今回は新たにガイドラインの改定と評価値の導入という変更をしました。情勢報道を各候補者の評価値に換算し、それを各社で平均した結果をもとに各候補者の優劣(あくまで当選しやすそうかしにくそうかという優劣)をはかるのです。情勢報道集約ではそのような評価値の平均をもとに、各小選挙区について優勢と評価される候補者から順に並べました。(なお、評価値については情勢調査のポイント差や得票率差などとの混乱を招かないように、配色のみで表示していました)

 そうして作った情勢報道集約が果たして質の良い情報であったかを、選挙結果との整合性という点から振り返っていきます。

 選挙結果との整合性を検討する上で、最も有力とされた候補が当選した場合を「整合」、当選しなかった場合を「不整合」と言うことにしましょう。例えば「A候補が優勢」と評価していたのに、選挙の結果、B候補が当選していたなら、それは不整合というわけです。一応、もう少し厳密な書き方もしておきます。

《 整合 》
各新聞社について・・・「優勢」などと形勢が良いことが報じられていた候補が当選した場合、また、「接戦」などと形勢が互角であることが報じられていた候補のうち、名前が先に出ていた候補が当選した場合。

情勢報道集約について・・・最も上の行に配置した候補が当選した場合。(情勢報道集約では小選挙区ごとに、形勢の良い順に上から配置することを表明していました)

《 不整合 》
各新聞社について・・・「優勢」など形勢が良いことが報じられていた候補が落選した場合、また、「接戦」など形勢が互角であることが報じられていた候補のうち、名前が先に出ていた候補が落選した場合。

情勢報道集約について・・・最も上の行に配置した候補が落選した場合。


 以上をふまえて整合と不整合の件数を合計したところ、次のような結果を得ることができました。

各社の結果および集約の結果

 各社とも不整合が37~44選挙区で横並びとなる中、情勢報道集約の不整合は28選挙区にとどまっています。情勢報道集約の精度はこれまでもたびたび検証してきましたが、新たな変更を経たうえで、今回も成果を出せたことはうれしく思います。

 もっとも、これは各社が手間とコストをかけて情勢調査や取材を行っているからこそのことなので、そうした方々の努力に敬意を払わないわけにはいきません。


接戦区の重要性

 とはいえ情勢報道集約の本当の目的は、当落の予測にあるのではないのです。選挙戦で重要となる接戦区を特定し、広く示すことこそが狙いでした。

 特に今回の衆院選は、接戦区の多い選挙でした。これは情勢調査でもそうでしたが、選挙の終わった今は得票率の分布から明らかになっています。接戦区次第で結果が大きく動く選挙だったのです。

あと残る期間でできるのは、持てる力を接戦区に向けて、そこをおさえきることではないでしょうか。それができるかどうかで、国会の景色は大きく変わるように思います。(10月9日)

政権交代の可能性は1%もありません。いま大局的な情勢は、自公維の3党の合計が3分の2議席付近というあたりにあるのではないかと思います。ですからこの辺の攻防がとても重要になるように思います。(10月9日)

「改憲勢力の3分の2は依然として微妙なところだと思います。自公維で3分の2に到達するかを問題にするか、立憲・共産・れいわ・社民が3分の1に到達するかを問題にするかでも違いますが、どちらも接戦区が振れれば微妙だと思います」(10月20日)

 こういったことを何度も書いたのは、熾烈な接戦がどちらに振れるかで、未来が大きく変わることを予感したからでした。接戦区に注力することで、そこを与党と野党で2:3くらいに分配できないかと考えていました。終わってみると与党と野党で4:3に分配される結果でした。

 公示から間もなく、ある選挙関係者の方と電話をしたとき、立憲が接戦区に注力できていないということを耳にして「それでは状況に向き合っていると言えない、そんなのは戦っていることにならない」と言ったことを思い出します。あのときは、接戦区がこれほど厳しい結果になるというイメージは持てていませんでした。

 結果を見るに、やったことにどれほど意味があったのかは、わかりません。でも次もやります。

 今回の衆院選で気力を失ってしまった方も多いかもしれません。けれど選挙はあくまで権力の座を空白として、その空白に一時的に誰をいれるのか、どの政党をいれるのかをそのつど選んでいくことです。次があります。いつだってその先の未来が開けてます。だからそれと向き合っていくのです。

 向き合っていこうじゃないですか。


 ※今回はひとまずこれだけですが、今後は得票率に基づいた情勢報道の検証や、市区町村の得票率の地図化などを行うつもりです。


情勢報道集約(当落つき)

 以下、情勢報道集約(最終更新版)の結果をそのままに、当選者に印をつけ、不整合のあった選挙区は選挙区欄の左(表の最も左)に赤で「不整合」と示しました。

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