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東京宝塚劇場に観劇に来たファンは半径1Km以内に生息するという

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https://note.com/mirai_77/n/n8e2004def5ad

東京宝塚劇場は日比谷にある。
私は銀座が大好き。
最新のファッションを見るだけでもテンションが上がるし、最新のスイーツも手に入る。おしゃれなカフェに行ったりするのも楽しい。

なのに宝塚の公演中はそんなことを楽しむ時間は皆無になる。
昼公演と夜公演の合間に少し時間が空くこともあるが、ほんの一時間程度。そこまで遠くにいってのんびりすることはできない。
終演後に出待ちをするともう帰らなければならない時間。電車に間に合わないと困るので駅までは大急ぎだ。
大阪組は夜公演の途中で退場している人も少なくない。


宝塚ファンが合間の時間を過ごすのは日比谷シャンテが定番だ。

すぐそばに日東コーナーハウスというカフェもあるけれど、ここはジェンヌさんたちのファンクラブ幹部たちが使っていることが多い。ずっと後の話になるが、いつかの公演でうっかり入ってしまったことがある。ちょうど椿のファンクラブがチケット振り分けをしていて大変気まずい思いをした。それ以来一度も足を踏み入れていない。




宝塚ファンが集う日比谷シャンテは、劇場の目の前にあって食事やお茶もできるしキャトルレーブもある。
ちなみに観劇の休憩時間や昼夜公演の合間などのカフェはほぼ満席だ。


ここで友人と今日の公演はどうだったとか、贔屓の話を心ゆくまで話す。
その日のアドリブやいつもと違ったところはもちろん、最近の贔屓の話題は尽きることが無い。
あとはこの一週間のスカイステージで放送された番組や歌劇、グラフのこともお互いの共通事項として共有する。
そしてファンクラブ活動について。お互いに知らないであろう秘密の情報を打ち明け合ったりするのだ。ヅカ友がいてよかった、そう思える瞬間である。
そうして宝塚の話をしているとあっという間に時間は過ぎていく。

つまり公演中の宝塚ファン生息地帯(往復の距離以外)は、およそ半径1Km以内といっていい。



椿の東京公演は初参加の私にとって、この時点で東京のファンクラブ仲間はまだいない。劇場に来たものの話相手の一人もいなかった。

ちなみに関西ファンクラブの澪と璃子は東京へは頻繁に来ないらしい。「行くときには連絡するね」と言われた。

開演前は日比谷シャンテで時間をつぶした。
チケットは自力で手配していたから、ファンクラブの列に並ぶことはない。
ちょっと声をかけて入会申込書はもらってきた。これは家に帰ってからゆっくり見るとしよう。

入口の扉はすでに開いている。
私はさっそうと中に入っていった。



今回の席は7列目サイドブロック。
東京公演はチケットが激戦のため、この席でも取れたのはラッキーだ。
久しぶりに椿を見れると思ったら、席に着席してもそわそわが止まらない。
先にトイレに行っておかないとこの席に戻るのが難しいと判断した私は、念のためと言いながらもう一度トイレに向かった。


7列目というのはいい席でもあるけれど、オペラグラスの使用に迷う席でもある。私は前の贔屓のとき本格的なオペラグラスを買った。ただこれを前方席で使用すると大変目立つ。

椿のファンになってから一度、最前列中央なのにオペラグラスを使っている人を見たことがある。
あのときは衝撃だった。いや笑劇というべきか。私も前方席で観ていたからそのときの様子は鮮明に覚えている。堂々と1列目でオペラグラスで見ている姿は一種異様な光景だ。銀橋の中央で朗々と歌い上げる椿のちょっと困った顔が忘れられない。椿はその人とぜったい目を合わせないようにしていたのだけははっきりとわかった。

ちなみに5列目くらいでオペラグラスを使っている人はたまに見かけることがある。もちろん私は使ったことはない。それくらいの距離だったらそんなものなくてもはっきりと見えているからだ。私は贔屓の公演が始まる前にはコンタクトレンズを新調していくのが決まりだ。前方席に座ったのなら、なにがなんでも肉眼で見たい。


そこそこの前方席でオペラグラスを使うとスターさんは絶対といっていいほどその人を見ない。
そんな良席に座っていながらわざわざ損することをするなんてもったいない。せっかく良席で観劇するなら肉眼で見たほうが楽しめるのになーと思うのだ。



7列目サイドブロック。ここでのオペラグラスは、ひざの上に置いてしばらく様子を見ることにした。

幕が開く前に手にはアメをにぎりしめている。これは私にとってお守りのようなもの。おなかがグーって鳴らないように公演中はお口にいれて万全を期する。

よし、スタンバイできた。あとは幕が開くのを待つだけだ。








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