見出し画像

あなたはロシアをどう見ていますか?

【IMFの経済見通し】
国際通貨基金(IMF)は16日、ロシアの経済成長率が今年、米国を含む世界の先進国を上回るとの予測を発表しました。

(出典:IMF・WORLD ECONOMIC OUTLOOKより抜粋)

最新の世界経済見通しの中でIMFはロシア経済が今年3.2%成長すると予測。伸び幅は英国やドイツを大きく上回ると見ています。

ロシアの2024年の世界経済成長率は3.2%と、1月の前回見通しから0.1ポイント上方修正されました。2025年の成長率は前回から据え置きで3.2%のままとなっています。

ロシアはウクライナ侵攻に絡んで制裁を科されています。それにも関わらず、IMFは前回見通しから成長率の上方修正をしました。2025年についても、1.8%に引き上げています。石油輸出が「安定」しているほか、政府が「支出を続けている」ことが成長につながるだろうとIMFは説明しています。

IMFのペチャ・コエヴァ・ブルックス副局長はロシア国内の企業や国営企業からの投資と「民間消費の堅調さ」が好調な石油輸出と並んで成長を促進したとしています。ロシアは世界最大の石油輸出国の一つです。今年2月にはBBCがロシアの石油から作られた数百万バレルの燃料を制裁にもかからず、今なお、英国が輸入していることを明らかにしました。

一方、欧州全体と英国は下方修正されています。G7ではドイツが0.2%成長と最も低い予想でした。米国の今年の成長率は2.7%と前回から0.6ポイントの大きな上方修正となりました。2025年は1.9%に減速すると見られています。

中国は前回と同じ4.6%の見込みで、来年には4.1%に下がる見通しです。

IMFのエコノミストらは、中東でイスラエルとイスラム組織ハマスの紛争がさらにエスカレートすれば、世界中の食料品やエネルギー価格の上昇につながる可能性があると警告しました。

紅海での船舶攻撃やウクライナでの戦争の継続も、これまで「驚くほど回復力があった」世界経済に影響をおよぼすかもしれないといいます。

また、食料、エネルギー、輸送コストが高騰する可能性があり、低所得国が最も大きな打撃を受けるだろうと付け加えています。

ロシア経済の強さはRTでも報道されています。

【ロシア経済と米英、日本との違い】
ロシアはソ連崩壊後、辛酸を舐め、そこから立ち上がってきました。プーチン大統領就任以降は資源を中心に経済を立て直していきました。

プーチン大統領は度々、西側の経済システムは詐欺であるという旨の発言をしていますが、それは国家運営に対する考え方の違いがあるのではないかと思います。

まず、ロシアの政府債務の対GDP比ですが、2023年のデータでは17.65%です。2000年は55.7%ですから、意図的に政府債務を減らしてきたことが分かります。

(出典:ロシア・政府債務対GDP比)

一方、米、英、日を見ておきます。

米国の政府債務対GDP比は2023年が131.5%です。英国は同97.6%、日本は265.95%です。日本はダントツに高いです。

(出典:TRADING ECONOMICS/米国・政府債務対GDP比)


(出典:TRADING ECONOMICS/英国・政府債務対GDP比)
(出典:TRADING ECONOMICS/日本・政府債務対GDP比)

次に経常収支を見ておきます。ロシアの経済収支は常にプラスで推移しています。2023年は631.4億ドルのプラスです。

(出典:世界経済ネタ帳/ロシア・経常収支

米国の経常収支は常にマイナスです。2023年は-7951.5億ドルです。英国も同じく常にマイナス。2023年は-1219.6億ドルです。日本は経常収支はプラス。2023年は1411.8億ドルのプラスです。

(出典:世界経済ネタ帳/米国・経常収支
(出典:世界経済ネタ帳/英国・経常収支
(出典:世界経済ネタ帳/日本・経常収支)

ここまで見てきても、経済運営の考え方違っていることが見えてくるのではないでしょうか。基本的に米英は、負債も大きく、そして経常収支でも赤字ですので、政府が国債を発行して資金調達をして、国を回しています。いわば金融で回している国。日本も同様になってきておりますが、日本は対外投資が多く、対外投資からの利息が大きいため経常収支がプラスになっています。

