体育会系営業マン上がりのキャリア教員が美大の就職支援で感じたこと

はじめに

こんにちは!ミラクリ運営トリオ、りんしゅうこと濱中です。
普段仕事している京都は祇園祭の「後祭」中です。

これが終わると五山の送り火があって、京都人は「ああ、今年の夏も終わりますなあ」という雰囲気になります。
(自宅から五山のうち⛩以外の4つが見えるのがプチ自慢です)

学生時代は中高大とラグビー漬けでした。特に中高は強豪校だったので、相撲部屋レベルに厳しい稽古とかわいがり・・いや練習と超縦社会にどっぷりつかった10年を過ごしました。


今でも仲の良いラグビー部の仲間たち(左から2番目が私)

就職した会社では当然のように営業職に配属となり、そこから人事採用を経て28歳で独立起業し、現在は大学でキャリア教育担当教員もしています。

そんな私は主にプレゼンテーションにおいて
創り出した価値を効果的に届けるためのアドバイス(視覚や構成)
を中心にサポートしています。

ミラクリでは中間・最終と2回プレゼンを行っていただく(miniは1回)のですが、全国の美大・総合大から集まったツワモノの皆さんに、最短で最適なサポートが出来るよう頑張っています。

美大教員時代の思い出

前置きが長くなりましたが、今回ミラクリに私が参画することになった理由の1つ、美大のキャリア教員だったころのお話をしたいと思います。
*参画の経緯はちょむさんの記事でもふれているので読んでね♪


起業家から大学教員へ

成安造形大学にて 緑が多く、レイクビュー(琵琶湖)が自慢の素敵なキャンパスでした。

社長から先生へ

「来年からうちで教員としてお越しになりませんか?」今から約8年前、外部講師としてスタートからずっと1年生のキャリア授業を担当していた成安造形大学(滋賀)のキャリアサポートセンター課長より声をかけられました。会社の仕事と両立ができるか少し心配でしたが、「ダメならその時に対応策を練ればよい」と前しか向けない性格が心配を打ち消し、オファーを受けることにしました。今思えば、私の人生の中で3本の指に入る大きな決断になりました。

こうして翌年4月1日には礼服を着て入学式に参加しました。
大学の教員になっていろいろな変化がありましたが、「研究室」という場所をいただいた時が一番感慨深かったです。「これで腰を据えてキャリア教育をブラッシュアップできる」と気合が入りました。何より自分の新しいステージに意気揚々でした。

しかし、今まで成安造形大学で接してきたのはピカピカの1年生のみ。
学年が上がり、専門領域の学びが増えて「美大生」になった学生と接することはまた全く勝手が違うということをのちに思い知ることになります。

グループワーク授業で驚いたこと

多くのグループワーク授業を担当しました

初年度から、インターンシップ含めて多くのキャリア科目を担当しました。その中には2・3年生対象の演習授業があり、私はグループワークを中心に企業の問題解決に取り組む内容を企画しました。

実在する企業課題に取り組み、解決のプロセスの中で自分の得意分野に自信を持ち、進路に前向きに取り組んでほしいという想いがありました。

そしていよいよ授業がスタート。実際に企業をお招きし、抱える課題を話していただきました。そしてグループに分かれてグループワークを進めていくのですが、想定外のことが起こりました。
方向性を決めたら、その後はほとんど話し合いをせずに黙々とモックアップ※やプレゼン用のスライド制作などの個人作業に没頭してしまうのです。

本当はもっとユーザー(企業の担当者)にインタビューをしてほしいのだが・・

※工業製品の設計・デザイン段階で試作される、外見を実物そっくりに似せて作られた実物大の模型のこと。ソフトウェアWebサイト、印刷物などのデザインを確認するための試作品のこともこのように呼ばれることがある。
(IT用語辞典より)

「最初に言ってほしかった」事件

企業の担当者も多忙な中、毎回の授業にせっかく足を運んでくださっているので、対話や質問を促すのですがなかなかしてくれません。

そしてあるグループが、SNSによる問題解決企画提案していたのですが、中間プレゼンの際に事件が起こります。

プレゼンテーションの場面はいつも緊張感があります

企業の担当者から
「SNSの取り組みは前例があるので、もっと別のものでよろしく」
という意見をもらいました。すでに美しいパワーポイントも完成に近づいており、どうにもこうにも学生は納得がいかない様子でした。

あきらかに意気消沈しているグループに私が話を聞きに行くと、
「途中で初めての情報を出されたら困る、最初に言ってほしかった」
「今までの作業が全部無駄になった」
「だからデザインのことを知らない人は嫌なんです」
と中にはふてくされる学生も。。。
今から手戻りすることへの強い抵抗感を感じました。

もっと早く企業側に方向性や経過を共有しておけば、きっと避けられたことだったのですが、なかなかその時はそう思えない状況に見えました。

「設定」はお互いに十分確認して発進ヨシ!にしよう

その後も何年もグループワーク授業を行いましたが、
何度か同じ事件は起きました。整理すると下記の流れです。

デザインにあまりなじみのない課題提供側(仮想クライアント)からの無茶ぶり(もっとカッコよくして、とりあえず一回作ってみて、等)

学生が強いストレスを感じる

教員が双方をフォローする

最終授業で、今回の体験は社会でも同じことが起こる可能性があるため、
どう備えるか・対応するかを前向きに考えていく

終わって初めて学びになったと理解してくれる

授業最終回のリフレクションではたくさんの学びがアウトプットされます

前述の「事件(途中で設定が変わる)」は、デザイナーやクリエイティブ系のお仕事をしている方々に聞くと、どちらに否があるかは別として本当によくあるそうです。
「フラクタル」(形の適宜な一部を取ってもそれが全体と似ている成り立ちをしていること。自己相似的)という幾何学の用語がありますが、学生はまさに「実社会でデザインをとりまく仕事あるある」を授業内で体験をしたことになります。

私も美大に来る前は会社からデザインを発注している先に同じようなオーダーをしていたかも・・・と反省し、以降は最初の依頼から変更の可能性がある部分はしっかり伝え、無駄な手戻りの可能性をなるべく減らせるよう心掛けています。

ただ一方でクライアント側は悪気があるわけではなく、「簡単にできるものだ」という思い込みから出ている無邪気なオーダーだということも忘れてはならないと思います。
何もない状態ではイメージができない場合も多いので、設定を確認することはもちろん、クライアントがイメージできるようなコミュニケーションデザインも重要だと学びました。


まとめ

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
社会生活はもちろん、美大における経験や学びを、余すことなく皆さんに還元するつもりです。特にビジネスプランコンテストに何度も学生と一緒に出場した経験から、聞き手に刺さるプレゼンテーション作りについては遠慮なく聞いてくださいね。

ミラクリにおける新しい出会いを楽しみにしています!