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企業の農業参入の現状2 ~どんな企業が農業参入?~

こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。前回は企業の農業参入が増加している旨の記事を書きました。その中で2009年のリース方式導入全面自由化によって企業の農業参入が急速に増えてきたことを述べました。

そういった中で今回はどのような企業が農業参入しているかについて見ていきたいと思います。2003年には外食産業のワタミ(ワタミファーム)、2007年にはモスフードサービス、2008年にはイトーヨーカドー(セブンファーム)、2009年にはイオン(イオンアグリ創造)、2010年にはローソンと食品関連業界(卸、加工、小売)が続々と農業参入を果たしています。

食品関連企業の農業参入の主な目的としては
・品質の高い農産物を確保し、高付加価値化を図るため。(高付加価値)
・農産物の安定的に調達するため。(安定調達)
・産地を表示することで、商品の差別化を図るため。(安心安全)
・産地の維持
等が挙げられ、背景には農業人口の減少により、卸売市場の取扱量の減少などから市場からの「安定調達」が難しくなってきたことが大きな要因のようです。食品加工業や飲食業では農産物が手に入らなくなっては困るでしょうし、小売業などでは棚を切らしてしまうと機会損失につながってしまいます。

そのため企業グループ内に自社農園を確保したり、生産法人と共同出資で農園を運営したりして農業参入をしてきました。

食品関連業樹の農業参入は本業にも密接にかかわる形での農業参入なので規模も大きく、本気度も高く、今後も農業参入する企業が増えてくるものと思われます。

また建設業なども農業参入しています。こちらは建設業自体が公共事業の減少などで業績が厳しくなっており新たな事業分野として農業を考えていることや建設業は季節ごとに仕事量の変動が大きいため、建設の仕事が少ない時期に農業を行うなど仕事量の平準化を行い、人材を維持することが目的となっています。

また最近では社会福祉法人などの農業参入で就業支援の場として農園を経営するケースも増えています。さらにその他の一般企業でも「地域貢献」という目的で農業参入してくるケースもあり、もはやどのような企業が農業参入してくるか予想もつかない状況になってきています。

いずれにしても、各企業が様々な思惑で農業参入を果たしてきており、今まで農業の主役は「農家」でしたが、今後は農業の主役の一角に「農業参入企業」が挙がってくることは間違いありません。
個人農家にとっては新しいビジネス上の競合となりますので、個人農家は企業の大規模農園とはしっかりと棲み分けをしていくことが大事になってきます。


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