【日経新聞をより深く】米中間選挙に「Qアノン」候補、陰謀論を拡散~中間選挙の行方は?~
1.米中間選挙に「Qアノン」候補、陰謀論を拡散
2020年の米大統領選挙の際に、かなり注目されたQアノンが米中間選挙で再び注目されているようです。
日本のメディアでは陰謀論として片付けられている感がありますが、2020年の米大統領選挙の不正などを訴えるQアノンは一定の勢力として力を持つようになっています。
そもそもQアノンとは?
2.Qアノンとは
ウィキペディアによると、以下の様に書かれています。
このQアノンの主張は、極端に発展している点があるとは思います。しかし、Qアノンの広がりは、米国で分断が起きている象徴的な出来事ではないかと思います。
今なお、Qアノンが信奉する対象がドナルド・トランプ元大統領ですが、極端な言説が注目されがちですが、人気は絶大です。
その人気の源泉は「MAKE AMERICA GREAT AGAIN」というアメリカファーストの考え方です。また、その裏には「米国を支配し続けているディープステートの存在」があり、米国はディープステートに乗っ取られているというものです。
これは果たして、嘘か真か。
極端なQアノンの言説は別としても、ディープステート対ドナルド・トランプは実際にあるように思います。
トランプ元大統領は「カーター大統領以来、年収20万ドル(2,100万円強)の長期雇用になっていた8,000人のワシントンの上級官僚(SES:Senior Executive Service)の圧力に対抗して、少数の、親しいホワイトハウス・スタッフと共に、孤軍奮闘で戦っていたと思われます。主流派メディアも米国では「SES」との人材交流(相互雇用)があるため、トランプ元大統領が共通の敵だったのです。
SES(長期雇用の上級公務員制度)8,000人を作ったのは、カーター大統領(1977-1981)でした。それまでの米国は「政治任官」でした。
「政治任官」とは、大統領が変わるときは長官だけでなく、上級官僚も交代し、民間に下野する米国独特の制度が1970年代まで続いていました。これをカーター大統領が長官は変わっても、上級官僚は継続するキャリア制度に変えたのです。
目的は、優秀な人材を、高給(平均年収20万ドル)で継続的に雇用し、優れた軍事・行政を行うためでした。カーター大統領は、長官だけでなく上級官僚まで4年で交代してしまう米国の制度が、米国を弱体化させてきたと考えたからです。カーター大統領以来約40年、米国官庁の上級官僚は、最高裁の判事のように終身雇用に近くなったのです。
トランプ元大統領は政治の門外漢でした。トランプ元大統領は2016年の選挙前に「軍を含む政治をワシントンから国民(USA)に取り戻す」ことを公約しました。それは、カーター大統領以来、約40年の長きにわたり、政治任官から逃れる慣習になっていたSESの解体を意味することだったのです。
トランプ元大統領はアメリカがアメリカらしくあった時に戻すということを目指しているとも言えます。その真逆だったのが、グローバリスト、ディープステートだったのです。オバマ大統領時代に、SESは完全にオバマ大統領の恣意的な人事によって私物化されています。
2期8年で8,000人のうち、6,000人以上を交代させています。ここに、闇があり、トランプ元大統領の思い通りに動かない。SESはディープステートそのものになってしまったのです。
トランプ元大統領が言った「アメリカファースト」「MAKE AMERICA GREAT AGAIN」はアメリカを世界一に復帰させるという意味ではなく、草の根の米国民を政治に関与させる、リンカーン大統領以来の民主主義の復権だと述べています。
だから、トランプ元大統領の本当の公約、最も目指していたのは、政治をワシントンから取り戻すことであり、自身の再選より、さらに大きな目的がディープステートとの闘いに勝利し、本当のアメリカファーストを実現することにあると思われます。
こうした意味で、Qアノンの極端な主張は別として、トランプ元大統領が言った「アメリカファースト」「MAKE AMERICA GREAT AGAIN」は米国で今も一定以上の支持を受けていると言えるのです。
3.米中間選挙の行方
中間選挙まで10日を切りました。下院は共和党勝利の可能性がかなり高くなっています。上院は「接戦」とされております。夏以降、民主党が勢いを得ておりましたが、ここに来て、「インフレ」「景気後退」の懸念から、バイデン政権への信認が揺らいでおり、共和党が勢いを得ているようです。
最後まで、中間選挙の行方は分からなくなってきました。上院、下院共に、共和党が勝利した場合、今後の政策は変わってきます。
リベラルの民主党の政策は通らなくなります。ウクライナ戦争に関しても、現在のバイデン政権は、強硬姿勢を続け、武器供与も継続しています。しかし、共和党になれば、どうなるかはわかりません。
また、米国では中間選挙が終わった翌日から大統領選挙が始まると言われますが、2024年の大統領選挙に向けた動きが加速してきます。
その際には、Qアノンの存在も無視できないものとなるでしょう。
世界で最も影響力のある選挙戦が米国の選挙です。今年の大きなイベントの一つであった共産党大会は、中国は習近平氏の一強で独裁色が強くなることで終わりました。今年最大のイベントである米中間選挙の行方で、今後の世界の方向性も変わってきますので、要注目です。
未来創造パートナー 宮野宏樹
【日経新聞から学ぶ】
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