見出し画像

【現役人事が語る】「意識高い系の若手社員」に対する間違ったマネジメント方法に注意!

「意識高い系」と呼ばれる若者がいます。彼らはビジネス書やセミナーで一流の情報を集めているため、「自己成長意欲や自己実現欲」が高いのが特徴です。プライドが高いため、マネジメント方法を間違えると企業として、戦力化できないケースがあるため、そうならない為のマネジメント方法についてご説明します。

自己紹介

川上 未来と申します。私は新卒で日経225に属する巨大企業で人事担当者としてキャリアをスタートしました。そして現在は転職を経て、都内IT企業の人事担当者として仕事をしています。

最近の若者のマネジメントは難しい?

新聞を読む男性

会社に入ると世代を超えた人間達と共に働く必要があります。管理職の方は年上の部下や新入社員のような若手の立場に立ちながら、組織をマネジメントする必要があります。今回は若手社員のマネジメントという観点で話をします。

最近の若者は「自分は優秀だ」「就活に勝ち抜いた俺は勝ち組」というような意識を持って、入社してくるケースが少なくありません。就職活動を勝ち抜いて、これから社会で活躍するのだという漠然とした希望を持って、入社してくるのです。

そのような自己実現をしたいタイプの若手社員に対して、昔からの体育会系マネジメントをしていても、当然ながら上手くいきません。逆に軋轢が生まれて、若手社員のモチベーションが下がり、組織全体の生産性が低下するというリスクが生じます。

そこで今回は現役人事の私から、意識高い系の若手社員に対するマネジメントについての1つの考え方を紹介させていただきます。

部下を持つ管理職の方はこのフレームワークを参考に対処をしていただくと今よりもコミュニケーションがずっと取りやすくなると思います。

X理論・Y理論

マネジメントの際に念頭に置くのは、このX・Y理論です。これはD・マクレガーが提唱したモチベーションに関する理論です。それぞれ説明をさせていただきます。

【X理論】

人間は生まれつき仕事が嫌いで、責任を回避しようとするものだ。必要最低限の努力をして、衣食住を満たして、仲間と安定した生活を好むのが人間である。

この場合、明確なノルマ、進捗管理、未達の場合のペナルティが必要になる。飴とムチのマネジメントスタイルとなる。

【Y理論】

人間は生まれつき勤勉で、進んで仕事を行い、責任感がある。仕事を通じて、他人からの賞賛を得たり、自己実現したいと思うものだ。

この場合、個人のやりたい仕事と企業目標の整合、意思決定への参加、達成したら報奨や尊重をすること。

以上、この理論は人間の仕事に対する基本的なスタンスを2つにカテゴライズした理論なのです。

マズローの「欲求の5段階説」をベースに生み出された

このX・Y理論のベースになっているのが、有名なマズローの欲求の5段階説です。

マズローの欲求5段階説

マズローの欲求5段階説には順番に①生理的欲求→②安全欲求→③社会的欲求→④承認欲求→⑤自己実現となっています。

このなかで①〜③は「低次の欲求」、④〜⑤は「高次の欲求」とされています。X理論は①〜③が満たされていない場合に有効なアプローチとなり、Y理論は④〜⑤が満たされていない場合に有効なアプローチとなります。

つまり、衣食住や安定した生活が満たされていない状態では、人はやりがいや自己実現などは二の次になり、ノルマやペナルティを使って、労働者をアメとムチ方式で働かせるマネジメントスタイルが通用するのです。高度成長期までの日本においては、このスタイルが通用する環境だったのではないかと思います。

一方で我々のような平成世代は生まれてから衣食住や安定した生活を既に当たり前に得てきた人間です。そのような「低次の欲求」が満たされている人間に対して、アメのムチのマネジメントスタイルは相性が悪いです。

そのような世代に対しては「やりがい」「自己実現」や「賞賛」などといったキーワードがないと、仕事のモチベーションを上げることは難しいのです。

現在の日本社会は衣食住や基本的な生活水準は一定以上に保たれているので、Y型のマネジメントが求められている傾向にあります。現代を生きる管理監督者はこのことを念頭においてマネジメントを行う必要があります。

意識高い系の若手社員への接し方

会話する女性2名

以上よりY型のマネジメントが意識高い系の若手社員に対して有効だということが言えると思います。彼らに対して「数字の未達を責める」「進捗を細かく報告させる」というような管理方法を取っている場合は、そのスタイルを弱める必要があります。

一方で「この仕事が終わったら、貴方はもっと成長できる」「この目標を達成してくれたら会社として利益が出るので、頑張りに感謝したい」というような自己実現や賞賛を与えるようなマネジメントが好ましいと言えます。

まとめ

マネジメントスタイルにはX・Y型が存在することが理解できたと思います。怠惰な社員にはX型のマネジメントが有効ですが、意識の高い若手社員に対してはY型のマネジメントを行うと、組織運営がもっと上手くいくのではないでしょうか。

以上、参考になりましたら幸いです。

長文をお読みいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?