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ウクライナ軍、迫るレッドライン ロシア核使用の懸念も~日本の報道大丈夫?~【日経新聞をより深く】

1.ウクライナ軍、迫るレッドライン ロシア核使用の懸念も

ウクライナでは、侵攻中のロシア軍が戦力を南部から東部に再配置し始めたことで、今後の戦闘の焦点は東部に移るとの見方が浮上している。ただ、ウクライナ軍は東部だけでなく、南部でも反転攻勢を続けており、ロシア軍が南部で大きな後退を強いられれば、化学兵器や小型核兵器といった大量破壊兵器の使用に踏み切る事態がかつてなく現実味を帯びそうだ。

ロシア軍は11月、南部へルソン州のドニプロ川西岸から部隊を撤退させ、東岸地域で防衛線を構築している。同時に、後退させた部隊の一部を東部戦線に振り向けたことで、東部地域で攻防が激化するとの見方が多い。

ただ、主戦場が東部に限定される保証はない。ウクライナ軍は9月以降、南部にロシア軍主力を引き付けたうえで、東部で一気に占領地を奪回してみせた。一方、現在はロシア軍が東部を重視していることで、南部でのロシア側の守りは手薄になっている。

ウクライナ軍にとって9月と状況が異なるのは、南部での前進を阻むドニプロ川という地理的障害があることだ。ただ、これまでの戦闘でもウクライナ軍は渡河作戦を実施しており、ロシア軍がウクライナ軍のドニプロ渡河作戦を警戒しているとの情報もある。仮にウクライナ軍が東岸に橋頭堡(きょうとうほ)を築ければ、そこを起点に障害が比較的少ないヘルソン州南西部を経てクリミア半島の付け根部分まで短期間に進出する展開がみえてくる。

一方、そこはロシア軍にとってはレッドライン(越えてはならない一線)で、「過激な反応」を誘いやすい。これには二つの事情がある。まず、ロシア軍が2014年の電撃侵攻の成果であるクリミア半島を失う可能性が出てくる。これが現実になると、ロシア国内の厭戦(えんせん)気分や、強硬派によるプーチン政権への突き上げが強まるのは避けられない。もう一つは、ロシアの中長期的計画が狂うことだ。「ロシア軍はヘルソン州からさらに西に支配地域を広げ、モルドバを制圧することで、ウクライナを海への出口を持たない内陸国にしてしまうことを企図している」(防衛省情報部局関係者)。できれば、目下の戦闘を膠着状態に持ち込んだ上で、今後数年間かけて軍を再建し、14年、22年に続く3度目となる次回侵攻でウクライナの内陸国化を果たしたいと考えているわけだ。その意味でも、ロシア軍はドニプロ東岸(へルソン州南部)を失うわけにはいかない。

(出典:日経新聞2022年12月4日

どうも日本の報道では、ロシアが追い込まれているということを何としても言いたいように感じてなりません。

しかし、現実にはウクライナはロシアからのロケット攻撃で、電力が届かない、水がないという地域が増えています。

また、南部のへルソンを奪回したとありますが、実際には戦闘はほとんど行われておらず、ロシア軍が戦略的に撤退した可能性が大です。RT(ロシアトゥデイ)によると、ロシア軍は3週間にわたり、ドニエプル川右岸から立ち去ろうとする住民を避難させ、川を渡った後に、橋を爆破したとあります。ウクライナ軍が戦闘に勝利して奪還したわけではありません。ロシア軍はドンバスなど併合した地域を除けば、土地や都市を支配することを目的とはしておらず、防御にコストと損失が伴う場合は、躊躇なく撤退するというのがこれまでの明らかな傾向です。

したがって、ウクライナ軍が有利になっているわけではなく、ロシア軍の戦略撤退の可能性が大です。また、ロシアはウクライナ奥地の標的を攻撃する大規模な空爆を開始したともRT(ロシアトゥデイ)は報じています。追い込まれているのは本当にロシア軍なのでしょうか?

2.EUとG7のロシア原油価格上限制度について

EUとG7による海上輸送されるロシア産原油の価格に上限を設ける制度が始まります。ロシアは当然反発しています。そして、ロシアは影の船団と呼ばれる、匿名のタンカーを増やし、これに対抗しようとしています。インドや中国、トルコはロシア産原油の輸入を増やしています。

この価格上限の制度では、ロンドンのロイズなどの保険会社は、ロシアの原油を運ぶ船は、それがどのような目的地であっても、価格上限の下で販売されない限り、保険でカバーすることを禁じられます。また、EUはEU船籍を持たないタンカーが規制に違反した場合は、90日間の西側海域の航行禁止を科すと発表しています。

当然、ロシアは反発しています。

ロシアは、この制度に参加する国には石油を売らないと繰り返し表明しており、この上限がエネルギー市場に大混乱をもたらし、商品価格を上昇させると警告しています。

EUはこの制度の先導しているわけですが、安く安定的だったロシア産原油が入らなくなると、エネルギー価格の上昇で苦しむことになるかもしれません。代替先の確保を進めてはいるものの、果たして十分に確保できるのかは疑問です。

このようなロシアを追い込む制裁で苦しむのは、ヨーロッパの市民となる可能性が大です。

3.日本は本当に大丈夫か?

日本もG7の一員です。どうも、世界の果ての出来事のような報道が多く、この価格上限の制裁に、G7の一員として参加することには一切の議論がなされていない気がします。

現在、日本はロシア産原油の輸入を停止しているです。(従来は全量の平均3.6%がロシア産)そのため、直接的な影響はないかもしれません。

しかし、日本は海を隔ててロシアと国境を接している国です。米国よりも近いのはもちろんですが、西欧の国々よりも近いのです。それにもかかわらず、何の疑問も、意見もなく、制裁に参加している状況は大丈夫なのでしょうか。

ウクライナの次は、米国主導の制裁に積極的に参加している、最も近い国の日本への侵攻が全くないとは言いきれません。事実、日本への侵攻を検討したという報道がニューズウィークで流れました。

そろそろ本当に日本も国の行く末を自らの意見で決めていくべき時に来ているのではないでしょうか。

ロシアがウクライナを制圧すれば、NATOの敗戦とも言えます。米国の敗戦とも言えます。NATO、米国の意見に乗っかっていた日本は、何の意見もなくロシアから非友好国とみなされるわけです。

各報道を見ても、とにかくロシアが追い込まれているという報道ばかり。本当にそれで日本は大丈夫か?

未来創造パートナー 宮野宏樹
【日経新聞から学ぶ】

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