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【日経新聞をより深く】米中間選挙に「Qアノン」候補、陰謀論を拡散~中間選挙の行方は?~

1.米中間選挙に「Qアノン」候補、陰謀論を拡散

11月8日投開票の米中間選挙で、陰謀論の信者集団「Qアノン」系の候補がどこまで勢力を拡大するかに注目が集まっている。トランプ前大統領を信奉し、2020年大統領選の結果を認めていない。激戦州で当選すれば、24年の次期大統領選の運営を混乱させるリスクもある。

メディア監視団体「メディア・マターズ・フォー・アメリカ」によると、Qアノンとのつながりが指摘される約70人が上下両院選の予備選や補選に出馬し、21人が11月8日の本選に進んだ。多くが共和党に所属する。

地方選にも出ている。メディア・マターズ・フォー・アメリカはミシガンやメリーランドなど計5州の州知事候補、アリゾナやネバダなど5州の州務長官候補をQアノン系と分析する。

東部ペンシルベニア州知事候補で共和党のダグ・マストリアーノ州議会議員は過去にトランプ氏を称賛するツイートでQアノンのハッシュタグ(検索目印)を繰り返し使った。20年大統領選は「盗まれた」と根拠のない主張を続ける。

州知事や州務長官は各州の選挙運営を担う。Qアノン系候補が就けば、24年の大統領選で民主党候補を勝たせないよう妨害する可能性が取り沙汰される。Qアノンに関する著書があるジャーナリストのマイク・ロスチャイルド氏は「自分たちが次期選挙の勝者を選ぶ力を持つと信じる人々の(政界)進出は危険だ」と指摘する。

中間選挙で当選者が増えるかどうかは不透明だ。陰謀論の大元と噂されるロン・ワトキンス氏は西部アリゾナ州で下院選の共和党予備選に立候補したものの惨敗した。予備選を勝ち抜いた候補も苦戦が目立つ。

Qアノンは20年に政界に進出した。数十人が連邦議会選に出馬し、関係が指摘される共和党の2人が下院議員に当選した。米公共宗教研究所(PRRI)の22年2月の世論調査では、米成人の16%がQアノンの陰謀論を信じており、共和党支持者では25%にのぼる。

米ラトガース大のジャック・ブラティッチ教授は「Qアノンの影響力が衰えたわけではない」とみる。「彼らは州や地方レベルの選挙への出馬を狙っている。政治家や活動家はQアノンとの関係を隠し、同じ陰謀論を拡散している」と説明する。

Qアノンは「Q」と名乗る人物が17年にネット上で投稿を始めた陰謀論を信じる人々で、「アノン」はアノニマス(匿名)の略だ。「子供を人身売買する悪魔崇拝者集団や闇の政府が世界を支配しており、トランプ氏は戦うために大統領になった」といった荒唐無稽な陰謀論が下地にある。トランプ氏の大統領選敗北後は選挙結果を否定する。

ロスチャイルド氏はQアノンが「悪魔崇拝者の世界支配」といった従来の過激な主張から、選挙不正や新型コロナウイルスの否定など比較的一般受けする陰謀論に軸を移して浸透を図ってきたと説く。

民主党は共和党とQアノンを結びつけて攻撃材料にする。ブラティッチ氏は「中間選挙は、州の役職への浸透を図るQアノンの戦略が成功するかどうかの試金石になる」と話す。

20年大統領選の結果を否定する候補はほかにもいる。民間団体「州の団結民主主義センター」の10月15日時点の分析によると、中間選挙では共和党や第3党、無所属の州知事候補22人と州務長官候補13人が「20年大統領選で不正があった」と主張する。

(出典:日経新聞2022年10月31日

2020年の米大統領選挙の際に、かなり注目されたQアノンが米中間選挙で再び注目されているようです。

日本のメディアでは陰謀論として片付けられている感がありますが、2020年の米大統領選挙の不正などを訴えるQアノンは一定の勢力として力を持つようになっています。

そもそもQアノンとは?

2.Qアノンとは

ウィキペディアによると、以下の様に書かれています。

ウィキペディアによると、以下の様に書かれています。
Qアノン(キューアノン、英: QAnon、発音: [ˌkjuːəˈnɒn])、あるいは単にQとは、アメリカの極右が提唱している陰謀論とそれに基づく政治運動である。

2ちゃんねるの関係者が管理運営する、英語圏の匿名画像掲示板・4chanと8chanに現れた「Q」という名前の人物の投稿に端を発する。「世界規模の児童売春組織を運営している悪魔崇拝者・小児性愛者・人肉嗜食者による秘密結社が世界を裏で支配しており、ドナルド・トランプはこれと密かに戦っている」という主張が中心的であり、神に遣わされた救世主としてトランプが個人崇拝の対象となっている。

