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老後2,000万円問題とはーあなたの家計は大丈夫?ー

こんにちは。ミライ・イノベーションnote編集部です。
今回から、「家計の見直し・家計管理」について特集します!

ところで、家計管理を行うにあたり、「老後2,000万円問題」をご存知でしょうか。このニュースはメディアでも頻繁に取り上げられていたので、耳にしたことのある方もいらっしゃるでしょう。
しかし、「2,000万円」というワードだけがひとり歩きし、本来の意味を正しく理解できていない方も多いのではないでしょうか。まずは、この「老後2,000万円問題」について正しく理解しておきましょう。

1.「老後2,000万円問題」とは

これは、2019年6月3日に金融庁の金融審議会 市場ワーキング・グループがとりまとめた「高齢社会における資産形成・管理」という報告書( 以下、「報告書」とします) が発端となっています。

(1)高齢化社会を取り巻く状況

老後2,000万円問題を語る前に、前提として現在の高齢化社会を取り巻く状況を報告書から確認していきます。

①長寿化
日本は言わずと知れた長寿大国。1947年には男女ともに平均寿命は約60歳でした。しかし2017年には、男性約80歳、女性約87歳と、70年間で20年も平均寿命が延びています。そして医学医療の進歩も相まって、現在60歳の人のうちの約半数が90歳まで、さらに約4分の1が95歳まで生きるだろうという試算が出されています。

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②退職金給付額の減少傾向
老後資金の柱として期待されるもののひとつが退職金です。かつては、退職金と年金を二本柱として老後の生活を支えることが一般的でした。しかし、この退職金給付制度のない企業もあります。次に、退職金給付制度の有無の推移についてくわしく見てみましょう。

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まずは、上図(折れ線グラフ)は、退職金給付制度を採用する企業の割合を示しています。1992年で約90%以上であったものが2018年で約80%にまで落ち込んでおり、退職金給付制度がある企業の割合は徐々に低下していることがわかります。
そして下表は、退職金給付制度を採用する企業の割合を企業規模別にみたものです。表より、退職金給付制度がある企業の割合は、規模が小さくなるにつれて減少しています。「大企業は福利厚生が手厚い」とよく言われますが、このことからも真意と言えるでしょう。

また、退職金をもらえたとしても手放しでは喜べません。なぜなら、退職金の給付額も近年減少してきているからです。
下図は、平均退職金給付額の推移を表しています。1992年から2017年までの高校卒者の退職金給付額(グラフ青・黄)は、横ばいもしくはゆるやかな減少を遂げています。
しかし、1992年から2017年までの大学・大学院卒者の退職金給付額(グラフ赤)をみると、約1,000万円近く目減りしていることが明らかです。

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③公的年金給付額の減少
退職金と同じく、老後資金の柱として期待されるもののひとつが公的年金です。日本の公的年金制度は、老後の生活だけでなく、いざというとき(=病気やケガ等で障害を負ったとき、家族の働き手が亡くなったとき)の生活を現役世代の保険料負担で支えるという社会保険の考え方で作られた仕組みです。この公的年金制度が多くの人にとって老後の収入の柱であり続けることは間違いないと思われます。しかし、少子高齢化により働く世代が中長期的に縮小していくことは確実であり、ゆえに公的年金としてもらえる金額が減少することが推測できます。

(2)モデルケースから読み解く

以上より、高齢化社会を取り巻く現在の前提を把握しました。それでは、「老後2,000万円」とは、どのようにして算出された金額なのでしょうか。
これは、報告書で示されているモデルケース(下図)より読み解くことができます。ここでのモデルケースは、「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯」です。したがって「収入源は年金だけ」です。

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ここで示されている高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額(実収入と実支出の差額)は約5.5万円です。つまり、この毎月の赤字額は自身が保有する金融資産から取り崩すことになります。以上より、このモデルケースにおける老後に必要な赤字補填額は次のように計算できます。

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「老後2,000万円問題」の金額はこのようにして算出された数字だったのですね。

