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農業と製造業の違いは?

こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。私は「モノ」を作って販売する、、という意味では農業も製造業も同じだ、、というお話をよくします。生産→販売というプロセスは同じです。ですから、製造業で培ってきた様々な経営・生産・マーケティングなどのフレームワークを農業でも使っていくことが経営を安定させることに役立つと考えています。
ただし、やはり違いもあります。
違いとして挙げられるのは以下の3つです。

①     農業では在庫ができない
②     農業では生産面で不確定要素が多い
③     農業では個人経営が多い

①     農業では在庫ができない
製造業は需要予測を立ててモノを製造し、在庫しておくことでお客様の必要に応じてその都度タイムリーに出荷することができます。在庫しておけることが需要と供給の調整機能となります。だからといって必要以上にたくさん在庫することは経営を圧迫するので、需要予測精度を高めて適正な在庫水準を維持することが大切です。ともあれ製造業は在庫ができます。
一方、農業は在庫することができません。そのため収穫したものをその日のうちに出荷しなければならなりません。たとえ価格相場が安くとも作物ができてしまったら収穫しなければ果実は傷むし、その後の樹の生長やその後の収穫にも影響してきます。収穫時期がくれば必ず収穫し出荷しなければならない。つまり農業は在庫しておくことができません。
価格相場の安い時期に出荷したくなければ、温度を上げたり下げたり、日射量を調整したり、潅水量で調整したりと栽培技術で収穫時期を調整する必要があります。

このあたりの栽培技術となるとやはりベテランの篤農家でなければなかなか難しいです。

②  農業では生産面で不確定要素が多い
製造業でも生産において不確定要素はありますが、農業のように天候や病害虫などの人間ではコントロールできない要素の影響を非常に強く受けます。環境制御を用いた施設栽培であっても天候などはコントロールできませんので、日射量などは大きく影響を受けますし、最近の夏の暑さのように環境制御システムの能力の限界を越えた暑さでは温度コントロールもままなりません。完全閉鎖型の植物工場ぐらいになれば不確定要素はかなり取り除くことができますが・・。

製造業でも人間が仕事をしている以上、不確定要素はありますが、農業ほどには影響を受けることが少ないので、生産においては予測を立てやすく効率が高くなります。

③  農業では個人経営が多い
製造業ではほとんどが法人経営ですが、農業では総経営体の97%が個人経営体だといわれています。個人経営体というのは製造業でいえば個人事業です。個人事業ではやはり資本力が乏しく、大規模で高度な技術の設備を導入するのは難しいです。そのため新しい技術導入や高度の設備が広がらないため、生産の効率性が上がらないということになります。
例えばコカ・コーラなどの飲料工場ではほぼ無人で飲料の生産から缶や瓶への注入も行われ、24時間稼働させることで製造コストを下げることができますが、農業では施設栽培でも未だに手作業が多く、アナログでの管理は主流です。このように製造業と農業とでは、経営形態が違い、資本力が違います。

こういった違いがありますので、単純に製造業のフレームワークを農業にあてはめてもうまくいきません。しっかりと違いを踏まえながら、使える考え方、使えるフレームワークを上手に農業に活用していくことが農業経営には大切になってくると思います。

【問い合わせ】
TEL 080-3396-5399
MAIL t.ogawa19720117@gmail.com

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