次に貿易収支を見ておきます。ロシアの貿易収支は、最新の2024年2月76.5億ドルの黒字です。米国は689.9億ドルの赤字です。英国は貿易黒字の時もありますが、基本的に赤字基調です。2024年2月は22.9億ドルの貿易赤字です。そして、日本ですが、2011年の東日本大震災以降、赤字のことも多く、特にここ数年は赤字を出していました。ただ、2024年の2月は366.467億円の貿易黒字です。

(出典:TRADING ECONOMICS/米国・貿易収支)
(出典:TRADING ECONOMICS/英国・貿易収支)
(出典:TRADING ECONOMICS/日本・貿易収支)

ここまで、ロシア、米国、英国、日本の政府債務対GDP比、経常収支、貿易収支を見てきましたが、ロシアは資源を武器に貿易黒字を稼ぎ、経常収支も黒字であり、さらに政府債務の対GDP比も低く、しかも減らしてきたという経緯をたどっています。

一方、米、英、日は政府債務の対GDP比は高く、しかも増え続けており、日本だけが経常収支は黒字ですが、米英は大赤字、そして貿易収支は米、英、日共に赤字です。

日本の経常収支の黒字も対外投資に対する利息があるための黒字ですから、米・英・日は実需で回っているのではなく、「お金を刷って」回っている国と言えます。

今後、世界が米国一極でグローバルサプライチェーンだった時代から、多極化世界となり、経済がブロック化されてくると、基本的にインフレ基調となり、資源は高値となりがちです。基本的に資源を持つ国が経済的強さを持つ可能性は高くなり、ロシアが取っている経済戦略は強さを発揮するのではないでしょうか。

【ロシアは世界からどう見られ始めているか?】
インドのThePrintというメディアがあります。このメディアに国連人道問題調整事務所の元職員で、インド軍の特殊部隊に所属していたアルジュン・カトック氏が興味深い寄稿をされています。そこには4つの神話が書かれています。

①ウクライナ戦争は侵略戦争である
②勇敢なウクライナがロシアの土地強奪に抵抗している
③プーチンは戦争好きの侵略である
④ウクライナ戦争は膠着状態である

これら4つの神話をことごとく崩しています。注目すべきは、インドのメディアで国連人道問題調整事務所の元職員で、インド軍の特殊部隊にも所属していた人が書いていることです。

①のウクライナ戦争は侵略戦争である、は違うとしています。2014年に米CIAが支援したマイダン革命で合法的に選出されたウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ大統領が打倒され、その後ウクライナ軍がドンバスのロシア語圏を抑圧しようとしたことで最終的に内戦に繋がりました。

2014年のマイダン革命以降、ウクライナ軍によるドンバス地方への攻撃が行われました。それを止めるためにミンスク合意1、2が署名されたにもかかわらず、ウクライナ軍は一方的に破棄し、攻撃を続けたのです。ミンスク合意はウクライナ軍を強くするための「方便」だったと、ミンスク合意に署名したドイツの元首相メルケル、フランスの元大統領オランドは告白しています。

こうして、ロシア語圏ドンバス地方でのウクライナ内戦では2014年から2022年の間に14,000人が死亡しています。これを止めるために侵攻したのがロシアであり、西側諸国が描く物語の様にロシアが突然侵略を始めたというわけではないのです。

②の勇敢なウクライナがロシアの土地強奪に抵抗している、という神話もおかしな話です。ウクライナは西側の代理で戦っているということです。西側諸国はロシアに対して1万8000以上の制裁を課し、ロシア経済を崩壊させることが目的です。米国と欧州連合はウクライナに約2,000億ドル(30兆円)に達する支援をしています。日本の防衛費は7.9兆円なので、その大きさに驚きます。

西側諸国はウクライナに数百の戦車、数千の戦闘車両、パトリオットミサイルやその他の防空システム、対戦車兵器、巡航ミサイル、数百万発の弾薬を供給してきました。最新のレオパルド、チャレンジャー、エイブラムス戦車、M113およびマーダー装甲兵員輸送車(APC)、HIMARS(高機動砲兵ロケットシステム)、ATACMS(陸軍戦術ミサイルシステム)、ストームシャドウミサイルもウクライナに供給されています。

さらに、ニューヨークタイムズの最近の記事では、2014年以降、ロシアをスパイし、ウクライナ人を訓練するために、ウクライナに12の秘密CIA基地が設立されたことが確認されたと報道しています。