(3)「老後2,000万円問題」が本当に伝えたいこと

ここでおさえておきたいポイントがあります。それは、報告書には「老後資金として、必ず誰もが2,000万円を用意しておくべき」とは書かれていないことです。あくまでこの試算から出された金額は「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯」をモデルとした単純な計算値です。当然ながら、各家庭や個々人のライフスタイル等により、毎月の収支状況や所持する金融資産は大きく異なります。したがって、老後資金がまったく不足しない場合もあり得ますし、2,000万円以上の不足が見込まれる場合もあり得るのです。

上述のように、人生100年時代はもうすぐそこまで来ています。これまで以上に長く生きるにはお金が必要であることは重大な事実なのです。

したがって、この報告書が本当に伝えたいことは、「老後の生活において、公的年金以外でまかなう必要のある金額がどの程度になるかを考え、資産形成・管理の重要性を認識してほしい」ということなのです。
「老後2,000万円」という言葉だけに惑わされず、本来の意味を理解したうえで、早期から備えておくことが肝心ですね。

Point:老後2,000万円問題とは
・人生 100 年時代を迎えようとしている
・かつて一般的であった「老後は退職金と年金給付で生活する」ことが難しくなりつつある
⇒ 公的年金制度に頼った生活設計だけでは資金不足に陥る可能性がある。自分自身で準備しなければならない老後資金額を把握し、資産形成・管理に努めましょう。


2.家計管理の第一歩

(1)家計管理の第一歩

さて、老後2,000万円問題が私達にどのようなメッセージを発信しているのか理解できましたね。それは、あなたの老後に必要であろう資金額を知ること、そして資産形成や管理が重要である、ということでした。

老後資産の準備は「人生の宿題」とも言われています。
宿題と言えば、小学生の夏休み。あなたは宿題をいつ終わらせていましたか。7月?8月?はたまた9月?(笑)7月中に終わらせている人を羨んで妬んだ8月末。8月末も近づくにつれてちらつく宿題。やらなきゃと思っていても、なかなか行動に移せない…。
これはお金についても同じです。若いうちに「人生の宿題=老後資産」の準備を整えたいですよね。

しかし、「老後資金を準備する」と言ってもなんだか漠然としていますよね。そこでまずは、自身の支出状況を把握することから始めましょう。つまり、自身のお金の使い方を知ることができれば、家計の無駄を省いたり、何に重きを置いて資産形成していけばよいかを考えたりできる一助となるのです。

(2)消費・浪費・投資

支出、つまりお金の使い方には「消費」「浪費」「投資」の3つがあります。

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「消費」は、いわゆる<生きていくために必要な支出>です。家賃や光熱費、普段の食費や交通費などありとあらゆるものがこちらに分類されます。
次に「浪費」は、<今を楽しむためのなくても困らない支出>です。娯楽としてのゲームアプリへの課金もこちらに分類されます。また、コンビニスイーツであっても毎日の贅沢品として購入しているのであればそれは「浪費」にあてはまるでしょう。
最後に「投資」は、<必ずしも必要ではないが将来につながる支出>です。今は費用がかかってしまってもいずれ自分自身にプラスにはたらくものがこちらに分類されます。

それではこの3分類をもとに、1ヶ月の支出内容をおおまかに把握してみましょう。消費・浪費・投資にレシートを分け、それぞれ月末に集計してみるとよいですね。レシートのない支出(口座引き落としやクレジットカード支払いなど)の集計もお忘れなく。また、家計簿アプリを用いても効果的です。
なお、この3つの理想的な割合は、消費70%・浪費5%・投資25%であると言われていますよ。

さいごに

このように、自分自身のお金の使い方を知ることこそが、家計管理の第一歩です。
「よ~し、じゃあ浪費を削って、投資に回すことで少しでも資産をたくわえよう。…ということは、早速投資を始めてみよう!」と意気込みたい気持ちはわかりますが、今回はここまで!

投資のセオリーや、あなたに必要な資産はどのくらいであるかなどの詳細は、次回以降に説明していきますので、次回もお見逃しなく!

なお、「投資や資産運用についてもっとくわしく知りたい!」という方は、ぜひ弊社の資産運用勉強会へお越しください♬
また、個別相談も可能ですので、お気軽にお問合せ・お申込みくださいね。

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