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復職した日のこと〜アクブレ〜

躁うつ病になってから3年くらい経ちます。死にそうな時は、色んなことが頭に浮かびます。基本的に、iPhoneのメモ帳に書き残すようにしています。本音を言えば、誰かに話を聞いて欲しいし、全肯定して欲しい。だけど、そんな都合の良い人間なんていないし、誰かを自分の愚痴聞き人形にさせる、その行為が持つ暴力性を知っているから、iPhoneのメモ帳に汚れ仕事をさせています。鬱の時に頭に浮かぶ思考は、まるで豚肉を煮込んだ時に出る鼠色のアクのようなもの。取り除かなくても食べられるけど、私たちのようなメンタル疾患にかかるような人種は、アクの臭みが鼻を突き、食べることができない。だから、仕方なくアクを取り除かなくては生きていけないし、その表現方法や場を模索しているように思います。noteは、発作的にメモ帳に書き起こしたアクを、少し見栄え良く整理した文章を載せるために始めました。後で自分で見返そうと思って書いていますが、あまり見返したことはありません。

会社は1年半ほど休職しました。1年半の間は、正直あまり記憶がありません。睡眠薬や安定剤でフラフラでしたし、あまり記憶に残るような出来事もありませんでした。いきなり頭を丸刈りにしたり、睡眠薬をたくさん飲んで、家に警察と救急隊が来たらしいですが、記憶がありません。妻の脳裏には焼きついてるはずです。妻には申し訳ないですね、こんな男と結婚させてしまって。これからたくさんマッサージとかしてあげようと思います。大体1年くらい経ってからでしょうか。体調が良くなってからは、筋トレしたり、料理をしたり、アニメを見たりしていました。あと、犬の散歩と、妻のパートの送り迎え。

復職は本当に辛かったですね。人生で辛かったことランキングトップ3に入ります。仕事を放り投げて休んだ罪悪感もありますし、悪口を言われているんじゃないかとか、いろんなことを考えてしまいます。もちろん、悪く思う人もいるかもしれないし、それはその人の自由ですけど。それでも、精神的に辛い時は、そんな合理的な思考はできないし、他人の思考の揺れに敏感な私達は、ちょっとした目線に気づいてしまうんですよね。また、自分の両親が、優しさに欠けたタイプだったり、自分のことを信じてくれないとか、励ましてくれない子育て理念だったりすると、「おそらく他人もそうだろう」「きっと失敗した人間に辛く当たるはずだ」と思ってしまうということもあります。幼い頃、転校先の小学校で、女の子に悪口を言われてから、「女は理不尽な生き物」だという法則が頭にインプットされて幼少期を過ごしました。いろんな女性と知り合っていくうちに、理不尽ではない女性の存在に出会って、自分の方が理不尽だったりもしてビックリして、認知の歪みが自然と修正されていく訳ですね。

それで、実際に復職してみて思ったのは、95%は無関心だということ。4%は優しくしてくれて、休職したことを悪く思っているのは1%くらいだということ。実際、自分の人生のことでみんな大忙しだし、興味ないです。普通、病気になった人に対して悪口なんか言わないし、もしそんな人がいたら、その人の方がよっぽど病気です。実際、「俺よりもよっぽど病的だよな」と思う人が、割と社会的地位があったり、会社でうまくやってたりします。何が正しくておかしいかなんて、本当にわからない世の中です。

それでも、やっぱり電車で辛くなったりするので、ずっとヒーリング系の音楽を聴いたり、ブルーハーツを聞いていました。坂本龍一さんの音楽も精神的にいいですね。特に久石譲「あの夏へ」「Summer」、坂本龍一「Merry Christmas Mr.Lawrence」、Christian Kuria「Too Good」を繰り返し聞いていました。なるべく好きなもので身を固めるのもいいですね。想像以上に疲れますが、なるべくストレッチとかはしたほうがいいかもです。肩甲骨を動かしたり、胸鎖乳突筋、首の前の方ですね、そこをマッサージするといいです。それでも頭痛や肩こりが治らない時は、きっと歯の食いしばりがあるので、歯医者に行ってマウスピースを作ってください。5千円くらいで買えるので、大丈夫です。心は脳の作用なので、実は心は身体の一部なんですね。身体の不調は心にも影響することがあります。相互作用しているんです。