つまり、この戦争は代理戦争であり、ウクライナは傀儡政権が止めるに止められずに西側諸国の代理で戦っているということです。

③プーチンは戦争好きの侵略であるも、全くの妄想です。プーチン大統領の演説を聞けば、ロシアがいかなる段階でもヨーロッパの国を脅かしたことは一度もないことがわかります。

特別軍事作戦の3つの目標は、ウクライナに迫害されているロシア語圏の住民を保護し、ウクライナを非軍事化し、非ナチ化することと明確に示されています。ロシアがヨーロッパを攻撃したいと思っており、核兵器を使用する準備ができているという話は、米国、EU、ヨーロッパの政治家、メディア、軍人から出ています。

また、2022年2月に戦争が始まった後も、2022年3月にイスタンブールでウクライナとロシアの間で合意が成立し、ウクライナにとって非常に有利な条件で戦争が停止するはずでした。しかし、英国の元首相ボリス・ジョンソンがキエフに飛び、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に撤退を説得したのです。それ以来、ゼレンスキー大統領はロシアとの交渉を禁止する法令に署名しています。

④ウクライナ戦争は膠着状態である、これも神話です。2023年夏のウクライナ軍の反撃が見事に失敗し、最近ウクライナの拠点アヴディーイウカが占領された後、ロシア軍は泥沼の季節である現在も1,000キロの最前線の全区間に進撃しています。ロシア軍の戦略的意図は、ウクライナ軍を弱体化させ壊滅させることです。ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は最近、ウクライナ軍は毎日800人から1,000人の兵士と100点以上の武器や装備を失っていると述べています。

ウクライナ軍は45万から50万の兵士を失ったという計算も出ています。今、まさにウクライナ軍は壊滅しつつあり、西側の支援が止まれば、すぐに壊滅でしょうが、たとえ支援があったとしてもこの流れを止めることは無理でしょう。ロシアは少なくともドニプロ川とオデッサ・ハリコフ線までは進軍すると見られています。

西側が作ってきた神話、物語は、実は「現実ではない」ことが、今、はっきりと明らかになっています。

【西側は正義などではない】
西側メディアは絶対悪のロシアを西側が資本主義を守るために戦っていると宣伝していますが、これは全くのプロパガンダです。

西側の方が情報統制をしており、ロシアが「良く見られる」情報は封じ込めています。その為、ロシア側の情報が西側に入りにくく、日々流れてくる「ロシアは悪」「ロシアは経済制裁で経済崩壊する」「ウクライナは勇敢に戦っている」「ゼレンスキーは英雄」などの情報にさらされています。

当然、ロシア側からの情報も入れるべきであり、どちらの情報も見なければ、真実は見えてきません。

ロシアの外貨準備を凍結しましたが、今度はそれをウクライナ支援に使うという案まで浮上しています。これは、明らかに強盗であり、米国、欧州がそのような無秩序なことをしても良いのか。これは正義とは言えないと思います。

そろそろ目を見開いて見なければ、ウクライナが崩壊したのちに、日本の1兆8千億円もの支援、そしてさらに世界銀行のウクライナへの貸付の債務保証などは、ただお金を奪われただけになってしまうのではないでしょうか。

また、ロシア経済はヨーロッパ、米国よりも成長率が高く、崩壊どころか国力を増しています。むしろ制裁を行っている西側、特にヨーロッパはドイツを筆頭に決して経済が順調とは言えません。皮肉なことですが、制裁した側の方が苦しんでいるというのが現実です。

インドで出ている論説は、日本で読まれることは、ほぼないでしょう。しかし、インドには14億以上の人口があり、この論説はRT(ロシアトゥデイ)でも紹介されていました。英語で書かれたものは、世界の人が見る可能性があります。

私が書くこのnoteは、私の影響力の低さもありますから、わずかな人しか目にしないと思います。また、日本語を読むことができる人、つまりほぼ日本人しか見ることはないでしょう。

でも、少しでも多くの人に、日本のメディアで日々流されている情報が世界のスタンダードではないことを知ってほしい。良かったら、この記事を拡散していただけると嬉しいです。

しっかりと目を開いて世界を見る必要があるのではないでしょうか。

自分が関心があることを多くの人にもシェアすることで、より広く世の中を動きを知っていただきたいと思い、執筆しております。もし、よろしければ、サポートお願いします!サポートしていただいたものは、より記事の質を上げるために使わせていただきますm(__)m