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私らしい選択

就活をして半年、未来のための就活なのにだんだん未来が見えなくなっていった。
これまでの人生で「個性」を評価されていた私は、会社に自分をすり合わせるという行為が無意識に自分を蝕んでいたんだと思う。

しかし就活生として様々な社会人に会うことができるのは楽しかった。
いろんな人と話せば話すほど
「あなたは社会で活躍できる」
と言われ、自分が認められている気がした。
気がつけばいくつかの内定を手にしていた。

ある会社から内定をもらった帰り道
このままでいいのだろうか、ふと、思い始めた。
このまま、なあなあに就活を進めて私はこのままどんな人になるのだろうか。
周りに誇れる自分であるだろうか。
結局私は、何になりたかったのだろうか。
このまま生きていて価値ある人間になることができるだろうか。
考えれば考えるほど答えが見つからなくなり
足元がふらつく。
まっすぐ歩けなくなり気がつけば私は六本木の脇道で蹲っていた。

「大丈夫?」

スーツ姿でしゃがむ私に声をかけてきたのは
優しそうな雰囲気を纏った可愛らしい大人の女性だった。
その人は私をカフェに連れていき
「私少し時間あるからお話しよう!他人なんだからさ、全部話しちゃいなよ」
と言ってくれた。

私は洗いざらい、自分の進路について話した。
就活事態はうまくいっていること。
それでも自分がこんなにも苦しいこと。
何をしたかったのかわからないこと。
生きていていいのかわからないこと。

その人は時に優しく相槌を打ちながら最後まで黙って聞いてくれた。
「私はね、明日もし死んじゃってもまた私に生まれ変わりたい、と思えるような選択をしてるよ。私らしい選択ができれば後悔することはあっても悔いはないと思うんだ。
生きることに疑問を抱ける時点で何か働きかける使命を与えられた人なんだと思う」

「私らしい選択」「生きること」「使命」

この3つの単語を今でも鮮明に覚えている。
妙に耳に残っているのだ。

あれから1ヶ月、私は自分の人生を見つめ直した。
少し個性的で、遠回りをしすぎた私の人生。
過去を振り返ることは本当は好きじゃないけれど、私が前を向き
自分らしい選択をするためには過去と向き合うことが必要だった。
そこで私は「生きること」をテーマにして人生を歩みたいと思った。
今は
「意志を持って前向きに生きる人」
を増やしたいと感じている。
人生の軸が決まると
目の前が明るくなってくる。
やりたいことがどんどん出てくる。

人生はこんなにも自分らしい選択ができる日々だったのだ。

もし出会えたその人が宗教の人だったらと思うと今は若干怖いけど
あの時あのタイミングで出会えたことは私の運命だったと感じる。

いつかまた出会えた時に誇れる自分でありたい。

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