あとは、なるべく嫌いな人には近づかないでください。それが親の場合もありますが、それでも病気を理由に遠ざけてください。自分の体調を優先してください。そこに徹底するようになれば、体調はきっと良くなりますから。一番良くないのは、「嫌いの人に愛されたいと思うこと」です。親には愛されたいから、励まされたり、優しい言葉をかけて欲しいけど、肝心の親の性格が嫌いだったりすると、チグハグなんです。ちなみに、チグハグの語源を調べたのですが、チグは「鎮具」と書き、金づちを意味します。ハグは「破具」と書き、釘抜きを意味します。釘を打ちながら釘を抜くようなもの、つまりプラスの力をどれだけ込めて壁を押しても、同量のマイナスの力で押し返される、物理の教科書でみるアレです。アクセルとブレーキを同時に踏む、という言い方もできますね。それなら、チグハグならぬアクブレですね。話が少し逸れてしまいました。これは躁鬱病の人、すなわち「躁鬱人」の特徴かもしれませんね。調子がいい時には、あれこれ頭に浮かんで、一見取り止めもなくなる。けど、当の本人からすると、一本の軸があるんです。その軸に紐で繋がれているから、今こうしてパソコンの前に座っていられます。とにかく嘘付かず、リアルでいたいといつも思っています。それなのに、人によく思われたいとか、カッコつけたいという気持ちがちょくちょく顔を出してくるので困りものです。

本当にアクブレは体調を壊す、諸悪の根源ですね。結果論、1ミリも動いていないなら、アクセルもブレーキも踏まずに、パーキングに入れていればいいんです。なんならいっそサイドブレーキもしちゃいましょう。それなのに、アクブレをしちゃうと、ガソリンを食う割に1ミリも進まないので、全然エコじゃないですね。燃費が悪いどこの騒ぎではありません。そういえば、昔「恋のから騒ぎ」という番組があって、母と兄が一緒になって見て笑っていましたが、頭がおかしいんじゃないかと思っていました。変な派手な女の人が、変なエピソードを自慢気に話して、それを司会者に馬鹿にされて、喜んで笑っている。まだ小学生だったこともありますが、世の中に絶望しましたね。そんな母と兄は、ほぼ絶縁状態らしいので、やっぱりおかしかったんじゃないかと思います。私の勘は当たっていました。統計をとってみたら、面白いかもしれませんね。とにかく、アクブレをしないためには、アクセルを踏む前に、目的地を行きたいところに設定する。それだけですよね。もしくは、行きたくないなら、アクセルではなく、ブレーキだけを踏むようにする。なんならサイドブレーキをかける。

そう考えると、会社は行きたくないですよね。ですが、会社にいくことが本来の目的ではないですよね。例えば、「コンビニに行く」という表現を私達はしますが、コンビニに行くことだけが目的な人は、よっぽどコンビニという店舗が好きなマニアか、コンビニがない街から観光に来た人だけですよね。おそらく、目的は「アイスコーヒーを買う」とか「ポテチを買う」とか、「トイレをしたいから」とかではありませんか。そして、もっと突き詰めると、「美味しいものを食べて人生を充実
させたいから」「おしっこやうんこを漏らさずに尊厳を死守したいから」とかではありませんか。それと同じで、会社に行く目的も、「お金が欲しいから」「趣味を充実させたいから」「スキルを身につけたいから」とかなんだと思います。あくまで「会社に行く」は、その先の目的を叶えるためのツールに過ぎないんですね。それで、もしその会社に行くことが、その目的を叶えるために不適格なのであれば、転職をすればいいし、転職のためにスキルが必要なら勉強すればいい。そのためにも、まずは目的地をはっきりさせる。それを「夢」という曖昧な言葉を使うから分かりにくいですね。なんでもいいです。「回らない寿司に月2で行く」とか、「金が無い時に売ったオベーションのエレアコを買い直す」とか。これ自分の目的ですが。そんなのが目的地で会社に行っているようなものですが、やりたいこととかなりズレていることがわかったので、今は会社を辞める準備をするために、会社に行っています。それはアクブレじゃないのか!というツッコミが聞こえて来そうですが、同時に踏んでいるわけでは無いので、異なります。

ですから、電車に乗っているときに辛くなったら、「会社に行くこと」のその先にある目的を意識しましょう。辛いことは、その先の楽しい目的があるから、乗り越えられるんですね。辛い気持ちを感じている「今」も、その先に楽しい「未来」があることをイメージすれば、「未来に到達するための準備期間」に変わります。辛い「今」も、目標を持つと、四捨五入されて「未来」に変わります。それが、唯一、辛い「今」から逃れる方法だと思います。それ以外の方法は効果がありませんでした。自暴自棄になってギャンブルやったり、引きこもったり、睡眠剤で記憶飛ばしたり、さらに自分を追い込んで努力したりしたこともありますが、どれも微妙でした。大事なのは、「行きたいところ目的地にする」こと。ただそれだけで良かったんですね。非常にシンプルです。そうすれば、会社に行く途中の電車内で、少し不安な気持ちになっても、何割くらいかは辛い気持ちを軽減できます。それでもゼロにすることはできませんが、それは当たり前です。きっと、復職する人以外、普通のサラリーマンの9割以上は、嫌々会社に行っています。電車内を見渡して見てください。みんな吐きそうな顔をしていますから。嬉しそうな人は一人もいません。

そんな感じで「復職」をテーマに経験したことや思ったことを書かせてもらいましたが、辛いことには変わりありませんし、復職することが全てではないと思います。まずは体調を整えることが大事なので、やっぱりマウスピースが一番キーアイテムなんじゃないかと思います。


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