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未利用資源を活かして循環型農業の実現へ!

こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。肥料価格の高騰が続いていますね。
これは以前の記事にも書きましたように、化学肥料は海外依存度が大きく、ウクライナ危機で調達が困難になったのが大きな要因です。またマクロ的には世界的な人口増加で日本に回ってくる価格肥料の量が少なくなっていることも肥料価格高騰の要因です。

そこで現在、下水汚泥に含まれるリンを使った肥料の利用が始まっています。これまでは化学肥料が容易に入手できていたことや下水汚泥には負のイメージがあり、活用は1割にとどまっています。下水処理の際に発生する下水汚泥は都会の「リン鉱石」ともいわれ、肥料の原料として注目されています。家庭からの排水の中にはリンが多く含まれており、下水道に含まれるリンの推定総量は5万トンにもなるのですが、そのうち活用できているのは約1割の5,000トン程度しかありません。仮に全て肥料として活用すれば年間の総需要量30万トンの1/6を賄えることになります。

課題は下水汚泥に対する負のイメージをいかに払拭するかです。安全性に問題はないものの流通業者や生産者にも「汚泥を活用した肥料で育てた農産物は消費者が嫌がるのでは?」との声もあります。

そうしたイメージを変えようと国土交通省と日本下水道協会は2013年「BISTRO下水道プロジェクト」始めました。2013年ですから10年前から取り組んでいたんですね。
下水道は美味しい食材を作るためのサポーターという前向きなイメージ戦略を打ち出しています。
農業は長い間、人や家畜の糞尿を堆肥にして農産物を生産してきましたが、近代化に伴って農村から肥溜めや汲み取り式便所がなくなり、肥料はもっぱら海外からの安価な化学肥料に依存し足元の資源に目を向けることがなくなりました。今後、持続可能で循環型社会に移行していくためにはこのような価値観を転換させること必要です。

(BISTRO 下水道推進戦略チーム「BISTRO下水道~レシピブックVer2.0~」より抜粋)


●動き出したJA・自治体
JA 全農ふくれんは福岡市の下水処理施設から出るリンを活用した肥料の販売を始めました。地域の未利用資源を活用することで従来品より 2~3割安く提供できるとのこと。

また神戸市や JA 兵庫六甲も下水汚泥から肥料を供給しています。地元農家と連携し市民を対象にした収穫体験を通じ、生活排水が循環型社会に貢献していることを PR しています。

山形県鶴岡市は JA 鶴岡に下水汚泥を活用したコンポストセンターの運営と販売を委託。下水処理施設を見学に来る児童らに、環境に優しい取り組みの大切さを教えている。

栄養豊富な下水道資源は食料の安定供給に貢献できます。化学肥料がコンポストに起き変われば脱炭素も進みます。肥料が高騰するなか海外依存から脱却し国内の未利用資源を活かして循環型農業・循環型社会を作っていくことがこれから大切になりますね。

【問い合わせ】
TEL 080-3396-5399
MAIL t.ogawa19720117@gmail.com

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