Qアノン運動は、一般的にカルト宗教とみなされており、信者によって多数の暴力的事件が引き起こされていることから、FBIと欧州刑事警察機構は潜在的なテロ脅威として認識している。この陰謀論の主張は事実無根であり、多数の報道機関や専門家によって反証されているにもかかわらず、アメリカをはじめ世界的に多数の信者が存在する。日本のQアノン信者はJアノンとも呼ばれる。

(出典:ウィキペディア・Qアノン

このQアノンの主張は、極端に発展している点があるとは思います。しかし、Qアノンの広がりは、米国で分断が起きている象徴的な出来事ではないかと思います。

今なお、Qアノンが信奉する対象がドナルド・トランプ元大統領ですが、極端な言説が注目されがちですが、人気は絶大です。

その人気の源泉は「MAKE AMERICA GREAT AGAIN」というアメリカファーストの考え方です。また、その裏には「米国を支配し続けているディープステートの存在」があり、米国はディープステートに乗っ取られているというものです。

これは果たして、嘘か真か。

極端なQアノンの言説は別としても、ディープステート対ドナルド・トランプは実際にあるように思います。

トランプ元大統領は「カーター大統領以来、年収20万ドル(2,100万円強)の長期雇用になっていた8,000人のワシントンの上級官僚(SES:Senior Executive Service)の圧力に対抗して、少数の、親しいホワイトハウス・スタッフと共に、孤軍奮闘で戦っていたと思われます。主流派メディアも米国では「SES」との人材交流(相互雇用)があるため、トランプ元大統領が共通の敵だったのです。

SES(長期雇用の上級公務員制度)8,000人を作ったのは、カーター大統領(1977-1981)でした。それまでの米国は「政治任官」でした。

「政治任官」とは、大統領が変わるときは長官だけでなく、上級官僚も交代し、民間に下野する米国独特の制度が1970年代まで続いていました。これをカーター大統領が長官は変わっても、上級官僚は継続するキャリア制度に変えたのです。

目的は、優秀な人材を、高給(平均年収20万ドル)で継続的に雇用し、優れた軍事・行政を行うためでした。カーター大統領は、長官だけでなく上級官僚まで4年で交代してしまう米国の制度が、米国を弱体化させてきたと考えたからです。カーター大統領以来約40年、米国官庁の上級官僚は、最高裁の判事のように終身雇用に近くなったのです。

トランプ元大統領は政治の門外漢でした。トランプ元大統領は2016年の選挙前に「軍を含む政治をワシントンから国民(USA)に取り戻す」ことを公約しました。それは、カーター大統領以来、約40年の長きにわたり、政治任官から逃れる慣習になっていたSESの解体を意味することだったのです。

トランプ元大統領はアメリカがアメリカらしくあった時に戻すということを目指しているとも言えます。その真逆だったのが、グローバリスト、ディープステートだったのです。オバマ大統領時代に、SESは完全にオバマ大統領の恣意的な人事によって私物化されています。

2期8年で8,000人のうち、6,000人以上を交代させています。ここに、闇があり、トランプ元大統領の思い通りに動かない。SESはディープステートそのものになってしまったのです。

トランプ元大統領が言った「アメリカファースト」「MAKE AMERICA GREAT AGAIN」はアメリカを世界一に復帰させるという意味ではなく、草の根の米国民を政治に関与させる、リンカーン大統領以来の民主主義の復権だと述べています。

だから、トランプ元大統領の本当の公約、最も目指していたのは、政治をワシントンから取り戻すことであり、自身の再選より、さらに大きな目的がディープステートとの闘いに勝利し、本当のアメリカファーストを実現することにあると思われます。

こうした意味で、Qアノンの極端な主張は別として、トランプ元大統領が言った「アメリカファースト」「MAKE AMERICA GREAT AGAIN」は米国で今も一定以上の支持を受けていると言えるのです。

3.米中間選挙の行方

中間選挙まで10日を切りました。下院は共和党勝利の可能性がかなり高くなっています。上院は「接戦」とされております。夏以降、民主党が勢いを得ておりましたが、ここに来て、「インフレ」「景気後退」の懸念から、バイデン政権への信認が揺らいでおり、共和党が勢いを得ているようです。

最後まで、中間選挙の行方は分からなくなってきました。上院、下院共に、共和党が勝利した場合、今後の政策は変わってきます。

リベラルの民主党の政策は通らなくなります。ウクライナ戦争に関しても、現在のバイデン政権は、強硬姿勢を続け、武器供与も継続しています。しかし、共和党になれば、どうなるかはわかりません。

また、米国では中間選挙が終わった翌日から大統領選挙が始まると言われますが、2024年の大統領選挙に向けた動きが加速してきます。

その際には、Qアノンの存在も無視できないものとなるでしょう。

世界で最も影響力のある選挙戦が米国の選挙です。今年の大きなイベントの一つであった共産党大会は、中国は習近平氏の一強で独裁色が強くなることで終わりました。今年最大のイベントである米中間選挙の行方で、今後の世界の方向性も変わってきますので、要注目です。

未来創造パートナー 宮野宏樹
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