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22. 【塗装シリーズ】VOC

はじめに

皆さんこんにちは!
今回は、空気と塗装について考えてみたいと思います!
「塗装 環境省」と検索すると沢山出て来るのがVOCです。

VOCとは?

VOCは、正式名称をVolatile Organic Compoundsと言い、揮発性有機化合物を指しています。
環境省によるとVOCの定義は以下の通りとのこと。
VOCとは、揮発性を有し、大気中で気体状となる有機化合物の総称であり、トルエン、キシレン、 酢酸エチルなど多種多様な物質が含まれます[1]。

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[2]

浮遊粒子状物質は、2つに分類されるそうです[2]。
一次粒子:発生源から検出された時点で粒子となっている
二次粒子:排出された時点ではガス状であるが、大気中における光化学反応などにより粒子化する
意味を理解すると星マークが何とも不気味です…

影響は?

いかにも健康に悪そうな定義ですが、実際、環境省によるとSPM(浮遊粒子状物)や、光化学オキシダントの原因になっているのだそう…

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[2]

 光化学オキシダントに関しては、環境基本法には政府が定める環境基準(人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準)が存在します。
環境基準達成率は、一般局で0.2%、自排局で0%(平成30年度 一般局:0.1%、自排局:0%)であり、達成状況は依然として極めて低い水準となっています[3]。
ただ一方で、環境省の行う「VOC排出インベントリ」によると排出量はかなり減っているとのこと。

ぐらふ

[4]

これを見ると、塗装が排出量において多くを占めているものの、他にも色んな発生源があること が分かります。
そして、国立環境研究所では、これらの人為起源を以下のように分類しています。固定発生源と 移動発生源があることが分かります。

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[5]

SDGsとの関係は?

先程の分類には船舶や航空機など、国境を超えていく発生源もありました。 そこで、VOCを地球全体の社会課題としてみていきたいと思います。
今回は、国連が採択した持続可能な開発目標、SDGsに当てはめてみます。 「3すべての人に健康と福祉を」における今回のテーマと関連すると考えられたターゲットは以下の通りです。

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3.9
2030年までに、有害化学物質、並びに大気、水質及び土壌の汚染による死亡及び疾病の件数を大幅に減少させる。

また、このターゲットに対する指標を以下の3つに定めています。
● 家庭内及び外部の大気汚染による死亡率
● 安全ではない水、安全ではない公衆衛生及び衛生知識不足(安全ではないWASH(基本的な水と衛生)にさらされていること)による死亡率
● 意図的ではない汚染による死亡率[6]

日本は環境汚染とは縁のないキレイなイメージがあったのですが、データを見てみますとゼロにはなっていないことから、日本においても他人事ではない問題といえると思われました。
近畿経済産業局では以下のように目標3以外にもVOCが関わっている他の目標をまとめています。VOCは自然環境だけでなく、やりがいやその先にある経済成長も達成できることが分かります。

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[7]

この一覧を見た時、これらの目標は好循環の流れを作り出すもののように思いました。

SDgs循環

[8][7]をもとに筆者作成

何から始めたら良いの?

VOCについてここまで見てきましたが、ではどう対策をしたら良いか、疑問に思う方もいらっしゃると思います。私自身は「塗装業を行っているので直接的に排出を止めることはできない」と思い ます。ただ、皆さんと一緒にVOCについて知る。このことだけでも環境を大事にすることに繋がっていると思います。お店に入った時、もしVOC削減を考慮した商品であればここで勉強したことを 実践するときなのかもしれません。
また、環境省では以下の資料なども配布していますので、是非チェックしてみてください!
環境省が動画(17分弱)での説明を出しています。要点がぎゅっと詰まった内容ですので、是非ご覧ください。


さらに、すぐにできるVOC対策(塗装で取り組むVOC削減の手引き)を以下の環境省ホームページからダウンロードできます。


おわりに
いかがでしたか?私も今回のことがなければVOCについて知らなかったかもしれないと思うと、 周りにある環境問題の多さに驚くばかりです。。
これからは、お店に行ったときや企業のHPを見る時にも意識したいと思います! それでは、また次回~!

参考
[1] 揮発性有機化合物(VOC)対策, 環境省
https://www.env.go.jp/air/osen/voc/voc.html 
[2]揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制制度について, 環境省 水・大気環境局 大気環境課 https://www.env.go.jp/air/osen/voc/pamph/full.pdf
[3]令和元年度 大気汚染状況について, 環境省
https://www.env.go.jp/air/osen/jokyo_r1_1/post_80.html
[4]令和2年度 揮発性有機化合物排出インベントリ検討会報告書, 環境省, 14ページ https://www.env.go.jp/air/%20air/osen/voc/inventry/5_r2_mat.pdf
[5]環境儀 No.5, 国立研究開発法人 国立環境研究所, 2002
https://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/05/5.pdf
[6]SDGグローバル指標(SDG Indicators), 外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/statistics/goal3.html                  [7]VOC対策をして、SDGsに貢献しよう!                        https://www.kansai.meti.go.jp/3-6kankyo/H31R1fy/VOC20191108results/VOC-SDGs.pdf

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